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プレス成形、そして溶接シミュレーションシステムの開発でものづくりを支える

CAE(コンピューター支援エンジニアリング)は、あらゆるものづくりに欠かすことのできないキー技術のひとつになっている。JSOLは、さまざまなソフトウェアやシミュレーションシステムを開発しているが、特にプレス成形シミュレーションの統合システム「JSTAMP」は、開発チームが強い自信で送り出したものだ。「JSTAMP」の誕生から高精度化まで一貫してかかわってきたのがJSOLエンジニアリング本部構造開発部に所属するITプロフェッショナル・アプリケーションコンサルタントの麻寧緒(マ・ニンシュウ)である。大阪大学接合科学研究所准教授という肩書きも持つ麻は、溶接分野におけるシミュレーションシステムの開発という新たな展開に向かっている。

 金型を利用して一枚の鋼板などから複雑な形の部品をつくる塑性加工は、ものづくりには不可欠な技術である。しかし、素材を曲げるということは、たとえば板がもとに戻ろうとするスプリングバックや、無理に変形させれば割れるなど成形上の不具合が発生する。また、金型で一度に複雑な形を作ろうとすれば、板の内部組織や外見的な形状などにさまざまな変化が引き起こされ、それにより表面からだけでは見つけられない弱い部分ができてしまうことがある。

 かつてはすべてが経験則の世界であった。複雑な形状の試作品を打ち抜ける金型を実際につくり、できあがったものに問題がないかを評価する。問題点があるならば設計し直した金型をつくり、試作品もつくり直す。この繰り返しである。この繰り返しや金型の製作コストを減らし、いち早く品質の良い製品づくりへとつなげるか。それは「匠」とか「熟練工」と呼ばれる達人たちの腕にある世界であった。

 ここに革命をもたらしたのが、CAEのひとつであるプレス成形シミュレーションシステムである。CADで設計された金型データをもとに、塑性加工される材料の割れや、シワがよらないかを予測するものだ。1990年代半ば以降、JSOLが開発した「JSTAMP」のほかに、競合他社もソフトウェアを発表していた。
 このうちJSTAMPの開発に初期からかかわってきたのが麻だ。その取り組みは1996年まで遡る。

 「1996年に当時の日本総合研究所に入社し、すぐにチームメンバーと取り組んだのがJSTAMPの開発でした。これはアメリカで開発されたソフト「LS-DYNA」を利用しているのですが、誰もが簡単に使えるようなものではありませんでした。そこでユーザーインターフェースを実用的で使いやすいように改良し、誰がシミュレーションしても同じ結果が出るようにしてJSTAMPとして完成させたのです」

 バージョン1のリリースは、1996年末だった。
 そして2011年秋、はるかに進化を遂げたバージョン2.6がリリースされる。
 「かなりいいですよ」と自ら親指を押し立てる自信作だ。その自信が示すとおり、「JSTAMP」は2011年の春、(社)塑性加工学会の「技術開発賞」を受賞した。

 今春リリースされた溶接による熱変形シミュレーションシステム「JWELD」と併せて、ものづくりを支えるCAEはまたひとつ進化する。

抜群の数式モデル導入で業界標準となったJSTAMP→


※LS-DYNAは米国Livermore Software Technology Corporationの登録商標です。

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