ビジネスの根幹であるEDIを、オンプレミスからSaaS型+BPO型のサービスに移行。
運用の負荷軽減と属人化解消を実現し、将来の変化にも柔軟に対応

日常生活に身近な商品を作ってきた象印マホービンは、2019年、オンプレミスのEDIシステムを、JSOLが提供するSaaS型+BPO型の「JSOL EDIサービス」へリプレースしました。これにより、社内の運用負荷が軽減し、業務の属人化も解消、将来のEDIをめぐる環境の変化にも柔軟に対応できるシステムを構築しました。

課題・解決・効果

課題

  • オンプレミスで構築したEDIシステムの保守切れに伴う更改が必要。

  • EDIの運用を自社で行う負担を軽減し、属人化を解消したい。

  • 間近に迫ったEDIの2024年問題に備えたい。

解決

  • SaaS型+BPO型のEDIサービスに移行し、運用はアウトソーシングに

導入効果

  • 対応可能な通信プロトコルが増え、新規接続先の追加や変更にスピーディーに対応

  • JSOLへEDIの運用をアウトソーシングすることで、属人化の解消と負担軽減

  • 将来のEDIを巡る環境の変化にも柔軟に対応可能に

「暮らしを創る」ビジネスを支えてきたEDI

2018年に創業100周年を迎えた象印マホービン株式会社は、「暮らしを創る」を企業理念として、炊飯ジャーや電気ポットなどの「調理家電」、ガラスマホービンやステンレスボトルなどの「リビング製品」、空気清浄機や加湿器などの「生活家電」を柱にして、快適で便利な暮らしを生み出すための商品を開発してきました。

同社のシステム部門を束ねる、経営企画部 システムグループ長の松浦潤氏は「時代の変化にも対応しつつ、1世紀にわたってお客さまに受け入れられてきました。このことを大事にして、次の100年に向けてこれからも、安心して買っていただける、品質の高い製品、アフターケアを含めた充実したサービスを作り続けていきます」と語りました。

その同社のビジネスを数十年にわたって支えてきたのが、EDIです。EDIは、顧客企業、パートナー企業、金融機関とのやり取りのほか、倉庫での出荷データの交換にも活用しています。

「国内の売上の8割はEDIが占めています」と語るのは、EDIを担当する経営企画部 システムグループ サブマネージャの栄寿彦氏です。EDIであれば、受信した注文情報を基幹システムに送り、受注処理までを一気通貫に完了できます。

栄氏は「万が一、EDI処理のエラーや受信遅延が発生すれば、受注の手続きが滞り、ビジネスの機会損失につながってしまいます」と説明し、「EDIはビジネスを支える根幹であり、信頼性の高さは欠かせません」とEDIの重要性を語ります。

左)象印マホービン株式会社 経営企画部 システムグループ長 松浦 潤 氏 右)象印マホービン株式会社 経営企画部 システムグループサブマネージャー 栄 寿彦 氏

左)象印マホービン株式会社 経営企画部 システムグループ長 松浦 潤 氏
右)象印マホービン株式会社 経営企画部 システムグループサブマネージャー 栄 寿彦 氏

オンプレミスのシステムで、運用負荷と属人化が問題に

同社がこれまで活用してきたEDIはオンプレミスの製品でした。しかしその保守が2019年3月に切れることから、リプレースの検討を開始しました。それに伴い、EDI業務における課題解決にも取り組みました。当時のEDIには、運用の負荷と属人化という課題がありました。同社には、月に数回、取引先の企業から「接続先のサーバーの設定を変更してほしい」「サーバー証明書が変わるので、○○日までに接続してほしい」といった要望がシステムグループに送られてきます。

「お客さまからの要望であれば、指定された期限までに必ず対応する必要があります。EDIに関する作業の一つひとつは決して大きくはないのですが、他の業務を置いてでも最優先に対処しなくてはいけません」(栄氏)

またEDIで通信エラーが発生すると、夜であっても対応が求められました。「復旧するまでいち早くリカバリーに対処しなくてはいけません。そういうことは多くはないとはいえ、EDIが正常に稼働しているだろうかと常に心配している状態でしたので、心理的な負担がありました」と栄氏は当時の状況を振り返ります。しかし、EDIに関する作業は煩雑なため他のメンバーに伝えにくく、属人化は進む一方でした。

既存のEDI製品のバージョンが古く、また通信プロトコルの種類が少ないことも課題でした。取引先のEDIの通信プロトコルが変更された際、「対応していない通信プロトコルに切り替わると、ライセンスを追加購入して対応させる」などの手続きが必要となり、対応にはコストも時間もかかります。

また2024年に迫ったNTTの「INSネット ディジタル通信モード」の終了・IP網への移行時の対応も気がかりでした。栄氏は「もし多くの接続先が一時期に新しいEDIシステムへ移行したら、その変更に対応する作業は膨大になる可能性があります。現在の体制では、接続先変更の要望が一斉に届いたら、対応が間に合わなくなるかも」と懸念していました。

サービスの機能だけでなく、豊富な実績による安心感が決め手に

リプレースの選択肢として「従来と同じくオンプレミスのシステムを構築する」案と「SaaS型サービスへ変更し、運用もアウトソーシングする」案が候補に上がりました。

オンプレミスのシステムを選べば、従来どおり運用も自社で行うことになります。一方、SaaS型サービスに切り替えれば、運用もアウトソーシングできますし、従量課金で利用できるためコストを抑えられることが魅力でした。しかしSaaS型サービスを提供している業者に声を掛けてみたところ、「実績が乏しい」「特定の業界に特化しすぎている」「通信プロトコルの種類が少なくて、接続できなくなる取引先が生じる」などの懸念が感じられ、SaaS型サービスの利用は諦めかけていたそうです。

しかし、SaaS型+BPO型のJSOL EDIサービスの提案を見て考えを改めたとのこと。その提案の印象について松浦氏は「通信プロトコルの多さ、サービスレベルの高さ、そして事例の豊富さ。そのすべてにおいて、比較した業者に比べて、JSOL EDIサービスが優れていました」と評価します。

35年以上にわたり、さまざまな業界で多くの企業に提供してきたJSOL EDIサービスは、従来型のEDI手順から次世代インターネットEDIなど幅広い通信プロトコルに対応しており、象印マホービンが利用している通信プロトコルのすべてに対応していました。基幹システムとの接続もさまざまな方法が用意されていました。

中でも「大きな信頼感につながった」(松浦氏)というのは、事例の豊富さです。「特に多くの企業で使われていたという実績には驚きました。やはりEDIは受発注のかなめで、万が一停止したら売上に影響しますから」(松浦氏)

一方、「オンプレミスかSaaS型サービスかを最後まで悩んでいた」という栄氏は「将来を考えれば、EDIの運用を専門家に任せるほうがいい。運用だけをアウトソーシングするのではなく、SaaS型サービスにして設備も運用も、すべて任せるほうが大きなメリットを得られる。EDIの動向を常に追いかけていくのは容易ではないので、専門家に任せよう」と考えを改めたそうです。

接続先との調整もJSOLに一任。丁寧な仕事ぶりを評価

同社は、EDIのリプレースについて、2017年の暮れからJSOLとの検討を重ねました。そして、2019年1月から順次移行作業を進め、同年の3月に完了。接続先の企業は85社、インターフェイス数でいえば約300に達しました。

過去にEDIのリプレースを経験している栄氏は、今回のリプレースを「これまでに比べて、非常にスムーズに終わった」と振り返り、その要因を「接続先との調整をJSOLに任せたこと」と説明します。「EDIを変えるのは当社の都合であり、お客さまには関係のないこと。決してご迷惑をかけてはいけません。伝送テストや本番の切り替えにはお客さまの業務に影響のない時間帯を選ぶなど、JSOL主導で丁寧に対応してもらいました」(栄氏)

JSOLは、効率と確実性を重視して作業を進めていきました。接続方法や時間帯、業務の重要度などの条件で接続先を分類し、共通点が多い相手をまとめて接続テスト、本番移行するようにして効率よく、段階的に移行を進めました。

「EDIに関して経験や実績を積んでいるJSOLは、リプレースにも慣れていると感じました。移行する上での重要なポイントを漏らさず、段取り良く進めていただいた点も印象に残っています。また、早朝5時からの確認作業が必要となったときも嫌がらず、事前に決めた移行シナリオの通りに体制を組み、一つひとつの作業を確実に作業してくれて、真摯で真面目な会社という印象を受けました」(栄氏)

社内でのEDI運用業務はほぼゼロに。
運用負荷の軽減と属人化の解消を実現

JSOL EDIサービスの導入効果として、松浦氏は「属人化の解消と運用負荷の軽減」を挙げました。現在は、障害対応、接続先の設定やサーバー証明書の変更、伝送テストなどの運用をJSOLで対応しています。

以前はEDIでアラートが発生したときは栄氏に連絡が飛び、復旧に追われていましたが、現在は24時間365日体制でJSOLが運用を請け負い、障害を検知した段階で復旧に向けた対応を開始、接続先と連絡を取り合いながら、状況や復旧見込みなどの報告を同社にエスカレーションする流れに変わりました。

それまでEDIの運用を担ってきた栄氏は「正直なところ運用を外部に任せるのは不安でした。しかしJSOLは、送ったデータが確実に届いたことを確認するところまで、しっかりと面倒を見てくれますので、非常に安心しています。切り替えた当初は、EDIの状態をWebから確認できる機能を使って見ていましたが、最近はエスカレーションが届くのでその画面を見ることはほとんどなくなりました」と感想を口にしました。

松浦氏も栄氏の状況を踏まえて「以前はEDIの業務が重く、(栄氏の仕事の)5割を占めていましたが、その作業がほぼなくなり、今では(栄氏に)販売業務全体を任せられるようになりました」と日常の業務での変化を説明します。

点数をつけるなら150点の満足度

SaaSで提供されるJSOL EDIサービスは、将来性という観点でも利点がありました。老朽化、保守切れなどでリプレースを行うオンプレミスの製品と違い、サービスとして提供されるJSOL EDIサービスはリプレースの必要がなくなります。また、将来新しい通信プロトコルが開発されてもJSOLが対応することで、新たな投資を必要とせず利用できます。

「家電量販店、GMSの業界ではまだまだISDNを使ったレガシーなEDIシステムを利用されているところが少なくありません。INSネット ディジタル通信モードが終わったときの状況は不透明なところがありますが、一斉に接続先が新しいEDIシステムに切り替えたとしたら、私たちだけではパンクしていたでしょう。しかしJSOL EDIサービスであれば柔軟に対応してもらえると頼りにしています。運用を専門家にアウトソーシングしたことで、将来のEDIの環境が変わっても安心です」(栄氏)

「サプライチェーンを俯瞰してみると、お客さま、取引先からの要望に迅速に答えていくことは重要です。JSOL EDIサービスに切り替えたことで、お客さまがEDIの仕組みを変えたときでも、信頼性を担保しつつ、スピード感を持って対応できるようになりました」(松浦氏)

今回のプロジェクトを通して松浦氏が感心したことに「JSOLのカバー範囲の広さ」があったといいます。他の業者とのプロジェクトでは、要件定義、設計の担当者が違っていて、「要件定義で相談した事柄が設計に伝わっていない」ことによるトラブルもあったとのこと。

「今回は提案段階から最後まで、JSOLの担当者が責任を持って管理してくれました。オンプレミスからSaaS型サービスに切り替えることは当社にとって大きなチャレンジでした。しかし、お客さまにご迷惑を掛けることなくスムーズにプロジェクトを完遂できました。点数をつけるなら100点満点で150点くらい(笑)。JSOLに任せたという判断は間違っていなかったと確信しています」(松浦氏)

集合写真

左から、JSOL 福田、象印マホービン株式会社 栄 氏、同 松浦 氏、JSOL 関野

企業情報

象印マホービン株式会社

会社名

象印マホービン株式会社

本社所在地

大阪市北区天満一丁目20番5号

創業

1918年(大正7年)5月10日

創立

1948年(昭和23年)12月29日

事業内容

調理家電製品、生活家電製品、リビング製品などの製造・販売およびこれに附帯する事業

WEBサイト

(2019年10月現在)


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