与信管理の新たなアプローチ。JSOLのFinCastで融資先の状況をAIが分析。変化の予兆を察知し、迅速に企業支援を

宮城県を中心に東北地方でもっとも大きな基盤を持つ七十七銀行では、AIを活用したデジタル化を検討していました。そこで導入されたのが、与信管理業務の効率化と高度化が期待できる、JSOLのAI業況変化検知サービス「FinCast」でした。

課題・解決・効果

課題

  • いち早く経営状況変化の予兆を察知し、タイムリーに融資先企業を支援したい

  • AI活用などデジタル化を推進し、地域経済を支えたい

解決

  • FinCastで融資先の入出金データを分析。経営状況の変化の予兆を検知

導入効果

  • 企業の業況変化を早期に検知

  • 審査部で分析結果を吟味。営業店と連携を取り、融資先へのコンサルティングへ

東北の経済を支え、お客さまとWin-Winの関係を築く

 1878年に77番目の国立銀行として設立された七十七銀行は、100年以上もの長きにわたり地域経済を支えてきました。審査部 審査企画課 課長 高前田賢一氏は、「銀行は、取引させていただいているお客さまの支えがあってこそのビジネス。お客さまとWin-Winの関係で、地域とともに成長している存在」と言います。
 その七十七銀行でここ数年注力している分野にデジタルテクノロジーの活用があります。金融業界もデジタル化の波を受け、FinTechと呼ばれる新しい金融サービスが次々と登場しています。七十七銀行でも積極的にデジタル化を狙い、AIなどの活用を検討していました。そこで導入されたのが、与信管理業務の効率化と高度化が期待できる、JSOLのAI業況変化検知サービス「FinCast」でした。

左)株式会社七十七銀行 審査部 審査企画課 課長 高前田 賢一氏
中)株式会社七十七銀行 審査部 審査企画課 副長 渡邉 剛氏
右)株式会社七十七銀行 デジタル戦略部 デジタル戦略課 副長 ITストラテジスト 沼田 孝人氏

与信管理のスピードアップ、効率化、精度向上が期待できるFinCast

 FinCastとは、口座情報などの動態データの分析により、取引先企業の業況の変化を検知するためのクラウド型サービスです。融資先企業の入出金データをもとにAIが分析して可視化し、経営状況変化の兆しを検知します。
 デジタル化を推進していたデジタル戦略部 デジタル戦略課 副長の沼田孝人氏は「FinCastには与信管理業務の効率化、高度化に役立つことが期待できました。分析に用いる融資先の入出金データなら行内に膨大に存在しているので、すぐに利用を開始できるのではないか」と考え、与信管理を含む審査業務全般を担当する審査部に声をかけました。
 多くの銀行では年に一度、融資先の決算書を受け取り、企業の状況を判断するのが一般的でした。より詳細に状況を知るために、融資先の口座の動向を営業店の担当者が見ることはありましたが、東北最大のシェアを持つ七十七銀行の取引件数は膨大であり、大きな負担がかかっていました。「融資先が決算期を迎えたあと、銀行が決算書を受け取り、その分析が終わるまで数カ月間のタイムラグが生じます。FinCastを活用すれば、融資先の入出金データのみで変化の兆候を検知できるため、お客さまの状況をいち早く察知できるのではないかと期待しました」という高前田氏。
 FinCastは三井住友銀行との共同開発により、AIモデルが構築されていたことも、安心につながりました。そのモデルをベースにして七十七銀行向けのカスタマイズも可能でした。

PoCで分析精度と作業の効率化、セキュリティーを確認

 2019年8月FinCastのPoCを実施し、過去の入出金データをFinCastで分析して、どのような結果が出るかを確認しました。PoCを担当した審査企画課 副長の渡邉剛氏は「PoCでは、融資先企業の過去のデータを用いました。その後の経営状況が明らかになっている企業のデータですから、FinCastが導き出した結果が正しいかどうか確認する検証でしたが、その結果は一定の精度といえるレベルに達していました」と評価しました。
 PoCでFinCastを操作して渡邉氏が驚いたのは「データ制約の少なさと操作の簡単さ」だったと言います。FinCastは、CSV形式の入出金データを投入し、数十分で結果が表示されます。一般的なAIによる分析では事前に、投入するデータの整備に時間を要しますが、FinCastはそこに掛かる負荷が軽減されます。
 渡邉氏も、「これなら特別なスキルを必要とせずにAIを活用できる」と安堵したそうです。
 セキュリティー面の不安も解消されました。サービスとはセキュアな回線で結ばれるため、外部漏えいのリスクは考えられません。アップロードするCSVファイルも、融資先の企業名は含めず識別番号で管理しています。
 また、PoCを通して見えた課題から、FinCastにも改良が加えられました。PoCの時点では融資先ごとにスコアや各データの寄与度(そのデータがどの程度スコア算出に寄与したかを示す数値)を一覧形式で提示していましたが、分析に使用したデータをグラフなどで可視化する機能を追加しました。
 さらに選定途中では、JSOLの仲介により、すでにFinCastを利用している他の銀行との面談の場も設けました。そこで、運用に関する懸念事項などを相談し、七十七銀行での導入に生かしました。
 FinCastは、将来のリスクを未然に防ぐものであるため、数値で示せるような明確な効果を見積もることが難しいものの「お客さまの状況が悪くなってから銀行が支援するのではなく、元気なうちに経営状況の変化の予兆をつかみ、早めにお客さまのもとに足を運び、相談できるようになるという新しい取り組みである」点が行内でも評価され、導入決定に至りました。
 その後のカスタマイズなどは、審査部とJSOLを中心に進められました。審査部にFinCastを紹介した沼田氏は「通常はIT部門が率先してシステム導入を進めますが、今回の取り組みはユーザー部署が主導でJSOLとやりとりして進めました。それが現場部門で使いやすく実効性のあるシステムが仕上がった要因だと思っています」と振り返ります。

AIの分析を人間の目で吟味してから、営業店に相談

 そして2020年9月、FinCastの利用を開始しました。従来の営業店での与信管理に加えて新たに、審査企画課が月に1回FinCastで分析し、業況変化のアラートが出たものに対しては審査企画課が確認のうえ営業店に連絡し、営業担当がお客さまを訪問するという流れを作りました。
 そのやり方を、沼田氏は「AIの分析結果を、審査部門の目で判断し、それを営業店に伝えるのは、非常に良いしくみ」と評価しています。AIで客観的に分析したとしても、人間の目で必ず確認し、営業店が個々事情の異なる融資先から話を聞きだすコミュニケーションが重要だからです。
 高前田氏も「お客さまを訪問すると、『資金繰りに困っていて』と相談されることもあれば、『新しい事業を始めようとして、手元資金が減少している』ということもあります。困っているお客さまに対して先手を打って支援すれば、影響を最小限に抑えられるでしょう。また新事業について伺えば、融資などの支援、販路拡大のためのコンサルティングにつながるケースも考えられます」とメリットを説明します。
 営業店の担当者からは、「お客さまの業況変化に対する気付きを得るきっかけとなっている」という声が上がっているそうです。渡邉氏は「お客さまの将来につながるお手伝いができるよう、FinCastを効果的に運用していきたい」と決意を口にしました。

左から、JSOL 松井、七十七銀行 沼田氏、高前田氏、渡邉氏、JSOL 木村

企業情報

会社名

株式会社七十七銀行

本社所在地

仙台市青葉区中央三丁目3番20号

創業

1878年(明治11年)12月9日

事業内容

金融業

WEBサイト

(2021年01月現在)


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