紙での伝達事項が8割という生産準備工程を全社的に見直し。あるべき形を『ものづくリンク』で構築して効率化

ボデーやブレーキなど、自動車向けの部品を製造してきた豊田鉃工。車両量産に移る前のプロセス「生産準備工程」の効率化、スピードアップ、グローバル展開を図って導入したのが、JSOLの組立製造業向けPLMソリューション「ものづくリンク」でした。

課題・解決・効果

課題

  • 生産準備工程での情報伝達に手戻りが発生。製造のリードタイムに影響

  • 紙での伝達が8割を占めるなど、効率化推進の障害に

  • 別システムが稼働している海外拠点とは一元管理できない

解決

  • JSOLの組立製造業向けPLMソリューション「ものづくリンク」を導入

  • 利用部門とのワークショップにより、全社的な業務フローを見直して、開発に反映

導入効果

  • 各部門の生産準備工程における情報の流れを見える化してスピードアップ

  • 紙による伝達事項がゼロになり、ペーパーレスを実現

  • 国内と同じシステムを活用、海外拠点のデータを一元管理

  • CADデータなどとの連携も強化。スピーディーに表示

技術革新の中で、部品メーカーの役割が拡大

 自動車用の鋼板や樹脂部品、電子部品などを生産するプレス部品メーカーとして、世界中の自動車業界を支えてきた豊田鉃工。車両の骨格となるボデー、シャシーだけでなく、ブレーキや内装部品など、車両の安全に関わる重要な部品を中心に、幅広く製造してきました。その生産は、日本に9拠点のほか、アメリカ、カナダ、中国、トルコなど海外9カ国16拠点で展開しています。
 その自動車業界でも、CASEやMaaSといった100年に1度とも呼ばれる大きな変化が起こってきました。生技管理部 プロジェクト企画室 室長の石田智治氏は「豊田鉃工のミッションは、自動車メーカーが設計した部品をいかに効率的に量産するかでした。ところが今は、部品の設計にまで関わることも求められています」と説明します。

左)豊田鉃工株式会社 生技管理部 プロジェクト企画室 室長 石田 智治氏
中)豊田鉃工株式会社 経営企画部 IT企画室 担当員 内山 裕介氏
右)豊田鉃工株式会社 営業部 グローバル事業室 小澤 祐亮氏

迅速化した生産プロセスに対応するために、PLMシステムを刷新

 量産体制に入る前のプロセス「生産準備工程」では、クライアントとの窓口となる「営業」と「技術」「生産技術」「調達」「品質保証」「生産管理」などの部門が連携して、図面作成、部品表管理、材料調達、生産ライン構築などを整え、スムーズな量産体制に移る準備を進めます。
 量産体制に移ってからは生産管理システムが活用されますが、量産に移る前の生産準備工程では、打診や相談のレベル、細かい仕様変更や調整などのイレギュラーなやり取りが頻繁に起こるため、システム化が容易ではありませんでした。
 豊田鉃工ではかつて、2003年に構築した部品表管理システムを活用し、生産準備工程を回してきましたが、「当時は紙ベースの伝達をそのままシステム化したために、アナログ的な処理が残ってしまい、またグローバル化にも対応できなくなっていました」と企画総務部 IT企画室 企画グループ 担当員の内山裕介氏は課題を指摘しました。
 例えば、急ぎの伝達事項は紙のメモを渡すほうが早いため、かつての慣習のまま紙で伝達するのが当たり前になっていました。指示を送る側である第1営業部 グローバル営業室 小澤 祐亮氏は「せっかくシステム化していたのにも関わらず、紙のメモが全体の8割を占めていました。受け取った部門から問い合わせを受けることも多く、その対応も負担でした。」と振り返ります。
 また当時豊田鉄工では、事業のグローバル化が進んでいましたが、旧部品表管理システムは日本語のみに対応していたため、海外の拠点では別のシステムを導入した結果、国内拠点との情報共有に支障が出ていました。
「情報をスピーディーに回し、生産のリードタイムを向上させ、グローバルに対応するにはシステムの再構築が必要」と判断した豊田鉃工は、2016年ごろに新たなシステム導入の検討を開始しました。そのとき声をかけた業者のひとつがJSOLでした。そのJSOLが提案したのが、組立製造業向けPLM(製品ライフサイクル管理)ソリューション「ものづくリンク」です。ものづくリンクは、テンプレートをベースに必要な機能を開発していくもので、短期間に高品質なシステムを構築できるという利点を持ちます。
その提案を見た内山氏は「柔軟性の高さが魅力」という印象を受けました。「テンプレートで提供されるのは50%。残りの50%は、現場の要望にあわせて柔軟に開発できるという、パッケージとスクラッチの長所を合わせて持っているソリューションでした」(内山氏)
 また料金体系もサーバー単位で設定されているため、ユーザー数が増えてもコストが抑えられます。そして多言語に対応しているため、グローバルでの統一も可能でした。さらに「海外での利用は別ライセンスが必要」というパッケージが多い中、ものづくリンクは海外でも統一ライセンスが利用できたことも利点として評価されました。

ワークショップで利用部門の声を受け止め開発に生かす

 2017年11月、利用部門の投票による最終コンペで、圧倒的な支持を受けたJSOLのものづくリンクが採用されました。「大きなプロジェクトだからこそ、私たちの課題にしっかり寄り添って解決できる会社に依頼したかった」と内山氏は支持の理由を説明します。
 利用部門の実務担当者からの要望をまとめるワークショップも実施しました。そこでは「このシステムは15年、20年と長く使うもの。あるべき姿を目指して、業務そのものを根本から見直そう」という熱い議論が交わされました。このようなワークショップを何度も繰り返した結果、紙のメモを撤廃しシステムで完結する、生産準備工程のあるべき姿が見えてきました。
 そしてJSOLはそれらの意見をしっかりヒアリングし、開発につなげました。「JSOLは実現不可能と思われる意見もすべて受け止めた上で、提案、開発してくれました。そのため利用現場の意見がものづくリンクの至るところに反映されています。どの機能が反映されたものか、たくさんありすぎて、わからないくらいです」(内山氏)
 ワークショップの成果について、石田氏は「ワークショップに参加した人を中心に、利用が広がった」と言います。新機能を追加したとき「私たちの要望が反映されたものだ」と周りの人たちに広めてくれたそうです。
 ただ業務面でも大きな変更を伴ったため、利用部門での作業も大きく変わりました。現場の戸惑いも想定されたため、当面の間、豊田鉃工にJSOLのサポートスタッフが常駐し、問い合わせにすぐ対応することで、スムーズに利用が浸透するよう支援しました。

生産準備工程を一元管理して、全部門の連携強化

 2019年5月、ものづくリンクは稼働を始め、豊田鉃工では「TPPS(Toyotetsu PreProduction System)」と愛称がつけられました。その効果として内山氏は、システムに一本化したことによる情報の可視化と展開スピードの向上を挙げます。
営業の小澤氏も「今では紙はゼロになり、営業から情報を発信したあと、最後の生産管理までスムーズに流れるようになりました。どの部品をどの工場で扱っているのかも把握しやすくなりました」と日々の業務における変化を実感しています。
 海外出張する利用者からも喜びの声が聞こえています。「同じシステムが海外でも使えるようになり、海外出張中もいつもの画面を開いて日本語で仕事ができるようになりました」(内山氏)
 他のシステムとの連携効果も進みました。自動車部品はパーツの点数も多く、以前はエクセルなどを併用して管理していましたが、現在はTPPS(ものづくリンク)に集約されました。また、以前の部品表管理システムからCADデータを開くのに数手順掛かっていましたが、今ではTPPS(ものづくリンク)からクリック一つでスムーズに3D CADデータを開けます。
「複雑な部品のパーツも関連性が把握しやすくなり、効率よく管理できるようになりました」(小澤氏)
「今後も生産情報の集約、管理をさらに推し進めていきたい」と口にする石田氏。ものづくリンクによる開発では、将来の機能追加に対応しやすいように拡張性に余裕を持たせているため、今後も拡張を続けていく計画です。内山氏も「IoTから集約される膨大なデータ、その解析や分析などをベースに製造に関するあらゆるデータを、TPPS(ものづくリンク)に集約していきたい」と抱負を語ります。豊田鉃工では近年、自動車で培ったノウハウを生かして植物工場も稼働させていますが、「植物工場をTPPS(ものづくリンク)で管理しろと指示されてもすぐに対応できますよ」と内山氏は笑顔を見せました。

左から、JSOL 松本 卓真、任田 紘子、豊田鉄工株式会社 小澤 祐亮氏、内山 裕介氏、石田 智治氏、JSOL 宮嵜 晋、宇水 良江

企業情報

会社名

豊田鉃工株式会社

本社所在地

愛知県豊田市細谷町4丁目50番地

創業

1946年2月27日

事業内容

自動車部品製造 プレス・樹脂金型、溶接設備設計製作 他

WEBサイト

2021年03月現在


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