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ITよもやま話

SI業界を志望する学生が習得すべき「技術」とは?

ITコンサルティング・技術本部 情報技術戦略部 課長 高橋 基信

 毎年4月には、大半の会社、部署では新入社員の入社というイベントがある。
 SI業界にもSEの卵として多くの学生が新入社員として入ってくる。出身学部・専攻を見ると、文系/理系とさまざまで、理系といってもいわゆる情報系のように、SI業界を含むIT業界と関係が深い専攻もあれば、直接的には関係のない専攻まで多種多様なのが一般的な状態であろう。

 ここで、考えていただきたい点がある。
 いわゆる情報系は、IT業界に直結する勉強を学生時代に行っている「筈」である。また少なくとも文系に比べれば理系の学生の方がスタートラインは一歩先にあってもおかしくない筈ではないか。
 しかし、SI業界における大半の中堅、大企業における新入社員の教育の中では、敢えて言えば言語系の研修について若干免除措置がある程度で、ほぼ同列に扱っているのが実態であろう。実際、出身の違いによる能力の差異が目立つのは入社1、2年目の間位であろう。
 では、学生時代に身につけておくべき/つけさせておくべき技術とはそもそも何であろうか。

 もちろん基本情報処理技術者試験に代表されるような基礎的なIT知識を身につけておくに越したことはない。これはIT業界の共通語のようなものであり、ここで挫折するようであれば、この先はおぼつかない。さらには自分で手を動かして、システムを構成するDB、ネットワーク、アプリケーションといった各パーツの技術力を高めておけば、必ずや役に立つことがあろう。また最先端の知識・技術を把握する上でも、英語力は是非培っておいてほしいところである。
 その一方で、SI業界の本職である「システム開発」は、こうした知識・技術に長けているだけでは仕事を行うのは難しい。残念ながら、学生時代に情報系を専攻しており、特定のIT技術に非常に長けていても、それだけではほとんど戦力にならないことが多いのがSI業界の実情である。様々な「パーツ」をいかに組み合わせてシステムを「組み立てて」行くか、いかにして顧客の要件を引き出して、それを「設計書」として表現し、システムの形で具現化していくかが、この業界の肝である。顧客の要件を把握する上ではIT知識よりも顧客の業界知識の方が直接的に役立つことが多い。数十人から数百人規模の人間が一つのシステム開発に携わることも少なくない中では、チームとして仕事を行うチームワークも重要である。
 これらの業務に必要な「技術」とは、いわゆるIT技術というよりもヒューマンコミュニケーションの「技術」に近い。実際いわゆるSEとして伸びる人材は、基礎としてのIT技術を押さえつつ、こうした非テクニカルな技術に長けた人材であることが多い。

 専門知識・技術の学習の場として機能している大学と、IT技術を基礎としつつも定量化しにくいヒューマンスキルの「技術」が重視されるSI業界とのギャップは深く、一朝一夕に埋めるのは難しい。とはいえ、何も行わないままではこのギャップは埋まらない。ギャップの解消に向けて、まずはIT業界が人材に求めるヒューマンスキルのより一層の明確化を図ることから、一歩目を踏み出してみてはどうだろうか。

(2010年2月10日)

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