特集

ITよもやま話

IT業界の市場変化に応じた新サービスモデルへの構想

ソリューションビジネス本部 ソリューション企画部長 大濱寛樹

 古くはマルチメディア、オンデマンド、最近ではクラウド、仮想化等、IT業界は昔からBuzz Wordに溢れている。中には今では口に出す事も憚れるものもあるが、いずれにしてもある一時期は(商売上の)キーワードとして盛り上がるものの、時と共に忘れ去られているものも多い。むしろIT業界は、時として(主には米国を発信源として)ムーブメントを起こして、市場を作ってきたように思える。確かに各種技術(例えばネットワーク品質・コストの低減やコンピューティングリソースコストの低減等)が発展途上の間は、マーケット主導の側面はあるものの、漸進的な性能向上のイノベーションにより、市場そのものを活性化してきた点は否めないが(まぁ、便利になってきたのは確かだが・・・)、現在では熱狂的なユーザーを除けば、ハードウエア、もしくはソフトウエアの性能は必要にして十分な状況にあり、が故にITは成熟産業なったと言われて久しい。

 実際、クラウドを例に取った場合、顧客視点ではITコスト削減の要求と呼応し、提供者側にとっては、過去の事業成功モデルの継続が厳しい状況になりつつある。すなわち、市場参入障壁(事業リスク・コスト)の低減に伴って、新旧事業者が入り乱れた過当競争気味の市場様相を呈している。言い古されたBuzz Wordで言えば、Red Oceanな状況になっている。

 そのような事業環境下で、従来からのIT事業者の選択する道は何であろうか?
 あるいは市場から求められるIT事業者像は何だろうか?

 一つの参考例を、ひと足先に成熟産業入りした(とされる)航空業界に見てみる。航空業界は、内外の各国大手を中心に市場規模を拡大してきたが、LCC(Low Cost Carrier)の台頭とともに価格競争が発生し、高コストの大手の多くが(政府保護下の航空会社を除き)事業破たんに至ったのは周知のとおりである。クリステンセンが"イノベーションのジレンマ"で言うところの「破壊的創造」によって、市場環境が変わったわけである。そして、合従連衡の結果、(1)従来市場をリードしていた航空会社は、資本力を基にLCCを巻き込んだフルラインアップサービスを目指す、あるいは主にビジネスクラスの顧客を中心とした(小職はエコノミークラス専門だが・・・)高品質なサービスを提供する方向、(2)新しいサービスモデルを提起したLCCは、ダイナミックさと利便性、価格優位性を更に訴求する方向に二極化・寡占化し、現在では両者が併存している。いずれにしても、顧客ニーズを捉え、市場の半歩先のサービスをタイムリーに提供した企業が(1)(2)いずれかの領域で勝ち組になっている構図である。興味深いのは、国内A社で、(1)の中にLCCを自己資本を投入して立ち上げる一方で、(2)も同時に海外LCC大手との提携で推進する2方面展開をしている。クリステンセンは一方で、創造的破壊のためには、本体とは独立した組織が必須としており、A社関連のLCCも本体とは別組織として外部に設立される予定である。(既存事業との確執が表面化し、短期的に収益が見込めない領域への抵抗となるため)

 さて、IT業界でも同様の状況が発生するとした場合、当社の選択すべき方向はどのようなものであろうか?上記航空業界で言うところの(1)なのか(2)なのか?
 既存の事業の延長線上で考えると、当社が築き上げてきたお客様との更なる関係強化のために、特定領域フルラインアップ化を図る(1)の方向性、一方で、昨今のクラウド化など所有から利用への大きな流れを考えた場合、新しいサービスモデルをダイナミックに展開する(2)の方向性もある。実際、例えばJ-Shipブランドで展開しているSAP向けIaaSサービスは、クラウドの流れの中で、成熟した技術レイヤーをお客様ニーズに適合させて新たなサービスモデルとした典型例であり、今後もこうした新しいサービスモデルの提案を行っていきたい。特にクラウド基盤上でのサービス型アプリケーションの提案は、JSOLとしてお客様にコミットすべき重要な領域である。

 既存ビジネスの成長とイノベーションのマネジメント両立は、どの分野においてもチャレンジングなものであるが、お客様の市場環境変化に伴ったITによるタイムリーなサービス提供がJSOLの使命であり、今後の生命線となる。航空業界で起こっていることを参考にしながら、サービスそのものだけでなく、その推進方法についても、既存組織、既成概念にとらわれない取り組みを進めていく所存であり、今後のJSOLの新たなソリューション/サービス展開にご期待いただきたい。

(2011年08月10日)

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