農作物の出荷予測モデル
~産地に合わせた出荷予測モデルの構築により高精度の出荷計画策定を支援~
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生育調査等の時間削減
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経験知を反映した新たな営農技術体系の構築
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効率的な出荷によるロスの削減
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農家の所得向上
農林水産省・消費者庁・環境省が主催の「あふの環2030プロジェクト-サステナアワード2020」にて、「JSOL-SDGsプロジェクト-農作物出荷予測モデルの産地適用」の動画が「サステナアワード2020 ルーキー賞」を受賞しました。
NTTデータと当社が共同で構築した出荷予測モデルは、NTTデータの営農支援プラットフォーム「あい作®」上にデータを蓄積し、数理計画に基づいた実用的な出荷予測を行います。集出荷のために従来収集されているデータや、スマートフォンなどを利用して農業従事者の負担なく作業実績、生育状況や、気温などの収集したデータに対して、出荷時期に影響を与える要因を分析して設計した出荷予測モデルを使用して予測を行い、最適な出荷計画の立案をサポートすることで、出荷時の「ロス」削減に貢献しています。
当社の取り組み
JSOLでは、農業分野において、「投資<利益」を段階的に拡大させる成長モデルをベースに、ソリューション設計を行うことで、収穫・出荷などの予測を高度化し、資源管理・販売といった経営全体の効率化を目指しています。
この取り組みは、生産者の方以外にも、流通・食品メーカー・金融・研究機関等々の皆さまから賛同・支援により進められており、今まで存在しなかったデータとその活用技術が、サイエンティストネットワーク(アライアンス)を通じて集積され始めています。私たちは、次代を生きる世界中の人たちへ、「食」をつなぐ挑戦をしています。
その事例として、JA香川県様において、「あい作®」を活用したブロッコリーの出荷予測モデルの構築を行っています。香川県の主要品目であるブロッコリーを対象として、過去実績データ(栽培履歴データや出荷実績データ、歩留まりなど)を元に統計分析にて出荷量を予測し、生育調査等の時間削減、経験の浅い担当者でも事前に出荷見込を把握できる出荷予測モデルを設計しました。今後、開発・運用フェーズへと移行する予定です。
本件は、ビジネスにおいては、効率的・戦略的な販売を実現し農家の所得向上を目的に取り組みを行っていますが、一方、効率的な出荷によってロスを削減しSDGsへ貢献するものです。
社会への視点
生産から流通・加工の過程で、多くの「ロス」が発生しています。当社にて収穫予測に取り組んでいる野菜の分野でも、販売先が決まらず収穫されない圃場、気象条件によって採り切れなくなってしまった野菜、加工の過程で削られ製品にならない野菜など多くの「ロス」があります。
これらの問題は、生産と流通をつなぐ収穫予測や需給のマッチング機能の導入・向上によって、改善される可能性があります。そして、そのヒントとなる経験知や調査データは農業現場に蓄積されています。
JSOLでは、こうした現場のデータを活用し、現場の知見・生産技術・品種改良といった農学・植物学・数理の研究者やNTTデータをはじめとするグループ企業と協働し、データに基づく経験知を反映した新たな営農技術体系の構築に取り組んでいます。
担当者の声
JSOLでは農業分野での取り組みを2011年より開始し、生産・流通・加工の事業会社、学術機関、公的機関、そしてグループ企業と連携させていただきながら、取り組みを継続しております。その中で私自身は2014年よりプロジェクトに参加し、特に野菜を対象として、当社のデータ分析・予測技術を用いた生産・流通における業務の効率化を支援しています。食・農分野では、今、ダイナミックに経験値・データ・技術が融合し、スマート農業・スマートフードチェーンとして新しいビジネスモデル・新しい技術体系が生まれ育とうとしています。また、担当者としては、日々手に取る野菜を通じて、国内の様々な地域経済とつながっていることを感じることができるインスピレーションを常に刺激される大変興味深いプロジェクトであると思います。
【用語説明】あい作®
NTTデータ社が2019年4月より提供している営農支援プラットフォームです。栽培計画、栽培記録、連絡・相談等をスマートフォンやタブレットから利用でき、産地の営農活動の高度化・効率化を支援するサービスとして、栽培情報の見える化に加え、農作物に関わるすべての人を繋ぐことで、日本の農業を支えています。
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・「あい作」は、株式会社NTTデータの商標です。
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・その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。