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優れた技を誰もが分かる言葉に“翻訳”してノウハウとして共有する

 ところで、PMOは従来からある品質保証部署とどのような関係にあるのだろうか。
 実際、PMO活動のなかで決められていく標準化や、蓄積されていくトラブル分析などには、品質保証部(QA=Quality Assurance)が所管している事項が多い。PMO活動とQAの活動が二重化してしまう危険性がないわけではない。

 石川はQAとも密接に協議を重ね、両組織の役割分担を決めた。
 つまり、プロジェクト関連の全社標準化作業などは従来通りQAが行い、PMOは標準化を全社に定着させることに力を注ぐ。部門PMOや各種のタスクフォースの活動についてはPMO会議に集約し、QAはアドバイザーとして連携を密にする。
 開発部門に有用だと見込めるテーマの標準への追加提案や運用改善などは部門PMOが行い、QAにフィードバックしていく。これらの一連の推進と取りまとめはPMO部で行う、というものだ。

プロジェクトマネジャー 石川 智子

 「たとえば、全社で取りまとめQAから発行される年間のトラブル報告の全容は、翌年の夏頃にならないと正式なものとしてまとまりません。しかし、それを待っていては問題がさらに悪化します。PMOは、早期発見・早期治療を基本方針としてプロジェクトに取り組んでもらうのが狙い。今、ちゃんとやれていますか、とチェックできる体制がPMOなんです。トラブル状況はPMO会議で報告いただき情報共有すると共に、四半期毎に原因分析と対策検討を行っています。」

 各部門のPMO事務局で構成されるPMO会議は毎週開催され、レビューおよびトラブル発生等の月次状況の共有、問題プロジェクトの吸上げも行っている。これに先立ち、受注額が1000万円以上の新規および保守プロジェクトのすべてに、月次報告(進捗、コスト、品質、課題等報告)を作成させ、PMの自己チェックを推進させるとともに、各本部で第三者レビューを行っている。レビュールールに則り、各プロジェクトは各本部で開発段階別レビューを受けている。さらに、各本部が抱える大型のプロジェクトについては、PMO部が月次や節目ごとのレビューを行っている。
 「実は、受注金額が3000万円クラスのプロジェクトが最も赤字プロジェクトになりやすい。なぜならば、プロジェクトマネジャーが一人でこなせてしまえる規模だからです。こういうところが危ないのです」

 石川が何度も強調するのは「レビューは、上目線で現場にやらせているものではない」ということ。単なる評価手法であったり、実施を強制するものではなく、レビューを通じて能力や信頼性の向上につながるような取り組みを生み出していく。
 プロジェクトマネジャーの個人的な力量に頼った属人的なノウハウを皆が共有するのはなかなか難しい。そうしたスキルを伝授したり、共有したりするには、ノウハウを誰もが理解できる論理的な言葉に"翻訳"することが必要で、それをサポートするのがレビューであったり、PMO部であるのだ。

 たとえば、これぐらいのバグが出ていないとテストが十分ではないという「バグ密度」などは、従来は経験則で受け継がれてきた。またアプリケーションの要件定義の時に、アプリケーション基盤や基盤技術についてもレビューを行うことで、発生するであろう問題点を先につぶしておくこともできる。いわゆる"擦り合わせ"の実現である。
 さらに、パッケージを使う開発(ERP開発)や、パッケージを使わない開発(スクラッチ開発)など、異なる手法別のレビュー手法の確立も重要だ。

 「実はPMOの最終的な目標は、お客様にパートナーとして認めていただけるような技術やノウハウを身につけることにあります。お客様からは、『見積もりだけ出してくれれば良い』と依頼されるケースが少なくないのですが、これはわたしたちがベンダーとみられている証左であり、わたしたちのスキルアップにもつながりません。この状態を乗り越え、パートナーとして認めていただけるプロジェクトノウハウを持てれば、仕事の領域は広がるし、お客様の本当のニーズを探ったり、メンタリティを共有できたりするのです」

(2012年03月現在)

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