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テーマ4シミュレーションの実用化を実感させ、広めるソフトの投入を

猿渡 最後にシミュレーション技術の、具体的な普及策についてご意見をお伺いいたします。JSOLは、LS-DYNAやJMAGシリーズなど、いくつかのシミュレーションソフトを持ち、現在はものづくりの世界での技術向上や効率性の向上に貢献したいと考えています。それこそ最先端の学問的知見を取り入れてソフトのブラッシュアップを継続しながら、シミュレーション技術の進化とソフトの進化が同時並行となるように努力しておりますが、産学ということでは今後、どのような部分で連携を強めれば良いとお考えでしょうか。
佐藤 残念ながら、ものづくりの関係でいえば産学の連携は弱まっているのではないでしょうか。災害分野に限定するならば、まだ棲み分け領域というか取り組み領域ははっきりと分かれているように思います。つまり、地震や津波の発生メカニズムに関する研究はまだまだ大学の領域にあります。地球物理学的な解明には、スパコンを駆使してもまだまだ時間がかかるでしょう。
しかし一方では、地震発生後や津波が襲来したときの被害シミュレーションは機動的に予測できるようになってきました。このあたりは、民間企業の積極的な取り組みが期待されるところです。
猿渡 つまり、最前線にある研究をいち早くブレイクダウンして社会に届ける、ということですね。災害発生後の対応シミュレーションの分野などです。
佐藤 そうですね。実際、シミュレーション学は、先ほどもお話ししたように単純な自然解釈のレベルから、あらゆる分野で、人間を軸としていかに人間を守るかという方向へと向かうのは間違いありません。そうであればあるほど、大学だけではない社会の広い知見を集め、丸ごとシミュレーションしていくのです。
橘 僕は、言い方はちょっときついかもしれませんが「学会の分断された蛸壺」からの脱出をシミュレーション学が促してくれると感じています。例えば、大阪では地下街が網の目のように拡がっていますが、最近では西日本でもマグニチュード9クラスのプレート境界型地震が発生する可能性がある、と言われたりしています。大阪や神戸は、その震源となるプレート境界面から約300km程度離れている為、P波が毎秒約5km進むとすると大阪に到達するまでには約1分かかることになる。この1分間でどのような地下からの避難対策が可能なのか。さらに地上に逃れたとき、一体、地上はどのような状況になっているのか、高層マンションや交通状況はどのようになっているのか、といったことまで関わってきます。
どの都市や農村も地域ごとの特有の問題を含んでいるはずです。それらに対応するには「学会の分断された蛸壺」で主張するのではなく、社会学、人間工学、なども含む広範な知見を集約した判断が必要で、その意味でも佐藤先生の提唱される「シミュレーション学」が今後益々重要になると確信しています。
佐藤 さらにいえば、LS-DYNAやJMAGなどのシミュレーションソフトやソリューションで大学の先生たちにもっと発破をかけてください。ものづくり分野だけでなくさまざまな分野でシミュレーション技術のおもしろさや深さを実感できる実用的なツールとして認識が広まれば、シミュレーション学の向上そのものにもつながっていくと思います。
猿渡 座談会風景スーパーコンピューター技術そしてシミュレーション学という『未来を予測する技術』は、人を自然災害から守り、安全安心な社会を支えるための無くてはならない科学技術であることをあらためて学ばせていただきました。同時に私たちは、社会に対して高い視点と広い視野を持って研究開発にのぞみ、市場そのものが活性化するようなシミュレーションソフトと、その活用法を提示していきたいと考えております。ぜひまたアドバイスをいただければ幸いです。佐藤先生、橘先生、本日は、お忙しいなかありがとうございました。
佐藤氏

佐藤哲也(さとう・てつや)
兵庫県立大学大学院教授。京都大学大学院工学研究科電子工学専攻。京都大学理学部助手。東京大学理学部助教授、広島大学核融合理論研究センター教授、核融合科学研究所理論・シミュレーション研究センター長、海洋科学技術センター地球シミュレーションセンター長などを歴任して現職。シミュレーション・サイエンスの先駆者として活躍。著書に「未来を予測する技術」(ソフトバンク新書)

橘英三郎(たちばな・えいざぶろう)
大阪大学名誉教授、株式会社JSOL技術顧問。大阪大学工学部卒業後、同大学教授、大学院教授、創造工学センタセンター長などを歴任。この間、日本鋼構造協会大阪オリンピック支援施設研究会のクリーン・フロート・プロジェクトや太陽・風力ハイブリッド発電の開発などさまざまなプロジェクトを手がける。

橘
猿渡

猿渡智治(さるわたり・ともはる)
株式会社JSOLエンジニアリング本部営業部部長補佐 JSOL認定ITプロフェッショナル。核燃料集合体の振動や熱の問題、超高層建築の免震構造解析、自動車の衝突安全設計など、研究開発や設計製造に関するCAEのコンサルティングを手がける。一級建築士。

(2012年03月現在)


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