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「現場百回」での開発課題の解決と解析手法の創造

 現在、自動車開発は車体をより軽くして燃費を高めるために従来の鉄から繊維強化樹脂複合材料(FRP)への置き換えを進めようとしている。これらの素材と形状を基にした衝突安全性の解析・シミュレーションの一つとしてLS-DYNAが活用されているが、林も樹脂材料の変形挙動を高精度に予測するCAE技術開発を行っている。

 「LS-DYNAのすごい所は、開発元のLSTCが最新の研究成果を貪欲に組み込み、新機能を追加して、コストパフォーマンスを向上させてきた点にあるのです。さらに、ユーザーからの要望にも積極的に対応していることも重要な点です。その中でJSOLも技術開発に参画することにより、今まで以上に存在感を高めていければと考えています」

 80年代後半、LS-DYNAによる自動車衝突解析が試行されるようになってきたが、本格化はまだ先であった。実際、93年に旧日本総研(現JSOL)で林が最初に担当したのは、輸送容器(キャスク)の落下強度シミュレーションであった。その後、コンピューターの性能が飛躍的に向上して計算速度も速くなり、自動車メーカーはCAEによる衝突解析を精力的に開始する。

アプリケーションコンサルタント 林 信哉

 旧日本総研は、自動車メーカーのLS-DYNA活用が本格化すると見て、英国のARUP(アラップ)社に林ら3人を送り込んだ。ARUPは世界的な建築設計会社として知られているが、LS-DYNAによる自動車衝突解析でも先駆的な技術を有していた。林がARUPに出向したのは1999〜2000年のことで、自動車衝突解析の基礎と英国流の仕事のやり方を学んだ。2000年以降、旧日本総研では自動車衝突解析業務が急激に増加する。

 Arupから帰国した2000年以降、林は、目まぐるしい勢いで自動車衝突解析の技術開発に当たってきた。主に担当したのは自動車メーカーから依頼を受けて行う解析技術開発。ざっくり言うと、依頼元から製品データと製品試験データをもらい、その試験結果に合うように解析モデルを作成する。その後に、製品性能が目標値になるように設計対策計算を行う。一見簡単なようだが、解析モデルが試験結果を再現しないことが多くある。

 「LS-DYNAに問題があるのではないか、と言われたこともありましたが、果たして本当にそうなのか。私がこの仕事を始めた頃は、解析結果が表示されているディスプレイだけを見て答えを出そうとしましたが、真実はそこには無いと悟りました。実際の製品はどのような形なのか、試験はどのような条件で行われたのか、試験後に製品はどのように変形したのか・・・。『現場』を直接観察するためにオフィスを飛び出しました。例えると、ベテラン刑事が事件現場に百回戻ってでも証拠を見つけ出すようなものです」

 自動車メーカーが目指すものは、誰もが簡単に経済的に利用できるクルマの創造であり、そのための効率的でより自動化された設計開発システムの構築にあることは間違いない。しかし、そのシステムに入力するデータの正確性と信頼性が肝要なのだ。IT業界で使い古された言葉として『Garbage in, Garbage out(ゴミを入れた場合、ゴミしか出てこない)』の原則があるが、CAEも同じである。

 「私が過去に担当した、むち打ち傷害評価のための高精度シートモデルの開発では、現物のシートをメーカーから提供してもらい、穴が開くほど毎日観察しました。歩行者保護脚部インパクタ(脚部ダミー)モデルの開発では、インパクタを完全に分解して、部品形状とその重さ、部品が結合された時の隙間まで全て計測しました。CAEはデジタル技術の極みのイメージがありますが、その基礎データの収集と信頼性の確保には極めてアナログな考えが必要なのです。まさしく、『現場百回』なのです」
 実際、JSOLが日本の自動車メーカーから圧倒的な支持を得られてきたのも、「現場百回」を旨として、何度も何度も改善して成果を上げてきたからだった。

(2015年04月現在)

「Rolling Stone」を極めれば「苔玉」に・・・→


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