(2020年02月現在)

ERPとしてSAPを主力に扱っているJSOLでは、2012年国産ERPのBiz∫を新しい事業として扱うことにしました。そして今では、JSOLにおける事業の柱の一つにまで成長しています。その事業の立ち上げから関わり、中心になって推進してきたJSOL認定プロフェッショナル アプリケーションコンサルタントの樫田健治が、ERP導入のポイントと新しい取り組みへの挑戦について語ります。

JSOL認定プロフェッショナル
アプリケーションコンサルタント
樫田 健治

自身の専門分野とアプリケーションコンサルタントの活動について

お客さまに120%の満足を感じていただけるご提案を

私は、企業の基幹業務を支えるERPの導入支援をしています。主に会計経理業務、経営管理に関する課題解決に携わり、Biz∫とSAPを中心にERPの提案から構築、運用まで幅広く関わる形で、お客さまのビジネスを支援しています。

ここ数年は、ICT技術の急速な進歩に対応するように、お客さまの要望もどんどん複雑化、高度化していると感じています。例えば、かつては新しいシステムを導入するだけで、ある程度の業務改善や効率化が見込めたものですが、最近は、働き方改革や作業負担の軽減、戦略策定などを目的に、新しいテクノロジーである「モバイル」「AI(人工知能)」「RPA(ソフトウエアロボットを活用した業務の自動化)」「クラウド」などの導入を要望されるお客さまも増えています。

また、お客さまのビジネス環境も変わってきており、ERPのリプレースの際に、「グループ全体の経営状態を可視化したい」「別々のシステムを一つに統合したい」という要望が上がってくることがあります。それらの要望を受けて、私たちはICTのプロとして、実現可能な案を提案し続けてきました。

周辺システムの導入も、その案の一つです。複雑なシステムを構築する際には、ERPパッケージだけでなく、それを拡張するシステムも必要になってきます。例えば、導入するERPがSAPである場合は、SAP Business Warehouse(BW)や、情報をビジュアルな形でレポートするSAP Business Objects(BO)などのツールを一緒にご提案することで、経営状態の可視化が実現できます。

このように新しい技術の提案を適切に行うためには、私たちエンジニアも自分の専門分野だけを見ていればいいというわけにはいきません。そのため、「お客さまのビジネス全体を俯瞰して捉えたうえで、何が最適なのかを熟考する」ことを常に意識しています。つまり、全体最適というアプローチです。特に大規模案件では、全体最適という視点からスタートして考えることを心掛けています。

そのような意識で取り組んだ結果、あるお客さまからは「システムを活用して、グループ全体の業績がスピーディーに、求める粒度で見られるようになった」と喜びの声をいただきました。こちらの案件では、利益の確定に1カ月程度かかっていたものが、新しいシステムの導入により日次で見られるようになりました。また売上や利益が取引先や製品、部門といった単位で見られるようになり、経営資源の最適な配分を行うことができるようになりました。

このように私たちは、全体最適という視点で「お客さまの業務、経営判断に必要な情報を提供し、会社全体の生産性を向上させる」という目的をもって、ビジネスに寄与するERPの導入、運用を支援しています。そして、お客さまに120%の満足をしてもらうこと。それが私たちの仕事であると考えています。

注力してきた取り組みについて

新しい柱となるBiz∫事業を一から立ち上げ

私は、ERP導入に関して、提案やプリセールスといったコンサルティング領域から、システム全体設計やテスト、移行、保守といったエンジニアの領域まで、幅広く関わっています。そのため、実行力のある提案やコンサルティングを得意としています。

JSOLではERPとして長年SAPを中心に扱ってきましたが、2012年よりNTTデータ・ビズインテグラルのBiz∫も取り扱うようになりました。Biz∫はintra-martを基盤とする、販売・会計・人事など機能を持つ国産ERPパッケージです。そのため、海外製のものよりも、国内業務との親和性に優れている一面があります。お客さまにとっても、選択肢が増え、自分の会社にとって最適なERPを選べるようになるのはメリットになると考え、JSOLの新しい事業の柱とするべくBiz∫を手掛けることにしました。

Biz∫を取り扱うことが決まったとき、上司から私に「新しいビジネスに挑戦してみないか」と声をかけられました。元来、私はチャレンジが好きな性格で、初めての案件、アプリケーションということに、かなり興味が湧きました。むしろ「困難な状況のほうが自身のスキルアップ、ノウハウの蓄積につながる」という期待もありました。私は「ぜひ」と即答し、それ以降Biz∫事業に中心となって関わることになりました。

これまで手掛けたことのない製品とはいえ、それまでの経験で培ったスキルや知識が通用します。そもそも会計や経理は会社の基幹業務ですので、業種が違っても大きな差はありませんし、システムの基本的な作りはSAPと似ています。そのため、Biz∫を使っても、SAPと同様のメリットをお客さまに提供できるという自信はありました。

とはいえ、実際にプロジェクトが開始すると、開始前にある程度の調査・準備を行っていたものの、十分ではなく、情報を集めながらプロジェクトを進めていくのは難易度の高い仕事となりました。特にお客さまと要件定義を進めるにあたって、新しいスキルや知見を自分自身で収集しつつ、実際にBiz∫を動かしてみて、理解したうえで説明できるようにするのはたいへんな作業でした。

またプロジェクトチームのほかのエンジニアに対して、Biz∫の仕組みを伝えながら開発を進めていくことにはかなり苦労しました。当時のBiz∫はまだ十分に成熟していないこともあり、開発ベンダーであるNTTデータ・ビズインテグラルとも連携しながら、改善や修正を繰り返して、導入を進めていきました。

たいへんなプロジェクトではありましたが、Biz∫でのプロジェクトそのものに不安を感じることはなかったと思います。SAPかBiz∫かという違いはあっても、お客さまの課題を解決するという、最終的な目的に違いはなかったからです。初めてのことが多く苦労しましたが、すべてが終わった後にお客さまから「JSOLにお願いしてよかった」というお褒めの言葉をいただいたことは、忘れがたい思い出です。

このような小さな実績を積み重ねたことで、JSOL社内でもBiz∫を推進する体制ができあがり、やがて大きな規模の案件も受注できるようになりました。部門としてもそれなりの利益を生むようになってきましたし、重要性は増しているという手ごたえを感じています。

今ではお客さまのご要望を伺っていて、「SAPが適している」ときはSAPを、「Biz∫が適している」ときはBiz∫を提案できます。ERPの導入を検討しているお客さまから「ほかのERPパッケージだとどうなんだろう」と尋ねられることが多々あります。そのようなときでも、具体的なアドバイスができるのも複数のERPに深くかかわってきたからこそでしょう。 

学生時代からの取り組みと現在の仕事のつながりについて

学生時代からのチャレンジ精神が、現在の自信につながった

大学時代は国際文化学部という学部に所属していました。理系ではなく文系の学部で、言語学とか比較文化学などを学びましたが、JSOLの仕事ではあまり役立っていないかもしれませんね。ただ、所属していた情報論のゼミで「ICTの技術を使った企業間の取引」などの研究を進めたことは、現在の仕事に結びついているように思います。

学業よりもサッカーのサークルに入っていた経験が、今の仕事に生きているかもしれません。サッカーはチームプレイですから、全員が同じ目標に向かって全力を出さないと勝てません。その経験は新しくBiz∫の事業を推進するときも役立ちました。またプライベートではよく旅行に出かけていました。今から振り返ると、学生時代から人と接すること、新しいことに取り組むことに関心があったと思います。

大学卒業後、2002年に日本総合研究所へ入社して、大阪本社に所属しました。入社当初にやっていたのは、プログラムや設計です。初めてのことばかりで不安もありましたが、プログラミングも実際に取り組んでみると、「自分が作ったものが形になる」という体験を楽しく感じていました。

JSOLに移って3、4年経ったころには、要件定義や提案にも関われるようになり、コンサルタントとしてお客さまとコミュニケーションをとれるようになりました。5年目6年目になると、チームリーダーとしてもプロジェクトにも関わることも増えていきました。このころになると、自分の仕事に自信が持てるようになりました。

JSOLの良いところは、チャレンジしたい社員をサポートしてくれるところです。Biz∫もそうですが、私は、初めての業種、業界に関わる機会があれば、積極的に手を上げるようにしています。だからといって、全部の責任を負わされるわけではなく、困ったときは必ず上司や仲間がサポートしてくれるので、孤立することなく、安心して挑戦に取り組めます。

プロフェッショナルとして今後取り組んでいきたいこと

新しい技術を積極的に吸収し、会社のビジネスを強化するERPへ

Biz∫を手掛けるようになって8年になりますが、JSOLはこれまでの実績によって、Biz∫の導入において「大規模な案件を手掛けられるベンダー」として一定の評価が得られています。ノウハウの共有や改善ためのフィードバックなどを行い、今後もBiz∫のビジネス拡大や品質向上に寄与していきます。

JSOLにもBiz∫に関するスキルや知識も蓄積されてきました。一つの案件で作ったドキュメントやツールなどは、なるべく汎用的に応用できるようにして、類似した用途にも利用できるようにしたり、別のお客さまの案件でも流用しやすくして、効率化できるような工夫をしてきました。それはコスト削減にもつながります。

一方で、ICTの発展により、ビジネスが拡大しつつある現在、Biz∫単体ではカバーできないような領域やツールを組み合わせた提案を求められることも増えています。そういったケースに対応するために、AIやBI、RPAなどの周辺機能を含めたツールを組み合わせたテンプレート化を進めたいと考えています。テンプレート化することで効率的な導入が可能になりますし、パターン化することでお客さまにもメリットを明確に示しやすくなります。

このようにして、Biz∫の導入効果をさらに拡大し、お客さまに最大限の貢献ができるようにしていきたいと考えています。

今後、日本のマーケットは業界に限らず縮小していくと予想されています。そのなかでJSOLは、いかに「お客さまの業務の効率性を向上させる仕組み」を作って、ビジネスに貢献できるかを重視し続けています。それこそがJSOLの提供できる価値であると考えています。

会計もまた同じです。会計は、財務会計と管理会計に分かれます。財務会計は法制度を順守し、資産や利益や負債など、会社の経営状態を報告するための会計です。一方管理会計は、経営のための分析や意思決定のための会計で、会社ごとに最適な形を考えて構築していくものとなります。

財務会計でも、IFRS(国際会計基準)など、各国で異なる会計制度の統一化を図る方向に進んでおり、制度も随時アップデートされているので、今後も目を離せません。管理会計もまた、グループ企業、グローバル企業という大きな視点で経営判断をするために、さらなるスピードアップが求められるでしょう。私たちもお客さまの要望にすぐに対応できるよう、それらの情報のキャッチアップに努めています。

お客さまも、現状維持するだけでは、市場から取り残されてしまうでしょう。情報収集に努めて、特にICTの技術を駆使して業務を改善していくことを強く意識していただければと考えています。実際、「新しいテクノロジーを基幹業務で活用したい」「グループ全体、グローバル視点で経営状態を可視化したい」というニーズが高まっています。JSOLも、お客さまと一緒に、最大限の効果が発揮できるようなシステムの提案、導入、運用をお手伝いしたいと考えています。 


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