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【開催報告】社会デザイン・ビジネスラボ設立説明会
多様なスキル、経験を持った人が集まり、社会デザインのアプローチで21世紀型の社会課題解決の場を

立教大学 社会デザイン研究所と株式会社JSOLは、社会デザイン・ビジネスラボを2019年12月12日に立ち上げました。本研究会は、社会に貢献したいという思いを持つ個人の知識と強み、企業のリソース、そしてJSOLの持つICTを中心としたテクノロジーによって新しいビジネスを創出し、持続可能な社会を生み出していくことを目指して設立したものです。
社会デザイン・ビジネスラボ設立の背景や目的を社会デザイン・ビジネスラボ 事務局長の三尾幸司とラボの会長である立教大学 社会デザイン研究所所長の中村陽一氏が語り、識者を招きパネルディスカッションを催しました。

【講演パート1】

プライベートな社会貢献活動から、企業を巻き込んだ大きな活動へ

冒頭に社会デザイン・ビジネスラボ 事務局長の三尾 幸司が、設立の背景やきっかけ、目的について解説しました。

株式会社JSOL 社会イノベーション推進センター長 三尾 幸司

コンサルティング領域に強みを持つJSOLは、ICT面からビジネスを支援してきました。最近では、IoTやAIを駆使した新規事業なども手掛けています。私は、JSOLの社会イノベーション推進センター長を務めており、社会課題解決に取り組む事業を進めています。

その一方で、地域や教育施設に貢献することを目的に、NPOやPTAなどの活動にも参加しています。社会貢献活動をプライベートで続けていくなかで、常に気にかかる考えがありました。それは、「一人の人間にできることは限られている」ことです。革新的な社会貢献活動を行うためには、個人の力だけではなく、企業、そして専門的な知識を持ったプロフェッショナルの参加が重要になります。

実際、企業に勤めつつもプライベートでNPOや社会貢献活動に取り組んでいる人は、数多くいます。「その人たちと一緒に活動したい」という思いで立ち上げたのが、「社会デザイン・ビジネスラボ」です。

社会全体のWin-Winを創出する

社会デザイン・ビジネスラボの大きな目的は、「ICTによる社会課題解決とビジネスモデル構築」です。参加いただく企業の強み、それから個人の強みを生かし、持続的に成長するそんなエコシステムを創出したいと考えています。これにより、企業の社会的責任やSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献できるものとなると期待しています。

企業から見ると、この研究会も単なるCSR活動に見えてしまうかもしれません。しかし、社会デザイン・ビジネスラボが目指すのは、あくまで「事業として利益を生み出せるビジネスモデルの構築」であり、さまざまな企業やプロフェッショナルとつながることで、結果的に本業にも貢献できるような、Win-Winの活動を実現していきたいと考えています。

参加者本人にとっても、この活動によって自らの成長や目的を達成するだけでなく、人脈づくりといったメリットが得られるはずです。

社会デザイン・ビジネスラボが、参加者同士のつながりを生み出し、多方面にメリットを提供する、そのうえで「次世代の子供たちが希望をもって生きていける社会の構築」に役立てればと願っています。

【講演パート2】

ソーシャルビジネスを次のステージへ

続いて、社会デザイン・ビジネスラボ 会長の中村 陽一氏が「ソーシャルビジネスのこれまでとこれから〜経済社会の未来を創出する社会デザインとビジネスデザイン〜」と題し、講演しました。

立教大学 大学院21世紀社会デザイン研究科 教授 社会デザイン研究所所長 中村 陽一氏

格差、難民、食糧問題や人口爆発など、世界中に存在している課題が深刻化しています。これらの課題には「前世紀からの宿題」といえるものも少なくありませんが、今世紀になって新しい現れ方で顕在化してきた課題も含まれています。

例えば、貧困と一言にいっても、途上国における飢餓のような、生命の危機に瀕する「絶対的貧困」と、先進国にありながら職に就くことができない、あるいは学ぶことができない「社会的排除」による貧困とでは様相が異なります。特に後者の貧困は、社会環境の変化に伴って、20世紀型の手法では解決できない課題になりつつあります。もはや政府は政府、企業は企業、NPOはNPOと、それぞれがやっている場合ではありません。

解決策の用意されていない課題に対処するには、社会の仕組みや人々の参画の仕方を変えていかなければいけません。そのために、従来の方法論や発想を超えて考えていく手法、思考と実践を議論だけではなく具体的に実行する手法を、私たちは「社会デザイン」と呼んでいます。

最近の社会デザインの領域でキーワードの一つが「サードプレイス」です。ファーストプレイスは家庭、セカンドプレイスが職場や学校。多くの日本人はファーストプレイスとセカンドプレイスを行き来して暮らしてきました。ところが最近は、もう一つの居場所であるサードプレイスが求められるようになってきています。

この社会デザイン・ビジネスラボが、参加者の皆さんにとって、有意義なサードプレイスになればと願っています。

「市民社会」「ストーリーテリング」「サステナビリティ」、3つのアプローチ

これまでのソーシャルビジネスは、「課題解決」「食える市民事業」「ソーシャルインクルージョン」がテーマとして挙げられてきました。ソーシャルインクルージョンとは「社会的排除」と逆の意味の言葉で、課題を抱える当事者を包摂し、社会の一員として支え合う考え方を意味します。

では、食える市民事業とは、どのようなものなのでしょうか。課題解決の手法として、かつては、抵抗、反対、抗議といった社会運動を繰り広げた時代もありますが、「それだけでは社会を変えられない」という意見が一部からあがってきました。目指す社会につながるための運動を継続していける、「食える市民事業」が求められ始めたのです。

このようなテーマを実現させるため、海外からノウハウやシステムを輸入することがありえます。しかし、そこに留まっていては、構造的なイノベーションを生み出すことはできません。次のステージへ進むためには何が必要なのか?
それが社会デザイン・ビジネスラボを立ち上げた動機の一つでもあります。

今後はソーシャルビジネスだけが課題解決の手段ではなくなるでしょう。政府、企業、NPOの3つのセクターが持っているパワーの源泉は違います。それぞれのリソースを組み合わせるのは容易ではありませんが、異なるパワーの源泉を持つからこそ、組み合わせていかないとこれからの社会課題の解決は難しいでしょう。

これから大切になることとして、「市民社会」「ストーリーテリング」「サステナビリティ」の3つが挙げられます。市民社会を形成するには、三つのセクターが一緒になって取り組むソーシャルなビジネスも必要です。

ストーリーテリングは、「どのような問いを立て、それに対してどう解決をしていくのか」と、ストーリーを描いて取り組むことです。取り組みを通して、小さな発見をしながら小さな奇跡を起こします。
SDGsにも関係するサステナビリティは、持続可能性を意味する言葉です。サスティナブルな経済社会を作ろうとするときに、従来の市場経済を推進し発展していく発想だけでは難しいでしょう。市場と非市場の間を、往復、あるいは相互乗り入れする半市場経済を視野に入れた取り組みが必要になってきているといえます。

組織の枠組みから自由になれる場で、多様な領域の相互乗り入れを

私たちが社会デザインに対する取り組みを始めたころは、「範囲が広すぎて何をやっているのか分からない」といわれたものです。しかし今、新しい取り組みに積極的な人たちの認識が「多様な領域の相互乗り入れは当たり前」というように変わってきたと感じています。

そこで大事だといわれ始めているのが、お互いの利害を重ね合わせたうえで「協働する技術」とでもいえるものです。お互いの目的が異なるわけですから、たんに合意形成をやろうとしても、なかなかうまくはいきません。

そうした議論やビジネスの提案提起は今の組織ではやりにくいのも現実です。それを踏まえたうえでどうするかを考えたときに、「組織の外に場を作って、組織の枠組みから自由になった状態で、いろいろな議論を重ねていく。そして社会実装につなげるための議論を進めていく」ことを考えました。その場が社会デザイン・ビジネスラボです。

皆さんの知を重ね合わせて、専門知とある種の市民知を融合させていければ嬉しいです。

【パネルディスカッションのパート】

パネルディスカッション「社会課題とソーシャルビジネス」

休憩をはさんで、「社会課題とソーシャルビジネス」をテーマにパネルディスカッションへと移りました。中村氏に加え、羽田 成宏氏(株式会社デンソー)、原 ゆかり氏(株式会社SKYAH CEO ガーナNGO 法人 MY DREAM.org 共同代表)、町野 弘明氏(一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク 専務理事・事務局長)の4名が登壇、ファシリテーターは三尾が務めました。

左から、
中村 陽一氏 立教大学 大学院21世紀社会デザイン研究科 教授 社会デザイン研究所所長
羽田 成宏氏 株式会社デンソー 技術開発センター 価値創造プロジェクト 担当係長
原 ゆかり氏 株式会社SKYAH CEO ガーナNGO 法人 MY DREAM.org 共同代表
町野 弘明氏 一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク 専務理事・事務局長

三尾:本日は、企業と個人と社会をつなぐと取り組みという視点から、それぞれ立場の違う方に来てもらっています。会社員の立場で活動されている羽田さん、自ら実践されている原さん、活動している方々を支援している町野さん。まずはみなさんの活動をご紹介ください。

羽田:デンソーは主に自動車のパーツを提供するサプライヤーです。私たちには、Well-beingという哲学があります。これは自律性、有能性、関係性という3要素のバランスによって自然に「他利、他愛」が生まれるという考え方です。
産学連携やオープンイノベーションに関わってきて思うのは、異なる組織、立場の人同士が相手の立場で考えるのは簡単ではないということ。「0か1か」と考えるのではなく、「0でもなく、1でもないもの」から新しいものが生まれるのではないかと思っています。

原:私は、ガーナ共和国にある村を支援するNGO法人MY DREAM.orgと株式会社SKYAHの二足のわらじを履いて仕事をしています。以前は、外務省でガーナの日本大使館で勤務し、その後、総合商社のヨハネスブルグ支店(南アフリカ)などで勤務した後に会社を立ち上げました。
MY DREAM.orgでは、現地に幼稚園を作ることから手を付け、保健、教育、衛生など幅広い事業を手がけています。村の人々が自分たちで仕事をして収入を得るだけでなく、余ったお金を使って若い世代が勉強してさらに社会を良くしていくという、持続可能なエコシステムの確立を目指しています。その支援のために2018年に立ち上げたのがSKYAHです。

町野:私は、ソーシャルアントレプレナーの全国ネットワーク組織である、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワークの専務理事と事務局長を務めています。これは8年前に立ち上げたもので、当時の日本ではまだソーシャルビジネスが認知されていない時代でした。現在、注力しているのはソーシャルタウンです。地方の活性化、地域づくり、まちづくりとソーシャルビジネスと掛け合わせたさまざまなモデルを創出したいと取り組んでいます。

従来のソーシャルビジネスの枠組みを超えるには、間をつなぐ人間と遊び心が大事

三尾:社会デザイン・ビジネスラボに対する希望や要望があればお聞かせください。

羽田:ソーシャルビジネスの可能性を広げられることに期待を感じます。ソーシャルビジネスと名付けた瞬間に制限も生じるものですが、そういう制限を外した活動を見てみたいと思います。

中村:この研究会の名称を考える議論でも、「ソーシャルビジネスという言葉を使わないほうがいい」という意見がありました。今、世の中にソーシャルビジネスが増えてはいますが、「その枠組みを突破したい、社会実装をきちんと進めたい」という思いがあったからです。

原:異なる組織、会社、立場の人が一緒に組むと、ブリッジできる人が必要となります。同じ日本語を使っているのに、背景やメンタリティ、発想が異なると言葉が通じなくなるんです。違う組織、違う分野の人が集まると、本当の意味での理解を伴った議論というのは非常に難しいと実感しています。

町野:ステークホルダーも多様化し、いろいろな立場の方がかかわることが増えてきました。だからこそ「どのような社会課題をどのように解決していくか」というコンセプトが大事になります。社会課題が深刻化し、問題も非常に多様化していくなかで、本気で解決していくには、コンセプトづくりが重要になります。

中村:異なる立場の人間が共通項を探り合って合意形成すること。それも大事ですが、これからはお互いが異なることを認めあい、それぞれが持っているパワーの源泉を持ち寄って一緒にやっていくような、自由な場を作っていきたいですね。

羽田:多様な人間がかかわれば「間をつなぐ人間」も必要になりますが、そこで大事になるのは遊び心だと思います。もちろん真面目も大事です。しかし、遊び心とのバランスも必要です。間口も広がるし、変化も起こせます。

三尾:確かに志だけで活動を続けると心が折れることもありますね。こういう活動は楽しまないと続けられません。そして「自分が何かを成し遂げた」という達成感も重要ですね。

社会デザインの対象は、まだ市場化されていないブルーオーシャン

原:環境を守るような取り組みでは「あれはダメ、これもダメ」ということに目が行きがちです。しかし、禁止してばかりでは、職を失い生きる術をなくしてしまう人々も生まれます。そうなると密猟や麻薬栽培などに手を付けてしまう。
それを避けるためにも、代わりの手段を確保しつつ環境を守る道の模索も必要です。ところがそれは途方もなく面倒で、みんなが避けてきた道。そういう困難を受け止める研究会になればと思っています。

中村:新しい取り組みの陰で、何かを失ってひどい目に遭う人も必ず出てきます。そこを含めて考えるのが、これからのビジネスのあり方です。もともとビジネスとは、人のため世のためにあるものなので、社会デザイン・ビジネスラボの活動はビジネスを本来の形に戻そうとする取り組みともいえるのではないでしょうか。
社会デザインが対象とする市場はブルーオーシャンだと思っています。もちろんすべてを市場化すればいいというものではありませんが、市場化することで課題解決に一歩近づける領域はたくさんあります。

【社会デザイン・ビジネスラボの概要のパート】

1テーマ2セッションのサイクルで、社会課題を解決する新しいビジネスの創出を

三尾が登壇し、社会デザイン・ビジネスラボの進め方などを説明しました。

社会課題で扱うべきテーマは非常に幅広いのですが、社会デザイン・ビジネスラボでは、年間5つの社会課題を取り上げていきます。テーマごとに参加者を募集し、1テーマにつき2カ月かけて2回のセッションを開催します。

アイデアからビジネスを立ち上げる、いのべ場というフレームワーク

最初の月に開催する1回目のセッションでは、ゲストの方の講演やパネルディスカッション、そして参加者からのアイデアやリソースの募集などを行います。つまりテーマに関する知識を共有します。参加者のみなさん自身に主役になっていただきたいので、「自分は、こういうことをできる」という強みやリソースを提供していただき、それを元にアイデアを出していきます。

翌月に開催する2回目のセッションでは、1回目のアイデアをもとに議論を進め、簡単なビジネスモデルを作っていきます。ここではビジネス志向で展開させますので、マネタイズも検討します。「この問題で困っているのは誰か」「解決手段を提供するステークホルダーはどこで利益を得るか」といったことも議論します。

ここでの議論には、JSOL独自の「いのべ場」というフレームワークを用います。これは「型にはまらないアイデアを、あえて型にはめて考える」というコンセプトで、4年前から実践している方法論です。いいアイデアであっても具体化しないとビジネスとして使えないことはよくあることです。しかし型にはめて考えることでアイデアをビジネスに昇華できると考えています。

作ったビジネスモデルを社会実装へつなげる

社会デザイン・ビジネスラボでは「ビジネスモデルを作っておしまい」とは考えていません。その先も見ています。2回のセッションで作ったビジネスモデルが秀逸であり、実際にビジネスとして期待できると判断できたときは、個別にプロジェクトチームを作り、社会実装に向けて進めていきたいと考えています。

もちろん、参加者の企業が持つ知財や権利などについても考慮する必要がありますので、プロジェクトチームを立ち上げる際は、関係者間で契約を締結します。JSOLとしてもICTの面からそのビジネスを支援してまいります。

【AQUAIRの説明パート】

場所、人材、グローバルの観点から社会デザイン・ビジネスラボをサポートするAQUAIR

社会デザイン・ビジネスラボは、六本木にあるデザインスタジオ「AQUAIR」で開催されます。AQUAIRを運営しているNTT データ 技術革新統括本部企画部FXD推進室 太田香織氏が、社会デザイン・ビジネスラボへの支援について説明しました。

NTT データ 技術革新統括本部企画部FXD推進室 太田 香織氏

AQUAIRは、NTTデータが運営しているデザインスタジオです。AQUAIRとしては、社会デザイン・ビジネスラボを、「場所、人材、グローバル」という三つの観点でサポートしていきたいと思っています。

NTTデータがもともと持っていたテクノロジーという強みに、ストラテジー、デザインという強みをプラスして、お客様のデジタルパートナーとなって新たな体系を創造することを狙って、設立したのがAQUAIRです。

この場所にはセミナーやワークショップをする多目的スペース、実案件が始まったときにデザイナーと一緒にワークショップをするプロジェクトルーム、アイデアを実証実験するプロトスペースなどが用意されています。

人材としては、デザインプロセスを進めるスペシャリストを揃えています。ビジネスやデザインの文脈も理解したスペシャリストを用意することで皆様のビジネスをサポートさせていただきます。

グローバルとしては海外にも15拠点デザインスタジオを持ち、450名のデザイナーが所属しています。海外の事例やノウハウを活かしながら、社会デザイン・ビジネスラボの取り組みをサポートしていければと思います。

【まとめのパート】

社会デザイン・ビジネスラボでは、多種多様な方々とつながり、そこから新しいビジネスが生まれるオープンイノベーションを推進してまいります。気軽に自由に参加していただきたいという思いから、参加費は無償としています。社会課題の解決に関心がある方は、ぜひ参加をご検討ください。

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