Case2
業種:医療機器メーカー B社
部署:経営企画室
背景
競争力強化のため、約10年にわたり繰り返しM&Aやグループ企業内の事業統廃合を行ってきたB社。企業規模の拡大と従来システムの老朽化に伴い、ITシステムを刷新するプロジェクトが発足し、IT部門や経営企画室のメンバーが招集された。
課題
M&Aで手付かずだったマスターデータにメスが!しかし、課題山積でこのままでは先行きが・・・
プロジェクトの責任者、経営企画部のS氏は現状の把握に追われていました。
M&Aのたびに、基幹システムは都度見直していましたが、約1,000,000件にもおよぶ各マスターデータの整備・統合は追いついておらず、そのことが原因で、今までいくつか問題が起きていました。
例えば、業績の集計においては、ブランドや地域ごとなど、セグメントでの業績集計に相当な時間がかかっていました。これは、今後グローバルでのビジネス展開を目指すB社にとっては喫緊の課題であり、上層部からは経営分析の迅速化が強く求められていました。
この時の状況を、S氏は次のように振り返ります。
「業務システムが、買収した企業や事業部で個別に運用されていて、コード体系が異なっていたことが、業績集計を遅らせていました。その他にも、一部のグループ企業、事業部では変更・修正処理を、属人的に行っていて、データの精度にも問題がありました」
統合に向けて、グループ企業や別事業部を交えて打ち合わせを行うことになりましたが、今回の統合に反発する組織も少なくありませんでした。理由は、個別最適化されたマスターデータにありました。マスターが統合されることで今までの業務フローが変更され、自分たちの負荷が増えることを危惧していたのです。
このままでは、一括統合はかなり難しいと実感したS氏。改善に向けどこから手を付けてよいかわからないまま、時間ばかりが過ぎていきました。
課題のポイント
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データの整備統合ができておらず、業績集計に時間がかかり、経営層が問題視している
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マスターの変更・修正処理が属人的に行われていて、データの精度に問題がある
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業務フローが変更される、自分たちの仕事が増えることを懸念して、一部グループ企業・事業部では、今回のプロジェクトに懸念や反発の声が発生
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