(2023年04月現在)
さまざまな業界が変革期を迎えている現代、新たなものづくり、設計プロセスが求められています。お客さまの課題を理解し、技術的な見地から問題解決の糸口となるソリューション、新しい設計方法を提案するマーケット・リプリゼンタティブの三輪將彦が、新たなものづくり、設計プロセスへの刷新につながるヒントを語ります。

JSOL認定プロフェッショナル
マーケット・リプリゼンタティブ
三輪 將彦
自身の専門分野とプロフェッショナル職の活動について
エンジニアとして培った経験をもとに、お客さまの課題を解き明かしてサポートする
JMAGビジネスカンパニーでは技術に強い営業職として「技術営業」を増強してきました。その背景には「JMAGを広めていくには、技術的な見地を持った人材がお客さまと接していく機会を増やさなくてはいけない」という考えがあります。JMAGの開発エンジニア一筋でやってきた私も、2019年に技術営業へと移り、2022年からはマーケット・リプリゼンタティブとして活動しています。
マーケット・リプリゼンタティブの仕事は、お客さまの課題をヒアリングして、適切なソリューションと使い方を提案していくことです。私が担当するお客さまは「JMAGのより高度な使い方を検討している」というケースが多いのですが、日ごろお客さまのオフィスを回っている営業担当者が、「あの会社では、このような技術的な課題を抱えている」という情報をキャッチアップすることから、仕事が始まります。
近年、自動車はCASEと呼ばれる100年に一度の変革期にあります。エンジンの代わりにモータで走る電動化や自動運転、ネットとの接続、シェアリングといった新しいサービスの実現など、急激な変化が起こっています。また航空機の業界でも、エンジンではなくモータの力で飛ぶ飛行機の開発が進んでいます。
激変する業界のなかで企業が生き残るには、他社よりも優れた製品を開発していかなくてはいけません。そこで、よりよい製品設計を目指して「電磁界解析ソフトウェアのJMAGを有効活用しよう」というお客さまをサポートするために、私たちはいます。
例えばJMAGを活用した電気機器の設計技術の一つに「トポロジー最適化」という新しい技術があります。従来のものづくりでは、ベテランの設計者が自らの経験や過去の製品情報をもとにマニュアルで設計していました。それに対してトポロジー最適化は、シミュレーション結果をもとにコンピュータが逆に最適な構造を提案してくれる手法です。そのため、固定概念から脱却した斬新なアイデアを得られることもあるのです。
しかし、トポロジー最適化をお客さまに提案したとしても、「本当にできるの?」とすぐには受け入れてもらえないことも少なくはありません。ところが、お客さまがお持ちのデータを使って、「トポロジー最適化でこのようなモデルを設計してみました」とお見せすると目の色がパッと変わります。「自分たちのモデルが最適化計算でこんなに変わるんだ」と実感していただけるのです。
最適化には、他にも寸法最適化やパラメータ最適化などの手法がありますので、要望にあわせて適した手法を提案します。そのうえで期待できる効果、そして技術的な説明や考察などをきちんと行い、お客さまにとっての価値向上につなげることが、技術営業、マーケット・リプリゼンタティブとしての役割です。
そのため、ひとつの商談に長い期間をかけることになり30回、40回と足しげく通うことになります。そのなかで信用を積み重ねていき、「JSOLと一緒にやってみよう」と言っていただけるように日々尽力しています。
JMAGを導入していただいた後は、上手に活用できるようにお客さまを支援する仕事へと切り替わります。導入前は、私が主体的になってお客さまにJMAGの新しい活用法をお見せすることが多いのに対し、導入後は逆に主体がお客さまに移り、それを私がサポートする形になるのです。お客さまと二人三脚になってJMAGの活用を推進し、「以前のモータよりも高いトルクが出た」「設計時間を短縮できた」という結果が出たときは、やりがいを感じますね。
現在の課題や注力している取り組みについて
設計プロセスをシミュレーションベースに進化させる
最近、「ものづくりにおける設計プロセスそのものの見直し」を意識されているお客さまが増えていると感じます。その背景には、自動車や航空機の業界のように、ビジネスの面でも大きな変革が起こっていることが挙げられます。この変革に立ち向かうために、設計プロセスそのものの見直しが求められているのです。
では、どうすれば設計プロセスを変更できるのでしょうか。従来の設計方式では、試作品をいくつも作っていましたが、サイズや形状が少しずつ異なる試作品を制作するにはコストも時間もかかります。
そこにシミュレーションを導入すると、試作品をコンピュータの中で仮想的にモデルとして作るだけなので、パラメータを変えるだけで1000でも2000でもパターンを変えて作ることが可能です。この手法をシミュレーションベース設計と呼びます。
さらに、その処理を自動化すれば、設計者が帰宅している夜の間にシミュレーションの膨大な計算処理を行い、翌朝にはたくさんのシミュレーション結果と最適な答えが提示されているということも可能となります。設計者は試作品の納品待ちや試験から解放されるので、より重要性の高い作業に注力できます。これも設計プロセス刷新のひとつのアプローチといえるでしょう。
また製品の性能向上も期待できます。ベテランの設計者は非常に能力が高く、従来のようなマニュアルの手法でも、優れた製品の設計が可能です。しかし、その性能をさらに向上させるのは至難の業でした。すでにさまざまな改善は施されており、これ以上、どこをいじれば性能が上げられるのかという答えが見つかりにくくなっているのです。
そういうギリギリのところを攻めるときにもシミュレーションが役立ちます。数少ない試作品を比較して検討するより、たくさんのシミュレーションを実施するほうが最適な答えを見つけられるからです。例えば、従来型の手法でサイズや形状の異なる4個の試作品を作り、そこから最適なものを探し出したとします。しかし、本当の最適なサイズ、形状はその中間にあるのかもしれません。しかしパラメータの異なる1000個のモデルでシミュレーションすれば、中間にある最適な答えを見逃さずに済みます。
学生時代に取り組んだ内容、興味のあった領域について
他人と寄り添いながら学んでいくことの重要性を実感した学生時代
学生時代は機械工学科に進みました。もともと機械全般に興味があり、機械という現物に触れながら勉強がしたかったことが機械工学科を選んだ理由です。
研究テーマとして選んだのは人工心臓です。人工心臓の中を血液が通るわけですが、その際に外部へと漏れ出したら困ります。そこで、血液が漏れないしくみの実験に没頭していました。しかし血液というものは漏れなければ良いというものではありません。人工心臓の構造によっては、血液が通るときに赤血球など血液の重要な成分が壊れてしまうことも起こりうるのです。そういう問題が多発してしまっては困りますので、人工心臓がどのような動作条件のときに血液の重要な成分が壊れてしまうのか,そのメカニズムを解明するための実験を朝から晩までやっていました。
ただ機械工学科の中でも人工心臓の研究は毛色の違う存在でした。生命工学、医療系のものづくりは、当時の大学の授業でもあまり扱われるものではなく、医学部とも協力しながら進めることもあり、「医工連携」をやっていたところにも斬新さを感じていました。新しいもの、斬新なものが好きだったという私の性格に合っていた研究テーマだったと思います。
アルバイトとしては、主に小中学生を対象にした塾の講師も経験しました。自分が理解していることでも、他人にわかりやすく説明するのはなかなか難しいことです。どうすれば子供たちに理解してもらえるかといろいろと悩みながら授業を行いましたが、今にして思うと技術営業としてお客さまと接するときのスキルとして役立っているのかもしれません。
社会人になってから数年後に、社会人留学として大学院の博士課程に入り、仕事と学問という二足のわらじを履くことになりました。平日は大阪で働いて、週末に東京の大学で電磁界解析の研究をするという忙しい毎日を送ったのですが、非常に良い経験をさせてもらいました。博士号の取得には大変苦労しましたので,無事に博士論文公聴会を終えた後、大阪へ帰る新幹線の中で涙が止まらなかったのは忘れられない思い出です。
振り返ると、勉強は大切だと実感します。学生時代も、社会人になってからも、そして技術営業になってからもずっと勉強の連続でした。特に技術営業としては、アプリケーションごとに異なるお客さまの課題を理解し、一緒に解決策を模索しなければいけません。そして良い成果につながるための道筋を二人三脚で歩んでいく。そういうお客さまファーストな仕事をするには、常に勉強が欠かせません。
JSOL認定プロフェッショナルとして今後取り組んでいきたいこと
JSOLのシステム開発部隊との協力を深めて、ものづくり全体にかかわる貢献を

電動化により、自動車業界、航空機業界などでエンジンからモータへの切り替えが進めば、ますますJMAGの利用も増えていくのではないかと期待しています。そのうえで私が感じているのが、今後は「JMAGの活用方法が変わっていくのではないか」という予測です。
従来のJMAGは、電磁界解析を実行しようとする1ユーザーが使用するものでした。しかし、部門や組織で使うケースも増えてきています。それに伴い、計算量も増加します。
さらに、将来的には用途も広がって、JMAGに馴染みのない方もJMAGを利用するシーンが出てくるのではないかと想像しています。例えば、これまではモータの設計者だけがJMAGを使っていたとします。しかし、変圧器やセンサなどを設計している他の部門のエンジニアもJMAGを使いたいというケースも出てくるでしょう。
JMAGの利用スキルが異なる多くのユーザーがJMAGを使う時代が到来したときには、初心者でもボタンひとつで簡単に計算できるような機能が求められてくるはずです。そのような多種多様な用途にマッチするようにJMAGをより使いやすく改良していかなければいけないと感じています。
設計とは関係のない部門との連携も必要になるかもしれません。モータの設計は、部品調達、原価計算とも無関係ではないのですが、現在のJMAGにはそのような機能はありません。もしJMAGによるシミュレーション結果をもとにして「材料を変えたら原価がどのように変化するか」を計算し、それをJMAGにフィードバックできるようになれば、設計プロセスはさらに改善するでしょう。
JSOLはSIerですので、システムを開発する力があります。また、JSOLはすでに「ものづくリンク」のような設計や生産準備のフェーズで活用するソリューションも持っています。JSOLのシステム開発部門、あるいは生産管理に関係するソリューションを展開する部門と協力して、JMAGが電磁界解析以外の領域とうまく連携できるような機能を持たせられたら、もっと便利に活用していただけるのではないかと考えています。
このような取り組みは、JSOLが掲げているブランドメッセージ「今はない、答えを創る」にも通じるものがあると感じています。今はない答えを創るには、お客さまの課題を理解する力が何よりも大事であり、そこを出発点として解決を目指し答えを生み出す必要があります。そこにマーケット・リプリゼンタティブとして貢献していきたいと思っています。
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