(2023年06月現在)

製造業が大変革の時代を迎える中、今まで以上の高い要求性能を満たしながら短期間で設計開発をリードするために設計開発のプロセス、考え方を大きく変えていく必要があります。
今お客さまが抱えている課題だけでなく、将来を見越したニーズにも目を配りながら、営業として多くの最先端の企業を担当し、多様なニーズを紐解きながらJMAGの効果的な活用提案をしてきたJMAGビジネスカンパニーのマーケット・リプリゼンタティブの深山 智史が未来につながるものづくりについて解説します。

JSOL認定プロフェッショナル マーケット・リプリゼンタティブ 深山 智史

JSOL認定プロフェッショナル
マーケット・リプリゼンタティブ
深山 智史

自身の専門分野とプロフェッショナル職の活動について

JMAGの知識を活用することで、お客さまと深いコミュニケーションを

 JMAGビジネスカンパニーは、電磁界解析ソフトウエアJMAGの開発、販売、サポートを製販一体でグローバルに展開するカンパニーです。JSOLの中では社内ベンチャーのような立ち位置にあり、ユーザーのニーズをいち早く実現できる組織体系となっています。

 私は営業一筋で活動してきました。JSOL入社以前はCAE周辺のソリューションベンダーとしてCADやCAE結果の可視化ツールを扱っており、2002年にJSOLに転職したのをきっかけに解析ソフトを学び始めました。、しばらくはJMAGのほかにも衝撃・構造解析ソフトウエアのLS-DYNA、プレス成形シミュレーションシステムのJSTAMP、材料物性シミュレーションソフトウエアのJ-OCTAなど、いくつものCAEソリューションを扱ってきました。

 そして2018年にJMAGビジネスカンパニーへ移り、JMAGを専門とする営業になったのです。当時、JMAGの営業部門を新たに立ち上げるために人材を募集していたところ、手を挙げたうちの一人が私でした。

 複数のCAEソリューションを扱っていたころの仕事は、お客さまの課題、ニーズを受けて、それに適切なソリューション、あるいは複数のソリューションを組み合わせて提案するという内容でした。その際、各々が技術的に深い知識が必要なため営業としてはコーディネート中心になり技術的な話になったときは、エンジニアにつないで解決していました。

 それがJMAG1本の営業となると、提案できるものはJMAGだけになり営業スタイルも変わってきます。課題に対する提案も必要ですが、そもそもの課題を一緒に考えたり、課題解決をするためにワークフローの改善を提案していくことが重要となります。私たち営業がより深くJMAGを理解するだけでなくお客さまの設計開発プロセス、モノづくりとの連携を理解しないと良い提案につながりません。例えば、「製品側からの性能要求を満たすためにどういった駆動条件でどの損失を改善していく、ビルディングファクターは考慮する必要があるのか」というように、各部門のニーズを理解した上でJMAGの具体的な提案に落とし込みをしていくことになります。そうした深いレベルでのやりとりを経たことで、お客さまと今まで以上に信頼関係が強くなってきていると感じています。

 自ら望んでJMAGビジネスカンパニーに移った理由の根底には、もともと技術志向の強い人間だったことがあります。「広く、いろいろなものを手掛ける」よりも「お客さまと深くお付き合いしながら、自分が扱うソリューションをしっかり理解して提案したい」という気持ちが強かったのです。

 また、入社当初からJMAGの体験セミナー講師やデモを自身で実施し、技術的な課題も自分で考え回答するという習慣が根付いてきていました。その結果、私自身もお客さまとの関係性も深まり、JMAGビジネスに対するやりがいも高まってきていました。そのようなときにJMAGビジネスカンパニーの営業募集があり、成長のためのチャレンジとして異動を希望しました。

現在の課題や注力している取り組みについて

営業としてお客さまと開発部門の間に立ち、JMAGをコーディネート

 営業としてこれまで重視してきたのは、お客さまのビジネスの価値を創造し、高めていくことです。そうした中で最近強く意識するようになったのは、「お客さまと一緒に次のステージに移る」こと、「お客さまの製品やビジネスの価値を上げる」ことです。自動車業界は今、CASEと呼ばれるような100年に一度の大変革期にあります。もし同じところにとどまっていたら、そのビジネスはシュリンクしてしまうでしょう。そこで生き残るには、より良い製品をタイムリーに生み出し続ける必要があります。

 しかし「今までにないような製品を作りたい」と考えたときに、その思いに応える機能がJMAGには足りない場合もあります。そのとき、「どういう機能があればニーズに応えられるのか」を個々のニーズからマーケットのニーズに変換し、お客さまと開発部門との間を取り持ち、JMAGが「お客さまが目指しているビジョン」に向かって価値あるソリューションとなるように、コーディネートしていきたいと思っています。

 
 最近では、JMAGの活用の形にも変化が見られます。設計のリードタイムの短縮が求められるようになってきており、特に自動車業界では、今が勝負時。悠長にかまえて設計している時間は持てないためです。

 これまでのJMAGの利用目的は試作の代替や製品不具合時の検証が主でしたが、設計の領域まで広がってきており、形状探索、つまり「その部品をどういう形状にするかを自動設計させよう。それにJMAGを使えないか」という機運が高まっています。具体的には寸法やトポロジー最適化といった手法を用いるのですが、これを実行するには何千、何万という膨大なケースを計算しなくてはいけません。これを設計開発の期間内で短時間に終わらせるには、膨大な計算を同時並行に実行する必要があります。
 
 そうなるとライセンスコストも大幅に膨れ上がりかねません。現実的なコストに抑えないと導入のハードルが上がりますので、いかにリーズナブルな価格に抑えるかがポイントになりますが、そこで、提案しているのが、多ケース専用ライセンスであるPSL(パワーシミュレーションライセンス)です。

 通常、複数のケースを同時並行で実行しようとしたとき、お客さまがお持ちのライセンス数が上限に達してしまいます。それに対してPSLは同時100ケース単位の新しいライセンス体系であるため、ある目的のための計算であれば同時100ケースを実行しても1ライセンスとして扱うことができます。これによって膨大な計算を短時間、かつコストを抑えた解析ができるようになります。

 このようにビジネス環境、マーケットの変化に伴い、設計の進め方も変わってきます。お客さまの設計プロセスやワークフローも変わらざるを得ませんし、JMAGもそれに対応して変化していかなくてはいけません。

 幸いJMAGビジネスカンパニーは製販一体とした体制であるため、小回りが利く点を特徴としています。お客さまのニーズを捉える営業部門、それを受け止めJMAGに改善を加える開発部門、サポートする部門の垣根が小さく、密に連携しながらそれぞれの役割をこなしています。その強みを生かしてマーケットやお客さまのニーズを積極的に営業としてリードすることで、お客さまが新たな価値を生み出せるようお手伝いしたいと考えています。

学生時代に取り組んだ内容、興味のあった領域について

ラグビーとフルマラソンで培ったチャレンジ精神と、ベンチャーの研究が今につながっている

 大学では国際経営学部に進みました。当時は、グローバル化が注目されていた時代で、私も経営を学ぶのであれば、グローバルな視点を持って物事を考えられる人間になりたいと考え、国際経営学部を選んだのです。

 研究テーマにしたのは、「汎用機からパソコンへ移り変わる時代のビジネスの変化」でした。汎用機を製造、販売してきた企業がクライアント/サーバー型へと切り替えると決断したときのビジネス戦略はどのようなものだったのか。その結果をどう評価すべきか。さらには、業界へどのような影響を与えたのか。そうしたテーマを研究しました。

 同時に、ベンチャーに関する日米の動向を比較する研究も行っていました。アメリカでは、新しいことにチャレンジする文化が育っていて、新しいビジネスに挑戦するビジネスパーソンが次々に登場します。そして、それを後押しする存在が、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家です。資金面で援助してくれる存在があるからこそ、新たな人材が次々と登場しますし、次のチャレンジに向かっていくこともできるのです。そのような動きがまた、新しいマーケットを作る起爆剤にもなっているのだと思います。

 一方日本では、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の存在があまり大きくはなく、代わりにその役割を果たしていたのが「社内ベンチャー」でした。これは、企業が社員の新規事業創出を後押しするもの。社員として働いていく中で、新しいことを始めたいと奮起した社員を、会社の中で育成し、実現に向けてともに進んでいくわけです。

 JSOLのJMAGビジネスカンパニーがまさにそうですね。学生時代に学んできたことを、今もJMAGカンパニーで実践しているというところに、手応え、やりがいも感じています。
 
 またスポーツも若いときから続けてきました。高校時代にやっていたのはラグビーです。ラグビーをするのは屈強な肉体を持つ人が多く、その中へ細身の私が参加していくのはなかなか勇気が必要でした。試合中、自分より身体の大きないかつい相手に向かってタックルしなくてはいけないのですから。

もちろん恐怖心は感じているのですが、逃げたら終わり。試合に勝つために、そしてチームのために責任感を持って自分のポジションを守るという思いで、屈強な相手に向かって飛び込んでいきました。

 チャレンジ精神は私自身の強みだと思っていますが、そういう積み重ねから育まれたものかもしれません。

 社会人になってからはマラソンにチャレンジしています。知人に誘われたことがきっかけでしたが、「フルマラソンで3時間半を切る」という高い目標を自分で立てて、挑戦しました。3時間半を切るのはマラソン人口の10%程度と言われています。しかし私は、その目標を達成するために工夫しながら練習に取り組みました。

最初のころは順調にタイムが縮まるのですが、途中からは難しくなります。そこで競技に適した体重に持っていくための食事メニューの改善やインターバル走などの高負荷なトレーニングを取り入れてタイム短縮に向けた努力を続けました。結果としては、始めてから3年程度で、目標の3時間半を切ることに成功しました。

 マラソンは他者との競争ではなく、自分との戦いです。自分が取り組んだことがそのままタイムに現れるというところに面白みを感じています。その点では営業という仕事にも共通点があるかもしれません。営業も売上目標という数字があり、それを達成するには何が必要かを考えて、日々の仕事に取り組むからです。

 その後ウルトラマラソン、トレイルマラソンという、違う種類のマラソンに幅を広げて挑戦してきました。ウルトラマラソンとは42.195kmを上回る距離を駆け抜ける過酷なもので、ときには100kmを超えることもあります。トレイルマラソンとは、山中を走るマラソンです。どちらも普通のマラソンとは趣が異なりますが、京都を一周したり、神戸の六甲山を走ったりと、普段見る風景とはまったく違う景色を眺め、自然を身近に感じながら走る、という楽しみはありますね。

 ウルトラマラソンでは「これまで走れなかった距離を走り切る」、トレイルマラソンでは「走ったことのないところを走る」という、それぞれ違ったことにチャレンジする楽しみを感じています。そういう形で、今後もプライベートでも仕事でも常にチャレンジしつづけていきたいと思っています。

JSOL認定プロフェッショナルとして今後取り組んでいきたいこと

大変革期にあって設計プロセスもマインドセットも変わっていく

JSOL認定プロフェッショナル マーケット・リプリゼンタティブ  深山 智史

 電動化の大変革は自動車業界だけではありません。建設機械、農業機械、航空機、船舶などの業界でも「エンジンからモーターへ」という動きがあります。さらには、かつて存在しなかった新しい機械、例えばドローン、空飛ぶクルマ、ロボット、アシストスーツ、電動の義手や義足など、さまざまなモノの中でもモーターが使われていくことでしょう。このような「新しい機械」は今度も次々と登場してくるに違いありません。

 ひとくちにモーターといっても、地面を走るEVと、空を飛ぶ航空機や空飛ぶクルマのモーターには、似ているようで大きな違いがあります。空を飛ぶ場合は、EVよりも軽くてトルクが稼げるモーターが求められるのです。また、冷却方式にも違いがあります。EVでは、冷却効果の高い「水冷」や「油冷」方式も使えますが、空を飛ぶ場合は軽量化しなくてはいけないので「空冷」方式を使用します。このように用途が違えば、設計に関する条件も変わってきます。

そのうえ、これまでに存在しない、まったく新しいモーターを設計しようとしたときは、過去のノウハウそのものの蓄積がありません。そのためトライ&エラーで試行錯誤していく必要がありますが、どの設計変数に感度があるのかが分からないため必然的にケース数が増えます。実機では限界があるため、そのようなときに、より多くのパターンでシミュレーションできるJMAGのようなソリューションが役立つはずです。

 JMAGの営業として、いろいろな業界の成功事例、海外の成功事例などにも目を配り、幅広いところにアンテナを張って情報を入手したり、お客さまとタッグを組んで成功事例を作ることで、JMAGの価値を広げていきたいと考えています。

 また、未来につながる取り組みとしてJSOLの「いのべ場」を提案することもあります。いのべ場とは、「イノベーションを起こすための場」という意味合いで、ディスカッションを通してアイデアを生み出すワークショップのことです。お客さまの会社の皆さまに集まっていただき「いのべ場」を開くと、斬新なアイデアが飛び出したり、普段は意識していなかった考え方を具体化したりすることができます。

そうすることで、お客さま自身が気づいていなかった新しい価値を発見し、新しい一歩を踏み出すきっかけづくりになります。「いのべ場」は「お客さまが持つ価値を再確認」し、「ともに新しいビジネスを考えていく」という新しいアプローチなのです。

 このようにして仕事のやり方だけでなく、考え方、マインドセットも変えていかないと、まったく新しい、未知の領域にはたどり着けないでしょう。

 このように私は、お客さまの「課題の理解」からさらに一歩進んで、「ビジネスの方向性を共有」して、「新しい価値を作り出す」ことを支援していきたいと考えています。お客さまと一緒にチャレンジしながら、ともに進化していく。そういう思いを持って、日々ものづくりの現場に足を運んでいます。

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