サーバー型RPA「Blue Prism」でIoTと基幹システムの連携をRPAで実現。改善に対する現場の意識も前向きに

衣服や自動車の内装に用いられる繊維製品をはじめ、電子機器、有機合成化学品などの開発、製造を通して人々の生活を支えているトーア紡コーポレーション。DX推進やITの活用に積極的な同社は2022年、サーバー型のRPA「Blue Prism」を導入、試験的な利用を通して効果を実感し、本格的な運用に向けて歩み出した。その導入、構築を支援したベンダーがJSOLだった。

キーワード

業務

業種

課題・解決・効果

課題

  • 能力の高い人材が、データ入力などの単純作業に割かれる時間を削減したい

  • 事前に試用したデスクトップ型RPAには、セキュリティーや利便性、ガバナンス統制の面で課題があった

  • 開発、運用にはパソコンごとにライセンスが必要であり、コスト面や使用者数に制限があった

解決

  • サーバー型RPA「Blue Prism」を導入

導入効果

  • Blue Prismにより、セキュリティーや利便性が向上

  • IT推進部による一元的な管理がしやすくなり、ガバナンスを効かせられる運用に

  • スケジューラーによる自動実行により、システム間でのデータ連携が容易に

  • 同時利用数によるライセンス体系で、開発者ライセンスも不要。場所や時間、人数を問わず開発、利用が可能に

DX、デジタル推進にも積極的な老舗の紡績メーカー

 2022年に創業100周年を迎えた老舗紡績メーカーのトーア紡コーポレーション。古くからウールなどの繊維業界を牽引し、現在ではインテリア産業資材、半導体製品、ファインケミカル、ヘルスケアと幅広く事業を広げている。
 執行役員 IT推進部長の中井邦義氏は、「アメニティー=快適という価値を暮らしに届けるための研究開発を続けてきました。『ウールなのに涼しい紳士服』や『土に還る繊維』のような製品も、研究成果の一例です」と語る。
 それらの研究開発を滞りなく進めるためには、「デジタル領域からのフォロー」が重要と中井氏はとらえており、IoTやクラウドなどの導入にも積極的だ。

株式会社トーア紡コーポレーション
執行役員
IT推進部長
中井 邦義氏

デスクトップ型RPAを試験利用し、メリット、デメリットを評価

 デジタルへの取り組みの一環として新たに始めたのがRPA(Robotic Process Automation)だった。RPAとは、ソフトウエアのロボットがユーザーの代わりにパソコンを操作するツールだ。毎日行う定型的な業務などをRPAで自動化することで、働き方改革や人手不足解消に役立てられる。
 RPA導入の目的について中井氏は「優秀な人材が単純作業に手間と時間を取られています。作業部分をRPAが代替することによってで、その分の能力時間を別のクリエーティブ な領域、人でなければできない仕事に使って、その能力を生かしてほしい」と語る。
 ただ一方で、中井氏は以前から、「安易なRPAの自動化はブラックボックス化につながり、業務プロセスが見えにくくなる。かえって将来の改善の余地を奪ってしまう」という懸念を持っていた。
しかし、用途をしっかり吟味して使えばRPAも有効利用できるはずである。そこで、まずは試験的に利用してメリット、デメリットを見定めようと中井氏は考えた。用途をしっかり吟味して使えばRPAも有効利用できるはずと、2020年ごろにトライアルとして導入したのがデスクトップ型のRPAだった。まずは試験的に利用してメリット、デメリットを見定めようと考えたのだ。
 だが実際にデスクトップ型RPAに触れてみると、さまざまな課題が見えてきたという。例えばキーボードやマウスの操作を人間の代わりにRPAが実行するので、画面上に操作内容が表示される。そのため「モニターの前に第三者がいたら作業内容が見られてしまう」「モニターの種類や解像度の違いで画面上のボタン位置が変わり、操作できなくなる」「そもそもインストールしてあるパソコン以外では実行できない」といった問題がも生じていた。
管理する側にとってもガバナンスとコストに課題問題を感じていたという。1台ごとにインストールするデスクトップ型RPAでは、ロボットの開発に関するルール、セキュリティー、展開などの管理が煩雑になり、ガバナンスを効かせることが難しくなる。
 また試用したデスクトップ型RPAでは、運用するパソコンと開発するパソコンのそれぞれにライセンスが必要であり、利用を拡大するにはコストが問題になると感じていた。

デスクトップ型RPAの試用から見えてきた課題を踏まえて、サーバー型RPAへ

 RPAの今後の用途について大いに悩んでいた中井氏は、2022年春に開催されたサーバー型RPAである「Blue Prism」のイベント「エグゼクティブラウンドテーブル」に参加した。Blue Prismはサーバー上で動作するため、一元管理が容易でガバナンスを効かせやすく、またパソコンやモニターに依存しないためセキュリティーも担保できる。ライセンス体系も本番環境での同時実行数でカウントされるので無駄がない。APIも豊富で他のシステムとの連携機能を組み込みやすく、開発したロボットを別の業務に再利用する際もサーバー内でコピー、修正するだけなので、横展開も容易になる。
 「サーバー型であれば、抱えていた課題が解消できるのでは?」と期待した中井氏は、さっそくBlue Prismにコンタクトをとった。そして採用が決まり、導入を支援するベンダーとして紹介されたのがJSOLだった。
 ベンダーとしての実績や体制を踏まえてJSOLに依頼することを決めた中井氏だが、最も印象に残っているのは、「Blue Prismに対する熱い思いと深い知識」と説明する。
 「ベンダー選定で重視したのはハートです。JSOLの担当者からはBlue Prismを使って、顧客の働き方を変えたいという情熱を感じました。初めて会ったにもかかわらず、Blue Prismの活用方法について熱意を持った議論を交わしたほどです」(中井氏)

大型のシステム間の連携をRPAで実現。連携の自動化で効率化と正確性の向上を達成

 採用決定後、中井氏は本番稼働に向けてBlue Prismの試用を開始した。ロボットの開発は中井氏のチームで行い、JSOLが支援した。
 中井氏がRPAで成し遂げたかったことに、システム間の自動データ連携があった。以前から、大きなシステム同士を自動的に連携させたかったのだが、「必要な機能やAPIが足りない」などの理由で実現できなかった。
 その一例に、製造機械に取り付けたIoTのカウンターのデータから製造量を計算し、その結果を基幹システムに入力するという作業があった。データの自動連携を検討したがうまくいかず、IoTと基幹システムをつなぐ部分に人手を使っていた。その足りない部分をBlue Prismで解決したいと考えたのである。
 「毎日3回、約30台の機械に表示されるカウンターのデータを担当者が紙に転記し、事務所にいるスタッフが基幹システムに入力していました。数値をただ写すのではなく、数値を基幹システム用に変換することも必要で、1回につき2時間程度の作業を行っていました。
 それをBlue Prismで自動化できれば、誰の手も使わずに、毎日6時間も要していた作業がゼロになります。しかも人間が転記していたころは、機械ごとに時間の差が生じましたが、自動化できれば同時に処理できるので、データの精度も高まります」(中井氏)
 スケジューラー機能を持つBlue Prismは、毎日決まった時間にロボットを実行させることができたので、このようなバッチ処理には向いていた。
 「これまで個別に動いていた2つのシステムがBlue Prismによって連携して、あたかも1つの大きなシステムのように動く仕組みが出来上がりました。Blue Prismは、APIも豊富なので、他にもいろいろなシステム間連携が実現できそうな点も魅力ですね」(中井氏)
 他にも煩雑な日常業務の自動化にも取り掛かっている。例えば「決まった時間に株価や外貨のレートなどを記録する業務」には、担当者が毎日20分ほど時間を割いていたが、Blue Prismによって処理時間がゼロとなり、月間7時間以上の業務削減に成功したことになる。
 トーア紡コーポレーションでは、Blue Prismをクラウド上に構築して利用しているので、場所を問わずに利用できるサーバー型RPAの利点も大きい。
 「移動しながらクラウド上のロボットを動かすこともできます。私も、出張するときには新幹線の中でアクセスし、開発作業を行っています」(中井氏)

改善への意識が前向きに。現場のマインドを変えたRPA

 約1年の試用を通して感じるのは、「現場の若手社員が改善に前のめりになってきている」という手応えだ。現場で業務を遂行しているスタッフにとって、それぞれの仕事は「当たり前にやらなくてはいけない大切な業務」である。IT推進部が「改善したいところはないか」と質問しても、答えが返ってこないことも多かった。
 ところが、Blue Prismによる改善結果を数値化できた現場からは、若手社員を中心に「何か他にも効率化できる点があるのではないか」というマインドの変化が感じられるという。
 このマインドの変化を起こした要素には「感動がある」と中井氏は説明する。
 「スマートフォンが普及し始めたとき、人々はその利便性に感動していました。想定を超える感動があったからこそ、全世界的に普及していったのです。ビジネスの現場も同じです。感動を体験しないと、人は変わらないのです。目指しているのは『現場の仕事を楽にする』ことではありません。『その人が次のステップに上がっていくための環境づくり』です。これこそが、本来あるべきDXの形ではないでしょうか。
 Blue Prismを使い始めて1年ほど経ちましたが、奥が深くて、いまだに機能の全容をつかめていません。これから本番運用へ移りますが、JSOLのサポートも含めて、大いに期待しています」と中井氏は語った。

左)株式会社トーア紡コーポレーション 中井 邦義氏、右)JSOL 林 孝宗

企業情報

株式会社トーア紡コーポレーション様 ロゴ

会社名

株式会社トーア紡コーポレーション

所在地

〒540-6018 大阪府大阪市中央区城見一丁目2番27号 クリスタルタワー18階

創業

1922年(大正11年)2月8日

設立

2003年(平成15年)6月12日

事業内容

電子機器向け部品、ファインケミカル、繊維製品の製造販売、ヘルスケア商品、化粧品の販売および不動産賃貸、子会社の経営管理

WEBサイト

(2024年01月現在)


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