期限を迎える防災備蓄品を、必要とする団体に全て寄付。登録、管理から寄付までをクラウド上で実現する備蓄品管理プラットフォームMusute®

川崎汽船では膨大な防災備蓄品を保管し、災害に備えてきた。保存食などには期限があるため定期的な入れ替えが欠かせないが、その管理は煩雑だった。そこで防災備蓄品を登録、管理から寄付までを一元管理するJSOLの備蓄品管理プラットフォームMusute(ムステ)を導入。「無、捨て」「結、手」に由来するこのソリューションを活用し、防災備蓄品の集中管理を実現したほか、入れ替えにより不要となった全ての物について、廃棄することなく、必要とする団体に対して寄付することができた。

キーワード

業務

業種

課題・解決・効果

課題

  • 防災備蓄品は役職員全員に配布しているが、配布後の管理は個人にゆだねられていた

  • 消費期限、耐用年数に応じて総務グループ主導で入れ替えを行っていたが、その期限・年数は物品ごとに異なるため、期限管理および入れ替え作業に苦慮していた

  • 不要になったものを寄付したいが、寄付先が信頼できる先であるかなど、選定が難しかった

解決

  • クラウド上で防災備蓄品を登録、管理し、期限が切れる前に必要とするところへ寄付するためのプラットフォームMusuteを利用

  • 分散していた「個人管理」から、1カ所にまとめる「集中管理」へ

  • 管理のみならず、信頼できる寄付先とのマッチングまで行ってくれるため、入り口から出口まで一気通貫の備蓄品管理を実現

導入効果

  • クラウド上のシステムで、防災備蓄品を一元管理。離れた拠点の防災備蓄品管理も容易に

  • Musuteで信頼できる寄付先を選定。廃棄することなく、ほぼ全てを寄付へ

  • 環境やリサイクルに対する意識が向上。寄付先より感謝状を贈呈されたほか、環境に関する社内表彰では優秀賞に選定された

多種多様な船でグローバルな物流を支える

 川崎汽船は海上輸送のパイオニアとして古くから国際物流を支えてきた。自動車や鉄鋼原料、液化天然ガスをはじめ輸送する貨物に応じた多様な専用船を運航するほか、さまざまな貨物を運ぶコンテナ船事業にも参画している。
 同社が近年注力している分野として、総務グループ 管理チーム チーム長代理の小松原結人氏は、「環境負荷の低減と、持続可能社会への貢献」を挙げた。例えばLNGを主燃料とし、EGR(排気再循環)を可能とした次世代型環境対応船の利用や、アンモニア燃料船の共同開発、液化CO2の輸送と貯留など、環境問題に対する社会の需要に応じた取り組みも推進している。

左)川崎汽船株式会社 総務グループ 管理チーム チーム長代理 小松原 結人氏
右)川崎汽船株式会社 総務グループ 管理チーム 小菅 潤氏

オフィスのリノベーションに合わせて防災備蓄品管理を見直し

 2024年、川崎汽船では防災備蓄品管理の見直しに取り組んでいた。防災備蓄品には、社員個人用とビル避難用の2種類がある。個人用の非常用持出袋は入社時に配布、デスクの足元などに置いて各自保管していた。ビル避難用は災害発生時に外出を控え、安全なビルで数日過ごすための備えである。
 非常用持出袋には非常食や保存水、簡易トイレ、ヘルメットなどが収められていたが、いずれも定期的な入れ替えが必要となり、不要となったものは廃棄していた。その入れ替え作業は、消費期限や耐用年数が物品ごとに異なるため、とても煩雑だった。
 ちょうどこの時期、川崎汽船ではそれまでに進めていたファシリティマネジメントに基づくオフィスリノベーションおよびペーパーレス化に成功していた。そこで、これに伴って生まれた書庫の余剰空間を防災備蓄品の集中管理に役立てようと考えた。こうして、災害用持出袋を個人管理から集中管理へと切り替えるプロジェクトが動き出したのである。
 ところが防災備蓄品を集め、自分たちで仕分け作業を始めたところ、すぐに挫折することになった。物によって期限、処理の仕方、廃棄に関わる法律も異なるため、本社および隣接オフィス約800名分の袋から一つ一つ仕分けていくのは現実的ではなかった。
 また廃棄ではなく、寄付する方法も模索してみた。しかし、そこにも信頼できる寄付先を選定しなければいけないという課題があった。
 思い悩んでいたときに、デジタル戦略部門から紹介されたのが、2024年春にJSOLが提供を開始した備蓄品管理プラットフォーム「Musute」だった。

廃棄を想定していた物も含めて、全ての備蓄品を必要な場所へ届ける

 Musuteは、クラウド上で防災備蓄品を登録、物品や期限を管理し、期限が近づいたら寄付する先をマッチングして提案するサービスだ。企業が防災備蓄品を購入する際、Musuteに種類や個数、消費期限・耐用年数、保管場所などを登録することで、クラウド上で一元管理することができる。さらに寄付元である企業と寄付先である団体の自動マッチングシステムも持っている。
「マッチングという着眼点が斬新だと感じました。そこで2024年秋にJSOLとの契約を交わし、年内を目標にまずはトライアルをやってみようという話になりました」(小松原氏)
 総務グループ 管理チームの小菅潤氏は「一カ所での集中管理という物理的な側面だけではなく、管理するためのシステムが必要と思っていました。Musuteなら登録から寄付先のマッチングまで、つまり入り口から出口までのスキームが作れます」と評価を口にした。
 JSOLとのトライアルでは、まずは入れ替えにより不要となった物の回収計画の立案、そしてそれらを必要とする寄付先の選定から進められた。回収した物を仕分けして寄付先に配送する作業は、JSOLに協力するMusuteパートナーが担当した。
「Musuteパートナーが窓口となって一括で取りまとめ、教育機関や福祉施設、子ども食堂など、備蓄品ごとに必要とするところに配送してくれました」(小松原氏)
 Musuteパートナーが、寄付先団体の活動内容について説明してくれたり、寄付後の利用方法などをまとめたレポートを提出してもらえたことも安心につながった。
 中でも小松原氏が高く評価したのは、ポジティブなアドバイスだった。
「非常用持出袋自体、学校現場で喜ばれているとお伺いしています。また、期限切れの水などについても、校庭に撒くことができるため、活用ができると聞きました。それらは廃棄を想定していたのですが、ほぼ全ての防災備蓄品を寄付できたのは素晴らしかった」(小松原氏)
 社名ロゴが記載されていたヘルメットについても専門団体に依頼し、粉砕して再生プラスチックとしてリサイクルすることで、廃棄することはなかった。

クラウド管理で、備蓄品の確認作業や引き継ぎの負担も軽減

 Musuteをきっかけに防災備蓄品の管理が一新され、BCPや災害対策も一層強化された。導入後、防災備蓄品の登録、管理などを担当している小菅氏は、クラウドサービスであるメリットを評価した。
「クラウドサービスなので、支店も本社と同じように正確に管理することができます。遠方の拠点でも画面上で確認できます」(小菅氏)
 Musuteには備蓄品管理に役立つ実用的な機能が備えられている。その一例が写真を添付する機能だ。
「同じ水でも、個人用とビル避難用では形状やサイズが異なります。データを登録する際に写真を添付すれば違いが一目瞭然です」(小菅氏)
 防災備蓄品は継続的な管理が求められるので、人事異動による引き継ぎも考慮しておく必要がある。防災備蓄品の状況を直観的に把握しやすいMusute上で管理することで、「引き継ぎも担保される形になった」と小松原氏は期待している。

寄付先から感謝状。Musuteのスキームは社内でも高い評価

 小松原氏はこのプロジェクトを通して印象に残っていることがある。それは寄付先から寄せられた感謝状だ。
「感謝状には、寄付先の子ども食堂で喜んでいる子どもたちの写真やメッセージも添えられていました。『こんなに喜んでもらえるのか』という驚きとうれしさを、経営陣も含めて全社的に共有できました」(小松原氏)
「業務が社会貢献につながっているというポジティブな実感と、やりがいを感じました。今では備蓄品以外にも不要品を前にすると再利用できるのではないかと考えるなど、マインドの変化を感じています」(小菅氏)
 この取り組みは社内でも高く評価され、川崎汽船グループ内での環境に関する活動を表彰する“K” LINE GROUP 環境アワードで優秀賞を受賞した。
「将来にわたって継続できるスキームの構築、そして持続的な環境への寄与が受賞につながったと感じています」(小松原氏)
 そして小松原氏は、総務の業務が変化していることに言及した上で、Musuteへの期待を口にした。
「長年定型業務が主だった総務ですが、最近はプロジェクトが増えてきました。定型業務の効率化を図らないとプロジェクトの業務をさばけなくなりつつあります。その変化に対応していくためにもMusuteのようなプラットフォームを活用したDX、効率化は積極的に進めていきたいと思っています」(小松原氏)

左から、川崎汽船株式会社 小菅 潤氏、小松原 結人氏、JSOL 土井 浩之

企業情報

川崎汽船株式会社様のロゴ

会社名

川崎汽船株式会社

所在地

東京都千代田区内幸町二丁目1番1号(飯野ビルディング)

設立

1919年(大正8年)4月5日

事業内容

海上運送業、陸上運送業、航空運送業、海陸空通し運送業、港湾運送業など

WEBサイト

(2025年08月現在)


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