カードローン契約のリードタイムを大幅に短縮し、最短で申し込み当日に利用が可能に。Salesforceを活用し顧客体験向上と業務改革を実現
金融業界で顧客接点のデジタル化が進む一方、従前のシステムのままのバックオフィス業務が顧客体験向上を阻むケースは少なくない。ふくおかフィナンシャルグループもカードローンの申込・契約事務で同様の課題を抱えており、カードローン申込顧客の離脱に課題を感じていた。そこで同社はJSOLの支援の下、「Salesforce Financial Services Cloud」(現:Agentforce Financial Services)を導入。顧客申し込みのWeb導線と事務手続きの業務プロセスを抜本的に見直し、ローン契約までを一元的に管理するサービス基盤を構築することで、顧客体験の向上と劇的な業務効率化を同時に実現した。
課題・解決・効果
課題
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Web申し込み後のバックオフィス業務が複数のシステムで分断され、非効率だった
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電話による契約意思確認や審査結果通知書の郵送といったアナログな手続きが介在することで契約完了までに時間を要し、承認先の3割強が離脱していた
解決
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「Salesforce Financial Services Cloud」をサービス基盤として一連のプロセスを統合
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金融分野の知見が豊富なJSOLの支援でSalesforceのベストプラクティスを最大限活用
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拡張性とセキュリティーを両立したシステム連携や直感的に使えるUIの構築で業務への定着を図った
導入効果
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顧客の4分の1は申し込みの翌日までに契約が完了、リードタイムを大幅短縮
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顧客の離脱が抑制され、最終的な契約率が約10ポイント向上し、契約件数が安定
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進捗管理の効率化に加え、電話・郵送業務が不要となり、創出されたリソースをきめ細かな顧客対応に振り分けられるようになった
顧客接点はオンラインで強化も行内業務分断でリードタイムが長期化、顧客の離脱も
ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)は、顧客視点でのサービス向上と業務プロセスの改善を目的にデジタルテクノロジーの多面的な活用を進めている。ローン事業を所管する営業統括部 部長の後藤 芳騎 氏は「無担保ローンの利用者の多くは現役世代です。現役世代は銀行営業時間中の来店は難しいことから手続きのために来店しなくてもスムーズに申し込みや契約ができることが『顧客接点強化』になるだろうと取り組んだ結果、申し込みの90%以上はWeb経由となっています」と語る。
一方でこうした取り組みに付随する課題も顕在化していた。「これまでは、お客さまがWebで申し込まれた後の行内事務は独立・分断した複数のシステムを使う人手がかかるものでした。また、電話での契約意思確認、審査結果通知書の郵送といったアナログなやり取りも多く残っていました」と後藤氏は続ける。これが契約までのリードタイムの長期化につながっていたという。
FFG傘下の福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行が提供するカードローン主力商品「FFGカードローン」では、従来、申し込みから契約完了までの日数が長期化しており、消費者金融などの競合と比べてスピードが劣っていた。営業統括部 個人金融グループ 調査役の久田 裕作 氏は「保証会社の審査で承認となったお客さまのうち30%強が離脱して契約まで至っていない状況でした。契約完了までの手間と日数が大きく影響していると考えていました」と話す。
そこで、FFGカードローンの競争力を強化すべく、業務プロセスの抜本的な改革とともにWebで手続きを完結できるサービスへと刷新することを決断した。

左)株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 営業統括部部長 後藤 芳騎 氏
右)株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 営業統括部 個人金融グループ 調査役 久田 裕作 氏

左)株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 営業統括部 カードローンプラザ長 三浦 俊彦 氏
右)株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 営業統括部カードローンプラザ 調査役 高山 隼 氏
Salesforce基盤でプロセス刷新を決断、国内に前例のない挑戦も
カードローンのバックオフィス業務を支えていた従来の仕組みは、コアとなる審査システムと関連システムが密接に連結しており、必要な改修のみを機動的に行うことは難しい状況だった。久田氏は「DX推進本部と事業部門が連携し、将来のサービス高度化や事業環境の変化にも柔軟に対応できるよう、業務改革を妨げないシステムのあり方について議論を重ねました」と振り返る。
当時、FFGではCRMシステムをSalesforceのSFA機能も加えて全面的に刷新するプロジェクトが先行していた。そうした背景もあり、カードローンのサービス基盤にも「Salesforce Financial Services Cloud」を採用する方針が固まった。豊富なSaaS機能とノーコード・ローコード開発機能とを兼ね備えており、拡張性も高いと評価した。開発パートナーにはJSOLを選定した。「十分な開発実績を持ち、金融分野の知見が豊富なパートナーとして、セールスフォース・ジャパンから推薦されました。実際にJSOLの支援を受けた他行の評価も高く、安心できました」と久田氏は説明する。
2022年11月に始まったプロジェクトは、約16カ月の開発期間を経て2024年3月にローンチを迎えた。申し込み、本人確認(eKYC)、審査、契約という一連のプロセスをSalesforce Financial Services Cloud上に統合する、大規模なプロジェクトだった。
「既存の仕組みやルールの優れた部分は生かしつつ、変えるべきところは変え、お客さまとバックオフィス部門の担当者の双方にとってスムーズに案件が流れるよう工夫を重ねました。行内の関係者との調整が大変な部分もありましたが、JSOLがAs-Isの業務フローを早く深く理解してくれ、To-Beを描く際にも的確な提案をしてくれたことで、Salesforceの標準機能やベストプラクティスを最大限に生かすことができたと感じています」と久田氏は話す。
プロジェクトでは大きな挑戦もあった。一つは「Salesforce Private Connect」の導入だ。これによりSalesforceとAWS上のAPIゲートウェイを仮想的な専用線で接続し、行内システムとの安全な連携を実現した。将来的な拡張性の確保とセキュリティー強化を念頭に置いた選択だったが、当時、国内での導入実績はなく、セールスフォース・ジャパンも巻き込んで試行錯誤し実装に至った。
もう一つの挑戦は、現場が使いやすいUIの構築だ。福岡銀行 営業統括部カードローンプラザ 調査役の高山 隼 氏は「顧客対応を担う当プラザには、年齢層もITリテラシーも異なる約80人の行員・スタッフが所属しており、全員がスムーズに使いこなすことができるかが最大の懸念でした」と語る。現場担当者を交えた議論を重ね、申込フォームや行内画面、効率的な業務フローを検討するとともに、JSOL作成のマニュアルの改訂を繰り返し、新システム・新業務フローへの移行を実現した。
顧客の4分の1は翌日までに契約完了、業務効率化で生まれた「顧客と向き合う時間」
新システムの成果は明確だ。申し込みから契約完了までの平均日数は、ローンチ当初と比べて直近では半分以下まで短縮し、4分の1の顧客は申し込みの翌日までに契約が完了している。さらに、申し込みから5日以内の契約完了率は、従来の約20%から約70%へと飛躍的に向上し、契約率も約10%改善した。後藤氏は「顧客の離脱が減少し契約率が改善したのは、顧客体験や顧客満足度が向上しているからこそだと考えています」と手応えを語る。
業務効率化の効果も顕著だ。福岡銀行 営業統括部カードローンプラザ 部長代理の三浦 俊彦 氏は「申込の進捗管理が非常に容易になりました。以前は紙のファイルで進捗を管理していたのが、現在はシステムでリアルタイムに把握できます」と話す。さらに、審査が否決となった顧客への審査結果通知書の発送事務や、1件15分程度を要していた電話での契約意思確認も不要になった。「手続きが途中で滞留しているお客さまへのフォローなど、能動的なお客さま対応により多くの時間を充てられるようになったのは大きな変化です」と三浦氏は強調する。
地域金融機関としての存在価値を高めるためにDXを加速
新たにフォーカスすべき課題も見えてきた。「従来は、電話でのお客さまとの接点が必ずあったため、承認金額上限でのご契約メリットを口頭でお伝えする機会がありましたが、電話での接点を不要とする業務フローを構築したことで、契約金額が低下傾向にあります」と後藤氏は説明する。そこで現在、Web上のタッチポイントでのコミュニケーションを強化するなどの対策を検討している。また、詳細な離脱ポイントの分析に基づき、データドリブンかつ継続的な改善サイクルの確立も目指す。
今回のカードローン事業における改革の成果は、他のサービスにも波及させる方針だ。久田氏は「他の消費性ローンや保険窓販などにもこの仕組みを導入するプロジェクトを進めています。対面に依存していた一部業務を含めWeb完結化を目指します」と意気込む。
FFGが最終的に目指すのは、単なる顧客接点のデジタル化ではない。後藤氏は「データやAIを活用し、お客さま一人一人に最適なサービスを提案できるようにするなど、顧客体験向上に注力します。JSOLには私たちの目標を達成するまでパートナーとして伴走してもらうことを期待しています」と話す。各店舗に配置できる人員が限られる中で、傘下には離島を商圏とする銀行もある。そうした状況下で地域金融機関としての存在価値を高めるために、DXをさらに加速させる。

左から、JSOL 小島 崇利、安藤 大智、松野 奈緒美、高石 佳保里、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 後藤 芳騎 氏、
三浦 俊彦 氏、高山 隼 氏、久田 裕作 氏
企業情報

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会社名
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株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
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所在地
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〒810-8693 福岡県福岡市中央区大手門一丁目8番3号
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設立
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2007年4月2日
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会社概要
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福岡県、熊本県、長崎県を中心とした九州全域にネットワークを有する地域金融グループ
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WEBサイト
(2025年11月現在)
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