会計システム刷新プロジェクト~放送業界向けテンプレート「J’s-TV」で、業界特有の活用法にもスムーズに対応~

近畿広域圏で地上波放送事業を営む関西テレビ放送では、会計システムの刷新に取り組んでいた。それまで20年以上にわたり利用してきた海外製の会計システムではペーパーレス化や日本の法令への対応が難しくなっていた上、サポート期限も迫っていた。そこで選ばれたのが国産ERPパッケージ「Biz∫」をベースとした放送業界向けテンプレート「J’s-TV」、導入ベンダーはJSOLだ。

キーワード

業務

業種

課題・解決・効果

課題

  • 20年以上使用してきた会計システムが老朽化

  • 長年にわたり紙の伝票で運用してきたため、社員は出社して手続きしなければならないという手間が負担に

  • 電子帳簿保存法など、法改正への対応が困難だった

解決

  • NTTデータ・ビズインテグラルの国産ERP「Biz∫」にリプレース

  • JSOLの放送業界のノウハウとソリューションを包含した「放送業向けテンプレート(J’s-TV)」を採用

導入効果

  • ペーパーレス化により、精算の申請から承認までを電子化。その他のワークフローも順次開発

  • 操作や画面が分かりやすい国産パッケージで、全社員にとっての利便性が向上

  • 紙の領収書をスマホで撮影、アップロードすることで主要な項目の入力が補完され、精算申請の負担を軽減

  • 2、3時間かかっていた原価管理の計算処理が30分以内で完了

関西テレビ放送株式会社様のインタビュー動画

インタビュー動画(05:04)

海外製の会計システムが老朽化、システム刷新に着手

 関西2府4県を中心とした近畿広域圏で地上波放送事業を営む関西テレビ放送。映像コンテンツの制作・販売、イベントや文化事業なども展開しており、ドラマや情報番組などのコンテンツは近畿広域圏にとどまらず、全国でも放送されている。
 その関西テレビ放送では、会計システムの刷新に取り組んでいた。約20年にわたり利用してきた海外製会計システムのサポート終了が近づき、後継システムに移行するか、異なる会計システムに乗り換えるかの決断を迫られていたのである。
 しかし、放送業界における会計業務には特殊性があり、例えば、番組制作ではロケや取材が多く、立替精算の比率が高い。また、精算の承認ルートや帳票も数多くのパターンがあった。
 DX推進局 担当局長の堂健太氏は、放送業界特有の会計処理の難しさについて、「放送局の会計システムには、一般的な会計システムにはない機能が求められ、アドオンやカスタマイズ、運用の工夫などで対応していたのです」と語る。
 従来の会計システムに対する改善の必要性も感じていた。以前は紙の領収書、請求書といった証憑を伝票に添付することを前提としていたため、ほぼ全社員が伝票処理のためにオフィスに出社して手続きしていた。しかし紙による手続きの負担は重く、特にコロナ禍以降はリモートで処理できるようペーパーレス化の要望が高まっていた。
 また日本向けにカスタマイズした海外製の会計システムだったこともあり、使われている日本語が少し不自然で、画面構成に違和感を覚える場面もあった。

左)関西テレビ放送株式会社 DX推進局 担当局長 堂 健太氏
中)関西テレビ放送株式会社 財務経理局 財務経理部 専任部次長 松尾 一興氏
右)関西テレビ放送株式会社 財務経理局 財務経理部 主事 加藤 明香氏

国産ERPのBiz∫と放送局向けテンプレートのJ’s-TVを採用

 会計システムの刷新にあたり、当初検討された後継システムへの移行はコスト面で課題があったため、新たなシステムの選定に切り替えた。しかし準キー局の規模に見合ったものはなかなか見つからず、悩んでいたときに、「国産ERPのBiz∫が放送局に導入されたという事例紹介をNTTデータのWEBサイトで見つけて、これなら当社の規模、使い方に合っているのではないかと興味を持ち、資料請求を行ったところ、JSOLを紹介いただいたのです」(堂氏)
 財務経理局 財務経理部 専任部次長の松尾一興氏は、Biz∫の印象について「国産ERPということもあり、画面を見た時に操作方法が直感的に想像しやすいと感じました」と語る。
 現場ユーザーが社外からでもBiz∫にアクセスできることから、紙の伝票で処理していた承認までのワークフローも電子化し、経費精算のための出社なども解消できる。
 中でも堂氏にとって魅力的に映ったのが、JSOLが提供している放送業界向けのBiz∫用テンプレートであるJ’s-TVだった。
 J’s-TVの伝票入力機能は、ユーザー数ではなくサーバーのCPU単位で決まることから、全社員が利用してもコストを抑えることが可能となった。これにより、現場ユーザーが直接会計システムに入力できるようになり、これまでに発生していた二重入力の解消にもつながった。
「番組単位でコストを集計するといった放送局に必須の機能はJ’s-TVにはあらかじめ用意されていました」(堂氏)
 伝票の承認フローを柔軟に設定できる点も放送局特有の事情に対応しやすいと考えた。財務経理局 財務経理部 主事の加藤明香氏は、「当社の承認ルートはかなり複雑で、予算の管轄者を重要視しているため、番組、伝票の種類によって承認ルートが異なります」と説明する。
 さらに堂氏は「JSOLは、それまで当社が使用していた海外製会計システムに対する知見も持ち、旧システムから新システムへの移行を任せる上で非常に安心できた」という点も評価した。
 こうした点が評価され、2024年1月にBiz∫の採用が決定し、構築するベンダーにはJSOLが選ばれた。そして一年半の開発を経て、2025年8月に新しい会計システムが稼働した。

ペーパーレス化と法対応を実現。繁忙期の経理部門の負担も軽減

 Biz∫導入によって感じる効果として、堂氏は「当初の目標でもあったペーパーレス化、電子化の実現」と「電子帳簿保存法への対応」を挙げる。
 電子化を実現したことで、伝票の申請から承認までの経過状況も把握できるようになった。紙の時代は、各伝票がどの段階まで進んでいるかを把握するのは困難だった。しかし、承認フロー全体をBiz∫上で管理できるようになった結果、進捗状況を財務経理部が能動的に把握できるようになっている。さらには旧システムではできなかった電子帳簿保存法への対応も可能になるなど、日本の法改正に合わせたシステム変更も行いやすくなった。
 その上で松尾氏は、処理の高速化も大きな利点として挙げる。
「月次の決算を確定させるにあたり原価計算を行います。従来はシステム稼働に2、3時間を要していましたが、Biz∫は30分程度で完了するようになりました。時間的余裕のない中で毎月の月次決算作業を行っているため、システム稼働時間が短縮されたことは大きなメリットでした」(松尾氏)
 加藤氏は「紙の管理からの解放」と、「会社全体での経理処理業務が効率化された」ことの二点を挙げる。
「以前はすべての伝票を紙で保管しており、確認の際には分厚い紙の束から探す必要がありました。それがデジタルデータ化された現在は、システム上ですぐに検索できます。また以前は、現場ユーザーが表計算ソフトにデータを入力して財務経理部に届け、それを財務経理部で会計システムに入力し直しており、二重の入力作業になっていました。しかし、現在は現場ユーザーが直接Biz∫にデータを入力するため、二重入力がなくなり会社全体で業務が効率化されました」(加藤氏)
 さらに、報道記者を経験している加藤氏はBiz∫の導入によって現場にもたらされる利便性にも注目している。
「報道現場では事件が発生すると、たとえ経費精算の途中であっても、作業を中断して現場に向かわなければいけませんでした。取材を終えてオフィスに戻った後、途中で止まっていた精算作業をやり直す必要があり、現場にとっては二度手間になる場面もありました。しかしBiz∫なら社外からでも経費精算業務を行えるので、現場スタッフも効率よく動けるようになっていると思います」(加藤氏)

JSOLの推進力が、大型プロジェクトの進行を守った

 プロジェクト全体を振り返ってのJSOLに対する印象として堂氏は「いい意味で容赦がなかった」と笑った。今回のような大規模プロジェクトでは、検討中に決めなければいけないことを先送りにして、プロジェクト全体の進捗が遅延することが起こりがちだ。
「JSOLはプロジェクト推進力が高く、先送りを許すことなく私たちを引っ張ってくれました。おかげで、以前の会計システムのサポート終了までに刷新プロジェクトを完遂できました」(堂氏)
 また打ち合わせの際には、「本質を捉えてくれた」と高く評価している。「私たちが伝えた言葉の表面的なことだけでなく、その背景や目的など本質的なところを理解した上で、『それをBiz∫でどう実現するか』を苦心してくれました」(堂氏)
 Biz∫はAWS上に構築したが、関西テレビ放送にとって基幹システムをクラウドに乗せるのは初めてのことだった。その点について、堂氏は次のように評価する。
「AWSでの構築には不安もありましたが、JSOLの担当者と日常的に連絡を取れる体制を組んだことで、非常にスムーズに進みました。JSOLはBiz∫に関係しないところも含め、管理面の課題についても手厚い支援をしてくれ、本当に感謝しています」(堂氏)
 今後は現在着手していない電子請求書発行のワークフローの電子化を進めるなど、経理関連業務全体の改善を推進していく考えだ。
 さらに長期的な視点を踏まえて堂氏は「ERPとして当社の情報基盤と連携させることによってデータドリブンな意思決定、会社としての意思決定を支えられる仕組みを構築していきたい」と述べ、「当社とJSOLの付き合いは始まったばかり。会計システム以外にも、当社の新しいビジネスにつながるような提案を期待しています」と語った。

左から、関西テレビ放送株式会社 加藤 明香氏、松尾 一興氏、石井 克典氏、堂 健太氏、JSOL 堀 道子、樫田 健治、
新井田 亮、得重 侑弥、川辺 優

企業情報

関西テレビ放送株式会社様のロゴ

会社名

関西テレビ放送株式会社

所在地

〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1番7号

設立

昭和33年2月1日

事業内容

放送事業、放送番組の企画、制作および関連商品の販売、各種イベントの企画、運営など

WEBサイト

(2026年02月現在)


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