データドリブン経営の基盤となる全社マスターを「J-MDM」で統合。最適な管理パターンを使い分ける柔軟なアーキテクチャでガバナンス強化と業務効率化を実現
ジェネリック医薬品のリーディングカンパニーである沢井製薬を中核事業会社とするサワイグループホールディングス(以下、サワイGHD)は、「Sawai DX」のビジョン実現に向け、データドリブン経営を推進している 。しかし、各業務システムが個別最適で導入されていたためマスターデータが分散し、迅速なデータ活用の課題になっていた 。この壁を打破すべく、サワイGHDはJSOLの支援の下で全社規模のマスターデータ統合プロジェクトに取り組んだ 。MDM製品としてはJSOLの「J-MDM」を導入し、既存システムを生かしつつマスターごとに最適な管理パターンを使い分ける柔軟なアプローチでプロジェクトを完遂 。「データの民主化」に向けた強固な土台を確立した 。さらにマスター申請・承認プロセスの効率化やガバナンス強化も実現した 。
課題・解決・効果
課題
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各業務システム(基幹システムや営業支援システムなど)でマスターが個別に管理され、システムを横断したデータ分析のたびに現場での名寄せや手作業での加工が必要だった
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マスターの申請・登録にExcelや紙ベースの運用が残っており、複数システムでの二重承認や手入力といった工数が発生していた
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Excelによるマスター申請は証跡管理の面で内部統制(ガバナンス)上の懸念があった
解決
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既存システムへの影響を抑えるため、マスターの特性や業務への影響度合いに応じて集権型、集約型、ハイブリッド型の管理パターンに整理して構築した
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ワークフロー連携や一括登録、証跡管理といった標準機能が充実した「J-MDM」を導入した
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医薬品データや業務プロセスに精通したJSOLの伴走により、複雑で難しい要件も実装できた
導入効果
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全社的なデータ品質が安定し、名寄せや手作業による加工を排除。迅速かつ高度なデータ分析を可能にすることで、データドリブン経営の推進に大きく貢献した
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マスターの申請・承認フローがMDM上に集約されたことで、二重チェックの廃止による大幅な工数削減と、印刷・押印作業の撤廃による完全なペーパーレス化を実現した
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入力時の自動チェック機能や変更履歴の自動保持により、正しいデータのみが登録される仕組みが確立し、内部統制が強化された
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「新しいシステムを導入する際はまずMDMを確認する」という文化が各現場に定着しつつある
データドリブン経営の壁は「マスターデータのサイロ化」
サワイGHDは、沢井製薬を中心に日本国内で医療用医薬品の製造販売を展開し、ジェネリック医薬品のリーディングカンパニーとしての地位を確立している 。同グループは現在、「Sawai DX」という全社的なDXビジョンの下、IT先進企業への変革を強力に推し進めている 。そのテーマの一つに位置付けられているのが「データドリブン経営」の実現だ 。
「データドリブン経営を支える情報システム基盤は、業務データとマスターデータの両方が正しく管理されている必要があります」と、サワイグループホールディングス株式会社 グループIT部 Gアプリケーション2グループ 専門職の羽生田 卓志氏は説明する 。しかしサワイGHDは、「マスターデータのサイロ化」という問題に直面していたという 。生産や購買などを担う基幹システムをはじめ、営業支援システム、流通経路における実売データを管理する荷離管理システムなど、各業務システムが個別最適で導入され、品目や得意先といった全社で共有すべきマスターデータも各システム内で個別に管理されていた 。
「システムをまたいでデータを集計したり、データ同士のつながりを分析したりする際に、マスターがそれぞれ異なるため、名寄せ処理が発生していました 。データ分析のたびに手作業による加工を強いられては、迅速かつ高度なデータ活用は望めません 。生産データと営業の販売実績データ、さらには研究開発のデータを含めて一気通貫で分析したいというニーズが社内で高まる中、マスターの不整合が課題となっていました」(羽生田氏)
加えて、基幹システムのマスターの申請・登録プロセス自体にも課題があったと羽生田氏は振り返る 。「Excelで作成した申請書を添付して申請し、その後、印刷して回付するというプロセスが必要なケースがあるのですが、データがどこかで書き換えられても追跡しきれないというガバナンス上の懸念を抱えていました 。また、現場から管理部門へのマスター申請と、管理部門のシステム登録申請が分かれて存在していたため、二重の申請が必要でした 。申請内容の転記やシステムへの登録で手作業が発生するなど、業務効率の悪さも課題になっていました」
こうした背景からサワイGHDは、全社で共有すべきマスター(品目、得意先など)を1カ所に集約し、マスター管理を統制することで品質が保証されたデータを管理するMDM(マスターデータ管理)導入プロジェクトを開始した 。

サワイグループホールディングス株式会社
グループIT部 Gアプリケーション2グループ 専門職
羽生田 卓志 氏
業務への深い理解と「ハイブリッド型」の柔軟性を評価しJSOLの提案を採用
MDMの導入に先立ち、沢井製薬は、社内に散在するマスターを洗い出してデータモデルと課題を可視化 。その上で、システム構築を担うパートナーと具体的なMDMソリューションの選定を開始し、結果としてJSOLの提案を採用した 。羽生田氏は「JSOLとは営業系システムやETLツールにおいて10年以上前から取引があり、医薬業界はもとより、当社独自の業務やルールについても深く理解してくれています 。その信頼感が最大の選定理由でした」と説明する 。
提案の核となったJSOL独自の製品「J-MDM」についても高く評価した 。ポイントになったのは、システム基盤の信頼性だ 。J-MDMのシステム基盤は、NTTデータ イントラマートが提供する「intra-mart」で、充実したワークフロー機能などが特徴だ 。「別のシステムで既に基幹システム向けにintra-martを導入しており、同じ基盤を使うことでコストメリットが大きかったことに加え、ワークフロー連携や証跡管理など標準機能が充実していることに魅力を感じました」(羽生田氏)
さらに、マスターデータの管理パターンを使い分けることができるJ-MDMの柔軟性が採用を後押しした 。MDMの構築においては、マスターデータをMDMのみで登録・管理する「集権型」が理想形ではあるが、周辺システムに大きな改修が必要になるケースも多い 。そこで同社は、マスターの特性や既存システムへの影響度に応じて集権型、集約型(既存システムのデータをMDMに集約)、ハイブリッド型(集権型と集約型の混合)を柔軟に使い分ける方針を採った 。「現場の運用変更を最小限に抑えつつマスターデータを統合するという現実的なアーキテクチャ設計に、J-MDMがフィットしました」と羽生田氏は話す 。
ベンダー選定後は、具体的な導入に向けた準備段階へと移行した。ここでMDMの対象となるマスターを選定するルールを定め、最終的に約40種類に絞り込んだ上で、段階的に導入を進めた。
ステップ1では品目、成分、ブランド、規格など「モノ」のマスターを統合し、続くステップ2は得意先、仕入先や社内組織など「組織」に対象を広げた 。「仕入先マスターなどは全社員が申請する可能性があり、申請者が非常に多い領域です 。そのため、承認フローの設定に複雑な条件分岐が必要になるなど細かい要望が多かったのですが、JSOLがJ-MDMの機能をうまく生かして実装してくれました」(羽生田氏)
さらにステップ3では、モノの中で製薬企業にとって最も重要な「原薬」(薬の有効成分)の細かな情報に関するマスターの統合に挑んだ 。従来、関連する部門がそれぞれ独自の仕組みでマスターを管理しており、原薬や製造所のコードなどを一からルール化して付番していくという地道な作業を進めた 。ステップ3が完了したことで、プロジェクトはゴールに到達した 。羽生田氏はJSOLの支援について、「無茶なお願いも多かったのではと思いますが、現場の声を真摯にくみ取り、課題の解決策を能動的に提示していただきました」と評価する 。

To-Beシステム全体図
ガバナンス強化と業務効率化、データ品質の向上を実現しデータ活用の基盤が整う
MDMの導入直後から顕著に表れている成果は、ガバナンスの強化と業務プロセスの効率化だ 。従来はシステムごとに分断されていた基幹システムのマスターの申請・承認フローがMDM上に集約されたことで、申請時と登録時の二重チェックや転記・手入力の手間などが不要になった 。また、入力段階での「自動チェック機能」を実装したことで手戻りがなくなったほか、承認履歴や変更記録も自動的かつ一元的に管理できるようになった 。紙ベースの運用からも脱却し、ペーパーレス化も実現している 。「証跡を確保しつつ正しいデータが効率的に登録される仕組みを確立し、確かな手応えを感じています」と羽生田氏は自信をのぞかせる 。
データ品質も飛躍的に向上した 。システムごとにバラバラだった原薬成分・製造所、組織コードなどがMDMを核として一元化され、全社員がMDMにアクセスして必要なマスターを活用できる環境が整った 。
同社はMDM導入の後に新情報活用基盤(DWH、BIツール)を刷新。MDMのマスターデータを活用することで、分析基盤の強化に貢献している 。まずはステップ1として営業領域からスタートしており、今後は生産・財務領域への展開を予定するなど、順次データ活用を推進している 。データドリブン経営を支えるシステム基盤の要として経営層からの期待も大きく、社内の意識変革はすでに始まっているという 。
副次的な効果として、MDM導入によって共通マスターが整理・可視化され、各現場では新システム導入時に、まず共通マスターの活用方法を検討する運用が定着しつつあるという。「共通マスターをどう使うかを最初に考えるルールにしています」と羽生田氏は話す。
マスター領域のさらなる拡張と「データの民主化」へ向けた次なるステップ
今後は購買部門で管理する副原料や資材にもMDMの対象を広げ、品目マスターの項目拡充などを継続的に進めていくが、強固なマスター基盤が一旦完成したことで、全社のデータ活用も本格化させたい考えだ 。「現在は営業領域でのデータ活用が中心ですが、今後は生産や研究領域のデータも連携させ、全社横断的なデータの突合・分析を目指します 。正確なマスターデータを整備できた効果がここでより鮮明に見えてくるでしょう」と羽生田氏は展望を語る 。
Sawai DXでは、誰もが自らデータを使って価値を生み出す「データの民主化」を推進するというビジョンを掲げている 。その実現に向け、JSOLの支援への期待は大きい 。「JSOLは当社の業務を深く理解してくれており、今後も柔軟な支援を期待しています 。BIツールやAIなどの先進技術を活用した高度なデータ活用をビジネス上の効果につなげられるよう、戦略的なアドバイスも継続してお願いしたいです」と羽生田氏は語り、新たなステージでの伴走にも厚い信頼を寄せている 。

左から、サワイグループホールディングス株式会社 羽生田 卓志 氏、JSOL 前田 洋、都久井 達哉
企業情報

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会社名
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サワイグループホールディングス株式会社
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所在地
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〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30
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設立
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2021年4月1日
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事業内容
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グループの経営管理および関連する業務を担う持株会社
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WEBサイト
(2026年07月現在)
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