事業構想・創造人材育成プログラム「DIVE」に、「いのべ場」を活用。ワークショップの議論を深め、人材育成と新規事業創出へ

株式会社デンソーでは、到来しつつあるモビリティ社会に向けて、これまでにない新しい製品、サービスを創造するために事業創造プログラムを立ち上げました。その一環として2018年に始めたのがDIVEという事業構想・創造人材育成プログラムです。このDIVEのさらなる充実を図り、2019年にJSOLのディスカッションメソッド「いのべ場」を活用し、斬新、かつ事業化が見込めるアイデアの創出に成功しました。

課題・解決・効果

課題

  • 激変する自動車業界でリードするために、今までにない発想ができる人材を育成したい

  • 事業構想・創造人材育成プログラム「DIVE」を、前年度より充実させたい

解決

  • いのべ場をDIVEで利用し、ワークショップの活性化と事業案の品質向上を狙う

導入効果

  • チームビルディングと新規ビジネスのテーマ決めを短時間で実行、ワークショップの活性化へ

  • 事業案の品質が向上。具体的な事業化への動きも進展

  • DIVEに参加したメンバー、チーム間の協力が強化

やがて到来するモビリティ社会に向けて、求められる新たな発想

グローバルな自動車部品メーカーとして、世界中の自動車メーカーに向けて多種多様な機器を開発、提供しているデンソー。近年、この自動車業界にコネクテッドカー(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared)、電動化(Electric)など、CASEと呼ばれる大きな変化の波が訪れています。また、移動そのものをサービスとして提供するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の1つとしてとらえられる自動車は、単なる乗り物ではなく、街づくりの中で重要な役割を担うことが期待されていており、社会から求められる意義も変わりつつあります。

新たなモビリティ社会に向けた取り組みを始めていたデンソーにおいても、その実現にはこれまでにない新しい発想と、それを生み出す人材育成が必要不可欠と考えていました。そこで2017年、「自ら企画し、チャレンジする人材を育成し、日本の産業の強化に貢献すること」を目指して「価値創造プロジェクト」を立ち上げました。

その一環として2018年からスタートしたのが、事業構想・創造人材育成プログラムの「DIVE(DENSO Innovative VEntures)」でした。これは4カ月にわたって実施するビジネスコンテストであり、第1回となるDIVE 2018では、34チーム(全53名)から74もの事業案のエントリーがあり、最終選考会を経て優秀賞に輝いた事業案が実現に向けて動き出しています。

左)株式会社 デンソー 技術開発センター 価値創造プロジェクト担当係長 羽田 成宏氏
右)株式会社 デンソー 技術開発センター 価値創造プロジェクト担当係長 沖 直人氏

JSOLと問題意識と価値観を共有。DIVEにいのべ場を導入

第2回となるDIVE 2019の計画を進めるにあたり、Founder(リーダー)を任された羽田成宏氏は、「DIVEの期間中に、斬新な事業案を考えることを通して人材育成に役立てるには、最初のチームビルディングとテーマのアライメント(調節)を短時間で実行することが必要」と感じていました。

DIVEでは、数時間でチームビルディングとテーマ決めを行いますが、そのマッチングがうまくいかないと、優れた事業案に結びつきません。「いかに短時間ですべてを決めるか」と模索していた羽田氏に、上司から紹介されたのがJSOLの「いのべ場」でした。いのべ場とは、JSOLが提供しているイノベーションを起こすためのアイデアを創出するディスカッションメソッドです。

最初は「ありきたりなワークショッププログラムに見えた」という羽田氏ですが、いのべ場を推進するJSOL三尾と打ち合わせをしたところ、「出会った最初の15分で印象がガラリと変わりました。他のワークショップ実施プログラムも見聞きしてはいましたが、いのべ場はそれらとまったく異なるものでした。他がワークショップの手法に終始しているのに比べ、いのべ場は、会社として実現したい目標という視点からワークショップの役割を構築していきます。そのスタンスが、私たちと一致していると感じました」という羽田氏は、DIVE 2019でのいのべ場の活用を決めました。

いのべ場を通して生まれた、メンバー間の積極的な連携、まとまり

4カ月にわたって実施されるDIVEは、4つのステップから構成されます。ステップ1と2は教育プログラムであり、座学とワークショップを経て新規事業の立ち上げ方の基本を学びます。ステップ3では社外のメンバーも加え、チームビルディングやテーマごとのワークショップなどを通して3日間のうちに事業案を作り上げます。そして中間審査を行い、通過したものがステップ4へ進み、事業案をブラッシュアップして最終プレゼンテーションへ向かいます。

DIVE2019では社内から約30名、社外から約20名から構成される12チームで実施しました。そしていのべ場は、チームビルディングと仮テーマの設定、アイディエーションと事業構想、事業案の作成と最終プレゼンテーションなどのポイントで活用されました。

いのべ場にはさまざまなディスカッション手法が用意されていますが、DIVE 2019のCo-Founder(サブリーダー)の沖直人氏が高く評価するのは、「既存事業を要素分解し、足し算、引き算することによって、新たなアイデアを生み出すという手法」でした。

この「要素分解」では、既存サービスがどういう要素から構成されているかを分析します。そうして要素同士を足したり引いてみたりする作業を通してサービスの理解が深まり、新しいサービスのアイデア創出へとつなげていきます。沖氏は、「要素分解して足し引きする手法は、デンソーの既存事業だけでなく、他社のビジネス、新しいビジネスの理解にもつながるなど、新しい発想を生むための人材育成に役立つでしょう」と感想を口にします。

ワークショップにはJSOLメンバーも参加。活発な議論を引き出す

両氏が高く評価するのは、DIVEに参加したJSOLスタッフのバランス感覚でした。DIVE 2019では社外の方々の知見、アセット、チャネルを使いたいと考え、社外からの参加者を増やしました。JSOLからは、若手社員の方からマネジャーまで、多様な人材11名が参加しました。

「自動車業界にいる私たちは取引先も限られています。しかし多くの業界と付き合いのあるJSOLは、守備範囲が広くさまざまな業種の知識、付き合うためのバランス感覚を持ち合わせていました。その経験から得たノウハウが、いのべ場に生きていると感じました。JSOLがディスカッションに加わると、いいところを伸ばしつつ、誤解や思い込みを解き、個々人の能力を開花してくれる。これは、他にはない強みと感じています」(羽田氏)

「JSOLからの参加メンバーには、議論をまとめるファシリテーターを得意とする方もいれば、アイデアを次々と出してくれる方もいます。また、事業案の段階であるにも関わらず、自らプロトタイプのアプリケーションを作り出すようなアグレッシブな方もいました。このような方々とチームを組むと毎回違ったシナジーを生みだせます。いのべ場は単なるメソッドだけではなく、こういう人たちを含めた全体がいのべ場であると感じました」(沖氏)

そのようなワークショップを経て、メンバー同士、チーム間の連携、ネットワークも深まりました。羽田氏は、「事業案を発表し合うDIVEはチーム対抗の競争ではありますが、本当は協力しあう関係性も築きたかったのです。しかし競争と協力は相反するものであり、DIVE 2018では期待するほど達成できなかったという反省がありました。ところが、DIVE 2019では、いのべ場を通して、チーム内だけでなく、チームを超えたコミュニケーションが深まり、チーム間の協力も深まっていきました」と言います。

それを強く感じたのが、最終プレゼンテーション前の準備での出来事でした。プレゼンテーションの練習しているチームに対して、他のチームのメンバーから続々とアドバイスが送られ始めたのです。

「自分たちの作業に集中していると、他のチームの活動は邪魔に感じてしまうもの。しかし、チームの垣根を越えて意見を出し合い協力している姿から、全員でいいものを作ろうという気持ちが垣間見え、本当に感動したことを覚えています。私たち運営メンバーの目指していたことが、いのべ場で果たせたと嬉しく思いました」(羽田氏)

いのべ場から生まれた事業案が会社を動かす

撮影風景

DIVEが目指すゴールは、事業化に結び付けることであり、事業案を作って終わりではありません。DIVE 2019では、デンソーのコア技術と社外参加企業の強みを生かして街や暮らしを変えていく事業案など、4つの事業案が事業化に向けた検討に入りました。これについて沖氏は、「デンソーの事業部で引き取れる精度の事業案が、DIVE 2018では1つだけだったのに比べて、DIVE 2019では4倍に増加しました。いのべ場によってワークショップが活性化したことで優れた事業案に結びついたといえるでしょう」と説明しました。

すでにデンソー社内では、DIVEでのチームを踏まえた人事異動も行われています。「最優秀賞にかかわったチームのメンバーは、実際に事業化を進めていこうと話が進み、担当部署へ異動しました。また、担当部署が存在しなかった事業案の実現に向けて、新しく体制を整えようという動きも始まっています」(沖氏)

これらの経験を通して羽田氏は、「DIVEの運営を担当するとイベントとしての成功が気になり、ついつい会社、組織としての本来の目的を見失いがちです。しかし、ワークショップで取り上げるテーマには、会社全体として掲げるミッションだけでなく、人材育成や事業創出といった本質的な課題が含まれています。いのべ場は、そのような本来の目的を果たすために必要な要素を引き出してくれます。いのべ場を単なるワークショップの手法と思っては、その大きな利点を見逃してしまうでしょう」と評価します。

「DIVE 2019では、JSOLの皆さんにはデンソー社員以上にチームを引っ張っていただきました。DIVEには欠かせない存在で、何かを突破しようとするときに必要なパートナーだと考えています。現在DIVE2020を企画しておりますが、いのべ場、そしてJSOLにも参加していただけたら幸いです」と沖氏も期待の言葉を口にしました。

企業情報

会社名

株式会社デンソー

本社所在地

〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1

創業

1949年12月16日

事業内容

自動車関連技術を中心に、生活・産業関連機器などの開発、生産事業

WEBサイト

(2020年03月現在)


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