株式会社JSOL(以下 JSOL)は株式会社理研数理(以下 理研数理)との協業体制で、国立研究開発法人理化学研究所(以下 理化学研究所)より、『「富岳」Society5.0 推進利用課題の支援業務』(以下 本プロジェクト)を受託しました。
 本プロジェクトにおいてJSOLは、Society5.0実現を念頭に、スーパーコンピュータ「富岳」を社会基盤として利活用できる環境整備促進に向けた取り組みを進めます。

「富岳」Society5.0推進とは

 Society5.0 は、2016年の「第5期科学技術基本計画」で「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を両立する、人間中心の社会(超スマート社会)」として提唱されました。その後、2021年の「第6期科学技術・イノベーション基本計画」では、さらに進んで、Society5.0 の実現に向けオールジャパンで取り組もうという強い意思が示されました。理化学研究所計算科学研究センター(以下 R-CCS)が2021年3月に共用を開始した「富岳」はSociety5.0 を実現するために不可欠なHPC(high-performance computing)インフラに位置付けられました。「富岳」を舞台にしたイノベーションの創出促進を強化するべく、2021年4月、R-CCSは「富岳」Society5.0 推進拠点を設置しました。これは研究機関との「富岳」を通じた連携、異分野と情報科学との融合、産業界との本格的な連携などの「社会実装」によるイノベーションの創出貢献を目的としています。

本支援業務の背景と具体的な支援内容

 スーパーコンピュータ「富岳」は、総合科学技術・イノベーション会議における中間評価(2018年11月)などにより、 Society5.0 の実現に貢献することが求められています。そのため、Society5.0の実現に資する成果を、「富岳」を用いて早期に創出すること、 Society5.0 時代にスーパーコンピューターに期待される新たな役割も念頭に、 Society5.0 を担う潜在的なユーザーへの利用拡大を図ることを目的として、2021年9月15日より「富岳」Society5.0 推進利用課題の公募が開始されました。
 Society5.0 推進拠点では、「IT発でSociety5.0・SDGsへの貢献(ソリューションの提供)の道筋を切り拓く」を目標と定めました。そのうえで、「富岳」Society5.0推進利用課題について、「IT」と「産学での社会実装」の両視点から、「IT」は主にJSOLが、「社会実装」は主に理研数理がそれぞれ、ケイパビリティーを発揮します。また、本プロジェクトでは株式会社日本総合研究所(以下 日本総研)とも協業します。日本総研が保有する産学官の連携による、社会課題を起点とした事業・市場のインキュベーションのノウハウを生かすことで、多様なステークホルダーとの共創を可能とし、以下3つの支援業務を完遂させます。

  • 「富岳」Society5.0 推進利用課題のプロジェクトマネジメントの支援
    これまでの研究成果をもとに産学利用によるイノベーションにつなげるうえで、手厚くフォローすることや実際の利用段階において進捗状況報告や成果共有などプロジェクト推進の支援に携わることで、実りあるプロジェクトにするためのマネジメントを推進します。

  • ポテンシャルユーザーの開拓とプロジェクトメイキングの支援
    特に「富岳」の大きな特徴である、ソフトウエア汎用性の高さ、場合によっては既存環境の延長でも産業利用が可能であるなど、利用する敷居が低くなってきていることを公知し、実利用につなげる支援となります。

  • ポスト「富岳」のフィージビリティスタディの調査とその内容をふまえた中長期的なSociety5.0の実現に対応した企画立案
    「富岳」に寄せられているSociety5.0・SDGsへの貢献に対する期待と、「富岳」運用において抽出された課題、さらに「富岳」において創出を目指しているソリューションモデルの発展を視野に、調査・検討を支援します。

理研数理による理化学研究所の研究シーズの社会実装支援

上述の本プロジェクトの受託のみならず、理研数理は、理化学研究所の研究シーズの社会実装を通じて、次の産業革命を誘発していくことをミッションとしています。理研数理によるSociety5.0・SDGsへの貢献(ソリューションの提供)の主な事例は下記の通りです。

<理研数理による社会実装例>

  1. 「富岳」創薬プラットフォームの全体構想策定
    一般社団法人ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)が中心となって開発してきたAIを「富岳」上に実装することにより、創薬の研究開発に利活用できる創薬DXプラットフォームを構築・運用することを目標とした、全体構想策定を理研数理にて支援。

  2. 次世代創薬AI事業におけるFederated Learning(連合学習)システムの実用化コーディネート
    製薬企業が保有する社内データによって学習した創薬AIモデルのみを共有する(社内データは共有しない)ことにより、創薬AIモデルを精度向上させる連合学習システムの実用化を目指した次世代創薬AI事業において、理研数理がシステム実用化をコーディネート。

  3. 分子動力学ソフトウエア「GENESIS」の産業界における利用のサポート
    R-CCSで開発された、国産の分子動力学ソフトウエア「GENESIS」の産業界における利用をサポートするサービスとして、企業ユーザーと開発者が集うユーザーグループを設立し、理研数理が事務局を運営。

  4. 「理研データ同化オンラインスクール」の主催
    シミュレーションを実際の観測データとつきあわせ、シミュレーションの軌道を修正して「確からしさ」を高める「データ同化」という技術を、民間企業利用促進の目的から、2021年度にR-CCSの共催のもと、理研数理がオンラインスクールを主催。

今後の展望

 「富岳」が注目されるのは、イノベーション創出に不可欠な「デジタルツイン」を実現できる社会基盤であるという点です。例えば、創薬は、基礎研究から始まり、非臨床、臨床を経て承認に至る、膨大な時間が必要とされます。HPC・AI技術をプラットフォーム化したデジタルツインの活用により、特に基礎研究・非臨床フェーズに係る期間を大幅に圧縮し、投資回収のサイクルを高速化することができます。
 デジタルツインを使いこなすことで、今後の時間やヒトといった資源がより必要なところへシフトできることから、持続可能な社会、SDGsの実現に寄与できるものと考えています。JSOLは社会インフラである「富岳」による「デジタルツイン」がもたらす豊かな社会づくりに貢献していきます。今後のJSOL・理研数理の取り組みにご期待ください。

株式会社JSOL

(本社:東京都中央区、代表取締役社長:前川 雅俊)

JSOLは、ICTコンサルティングからシステム構築・運用までの一貫したサービスで、お客さまのより幅広いニーズにお応えできるICTサービスコーディネーターです。
2009年1月、NTTデータ、三井住友フィナンシャルグループ、日本総合研究所との業務・資本提携により、社名を株式会社JSOLに変更するとともに、NTTデータグループおよびSMBCグループの一員として、お客さまのビジネスに貢献できるICTソリューションの提供に取り組んでいます。

株式会社理研数理

(本社:東京都中央区、代表取締役:江田 哲也)

2020年10月1日、国立研究開発法人理化学研究所、株式会社理研鼎業、株式会社JSOLの共同出資により設立されました。
Society5.0時代の新たな社会課題に対して、数理科学・計算科学をコアの解決手段として取り組んでまいります。

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