代表取締役社長 前川 雅俊

当社の中期経営計画では、お客さまのデジタル改革をご支援するためのサービスおよびソリューションを提供するため、今後加速されるデジタル社会に向けたビジネス戦略・組織戦略を策定しています。加えて、当社内においても、社内情報システムのデジタル変革に向けて各種施策を立ち上げ、推進しています。このような社内外のデジタル変革への取り組みを通じて、社会に新たな価値を提供していきたいと考えています。

代表取締役社長 前川 雅俊

1.デジタルにおける市場環境

現在の中期経営計画では、経済産業省のDXレポート(2018年9月)をもとに、JSOLを取り巻く外部環境を下記の通り定義しています。

(1)市場動向

多くの経営者さまが、将来の企業の成長や競争力強化には、5G・クラウド・AI・IoTなどのデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの構築の必要性を挙げています。この背景には、スマートフォンの普及による人々の消費行動の変化やコロナなどの環境の変化への対応の重要度が高まったことから、デジタル技術の活用それ自体が競争力になると考えられているためと推測します。そのため、今後のデジタルICT市場はますます拡大する傾向にあると想定しています。

(2)お客さま動向

ICT領域のお客さま動向
これまで、お客さまの企業活動に対する生産性の向上を主目的に、基幹システムをはじめとしたシステムやソリューションの展開が進んできました。今後のデジタル社会においては、競争に勝ち残るために、5GやAI・IoTをはじめとしたデジタル技術の活用が進み、お客さま自身が新しい事業やビジネスモデルを創出し、新たな価値の提供が進んでいくと予想します。

CAE領域のお客さま動向
2021年4月に、日本政府は2030年度の温室効果ガス目標を2013年度比46パーセント削減を表明しました。今後、自動車関連産業においては、ますます環境規制が強化され、EVシフトをはじめとしたCASE(※)への対応が加速すると予想されます。この対応のため、ますますシミュレーションを活用した新たな素材開発、加工方法の開発、製品開発が活発になると想定しています。
 

  • CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の領域を指す言葉です。

(3)技術動向

近年、注目されているのは、第3のプラットフォーム(アメリカの調査会社IDCが提唱)です。
これまで、ICT市場は、第1のプラットフォームとして「メインフレーム」を、第2のプラットフォームとして「クライアント・サーバー」を中心に成長してきました。そして近年のICTサービスの市場規模を見ると、モバイル(スマートフォンなどの端末)、ソーシャル技術(SNSなどのユーザー間のコミュニケーションをサポートするサービス)、ビックデータ(画像、音声認識などに使われるデータ)、クラウドを中心に投資が進んでいます。これは、近年のDX化対応の取り組みでは、第3のプラットフォームを構成する技術を活用する頻度が多いためです。そのため、今後、DX化対応が進むにつれて、第3のプラットフォームを構成する技術の進展、および第3のプラットフォームに関するサービス創出が進むと想定しています。

2.ビジネス戦略

従来、JSOLは、お客さまの要件に沿ったシステム設計、構築から運用保守までを提供する「従来型ICTビジネス」を推進してきました。近年、既存のお客さまの「攻めのICT」への投資が増加していること、第3のプラットフォームやAI、IoTなどのデジタル技術の活用ニーズや市場が拡大していることを踏まえ、「DX化対応ビジネス」にも注力するためのビジネス戦略として、以下の方針を定めました。この方針に基づき、お客さまとともにデジタル変革を進めます。

(1)お客さまエンゲージメントを高め、デザイン思考で価値を創出

お客さまと新たな価値創出するJSOLデジタル共創の取り組み事例は、以下に掲載しています。

(2)コーポレートICTとビジネスICTの融合から推進

(詳細は3.組織戦略)

(3)新技術対応投資の拡大・スキル転換・リソースアロケーションを推進

(詳細は、4.人事・人財戦略)

3.組織戦略

JSOLではこれまで、デジタルビジネスの創出および強化を図るため、デジタル領域に特化した全社横断組織としてデジタルイノベーション事業本部を組成し、デジタル共創に取り組んできました。この組織では、国内外のベンチャー企業や研究機関との連携、デジタル技術を活用したビジネスの推進、各事業本部との連携など、多様な役割を担っていました。

2021年度より、各事業本部のデジタルビジネスを加速するため、現業ビジネスを推進していた事業部にデジタルイノベーション事業部の機能を融合したソーシャルトランスフォーメーション事業本部を組成しました。加えて、中長期的な取り組みが必要な「新規ビジネス創出を担う機能や社外と連携する役割」を本社組織として全社横断で推進するため、創発ビジネスセンターを組成しました。お客さまの既存ビジネスのデジタル変革と、中長期的な新規ビジネス創出という2軸で、社内外のデジタル変革の推進しています。

さらに、最先端の数理技術による社会課題の解決、およびデジタル化を推進するため、国立研究開発法人理化学研究所と共に2020年10月に「株式会社理研数理」を設立しました。理研数理では、産業界とアカデミアをデータサイエンスで結びつけることで新たな価値創出の推進を進めています。

4.人事・人財戦略

ビジネス戦略の実現に向け、DX化対応ビジネスを牽引する人財の育成強化と獲得、並びに定着化を推進しています。

JSOLでは、以下の取り組みを通じてDX化対応人財の育成を行っています。

  • 目標管理設定の見直し

  • 評価制度の見直し

  • DX人財育成プログラム(NTTデータの研修プログラム)への派遣

  • カフェテリアポイントによる自己学習の費用補助 など

加えて、キャリア採用やビジネスパートナーとのアライアンスの強化、デジタル化を強く推進する協業パートナーとの人財交流による新たな知識や経験の獲得を通じて、より付加価値の高いビジネスを推進できるように取り組んでいます。

5.KPI目標値

JSOLでは、デジタルビジネスの推進に伴い、デジタルICT対応の新規ソリューション数、DX化対応ビジネスの年間売上高、そのソリューションの推進を担うDX系人財の育成指標としてDX系資格保有累積数の3点を重点的なKPIに掲げ、各KPIを達成するための取り組みおよび定期的な見直しを実施しています。

(1)デジタルICT対応の新規ソリューション数の対応状況

対外向けの新規ソリューションのリリース件数を目標値に設定しています。2020年度は目標値を達成しました。2018年度対比でも約300%の伸びとなっており、お客さまのデジタル化対応に向けたソリューションラインナップを着実に取り揃えています。

デジタルIT対応の新規ソリューション累計数

(2)DX化対応ビジネスの年間売上高

DX化対応ビジネス(第3のプラットフォームを利用して競争上の優位性確立を提供、支援するビジネス)の売上高を指標としています。2020年度は目標値を達成しました。2018年度対比でも約200%の伸びとなっており、社会のデジタル変革に着実に貢献しています。

DX対応ビジネス年間売上高

(3)DX系人財の育成状況

JSOLでは、DX化対応ビジネスを牽引する技術およびスキルを保有した人財の育成状況を評価するにあたり、クラウド技術(AWS、Azure、GCP、Salesforce)、機械学習(G検定、 E資格)の取得数を指標としています。2020年度は目標値は達成しました。2017年度対比でも約500%の伸びとなっており、デジタル化を担う人財育成が着実に進んでいます。

DX系資格保有累計数