代表取締役社長 永井 健志

当社の中期経営計画では、お客さまのデジタル改革をご支援するためのサービスおよびソリューションを提供するため、今後加速されるデジタル社会に向けたビジネス戦略・組織戦略を策定しています。加えて、当社内においても、社内情報システムのデジタル変革に向けて各種施策を立ち上げ、推進しています。このような社内外のデジタル変革への取り組みを通じて、社会に新たな価値を提供していきたいと考えています。

代表取締役社長 永井 健志

1.デジタルにおける市場環境

現在の中期経営計画では、経済産業省のDXレポート(2018年9月)、DXレポート2(2020年12月)をもとに、JSOLを取り巻く外部環境を下記の通り定義しています。

(1)市場動向

国内ITサービス市場においては、新型コロナウイルス感染拡大による一時的な投資抑制があったものの、引き続き、既存システムの刷新/更改やDX関連の需要が高まっています。2030年に向けてGDPに占めるIT投資額が拡大するという予測からも、当社を取り巻く市場はクラウドなどの技術革新とともに一定の成長を続けていくと考えています。

(2)お客さま動向

ICT領域のお客さま動向
今後、お客さまのICT投資は、迅速な仮説検証を行うため、長期間の大規模システム開発ではなく、パッケージソフトウエアやSaaSの利用、企業内における小規模ソフトウエア単位での内製化が促進されると想定しています。特に、開発手法に関してはアジャイル開発やローコード開発の活用も促進されており、この変化はより加速すると考えています。
このようなお客さまの要求の変化から、ベンダー企業の役割は単なる労働力の供給から、高スキル人財によるスポット的支援、デジタルを活用したお客さまの事業変革支援といった高レベルの役割へ変化することが求められます。

CAE領域のお客さま動向
2021年4月に、日本政府は2030年度の温室効果ガス目標を2013年度比46%削減を表明しました。今後、自動車関連産業においては、ますます環境規制が強化され、EVシフトをはじめとしたCASE(※)への対応が加速すると予想されます。この対応のため、ますますシミュレーションを活用した新たな素材開発、加工方法の開発、製品開発が活発になると想定しています。

 

  • CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の領域を指す言葉です。

2.ビジネス戦略

従来、JSOLは、お客さまの要件に沿ったシステム設計、構築から運用保守までを提供する「従来型ICTビジネス」を推進してきました。近年、お客さまのDX化対応への投資が増加していることを踏まえ、「DX化対応ビジネス」にも注力するためのビジネス戦略として、以下の方針を定めました。この方針に基づき、お客さまとともにデジタル変革を進めます。

(1)お客さまエンゲージメントを高め、デザイン思考で価値を創出

  • お客さまと新たな価値創出するJSOLデジタル共創の取り組み事例は、以下に掲載しております。

(2)新規マーケットの獲得や高付加価値ビジネスの推進

(詳細は3.組織戦略)

(3)新技術対応投資の拡大・スキル転換・リソースアロケーションを推進

(詳細は、4.人事・人財戦略)

3.組織戦略

当社は、新規マーケットの獲得や高付加価値ビジネスを推進するため、国内外の企業との協業やアカデミアとの連携を行っています。近年は特に、新たな提供価値の創出のために、独自の強みを持つ事業本部間のシナジー最大化を目的とした連携組織の組成、当社の顧客基盤をベースにしたお客さまとの共創体制の推進、NTTデータグループ/SMFGグループの有する顧客基盤を生かしたグループ間の共創を推進しています。また、子会社の理研数理を介したアカデミアとの連携により、最先端の数理理論の社会実装を推進しています。
今後も、外部環境の変化に対して、柔軟に組織体制を見直したり、他企業との共創によりお客さまのデジタル変革を推進していきます。

株式会社理研数理は、最先端の数理技術による社会課題の解決、およびデジタル化を推進するため、国立研究開発法人理化学研究所と共に2020年10月に設立しました。理研数理では、産業界とアカデミアをデータサイエンスで結びつけることで新たな価値創出の推進を進めています。

4.人事・人財戦略

ビジネス戦略の実現に向け、DX化対応ビジネスを牽引する人財の育成強化と獲得、並びに定着化を推進しています。

JSOLでは、以下の取り組みを通じてDX化対応人財の育成を行っています。

  • 目標管理設定の見直し

  • 評価制度の見直し

  • DX人財育成プログラム(NTTデータの研修プログラム)への派遣

  • カフェテリアポイントによる自己学習の費用補助 など

加えて、キャリア採用やビジネスパートナーとのアライアンスの強化、デジタル化を強く推進する協業パートナーとの人財交流による新たな知識や経験の獲得を通じて、より付加価値の高いビジネスを推進できるように取り組んでいます。

5.KPI目標値

JSOLでは、デジタルビジネスの推進に伴い、デジタルICT対応の新規ソリューション数、DX化対応ビジネスの年間売上高、そのソリューションの推進を担うDX系人財の育成指標としてDX系資格保有累積数の3点を重点的なKPIに掲げ、各KPIを達成するための取り組みおよび定期的な見直しを実施しています。

(1)デジタルICT対応の新規ソリューション数の対応状況

対外向けの新規ソリューションのリリース件数を目標値に設定しています。2018年度から堅調に増加しており、お客さまのデジタル化対応に向けたソリューションラインナップを着実に取り揃えています。

デジタルIT対応の新規ソリューション累計数

(2)DX化対応ビジネスの年間売上高

DX化対応ビジネス(デジタル技術を利用して競争上の優位性を確立、支援するビジネス)の売上高を指標としています。2018年度から堅調に推移しており、社会のデジタル変革に着実に貢献しています。

DX対応ビジネス年間売上高

(3)DX系人財の育成状況

JSOLでは、DX化対応ビジネスを牽引する技術およびスキルを保有した人財の育成状況を評価するにあたり、クラウド技術(AWS、Azure、GCP、Salesforce)、機械学習(G検定、 E資格)の資格取得数を指標としています。2017年度から堅調に推移しており、デジタル化を担う人財育成が着実に進んでいます。

2022年度から始まった中期経営計画においても、引き続き上記目標に注力していきます。

DX系資格保有累計数