グローバル市場を視野に基幹システムをRISE with SAPに刷新。生産から販売まで一気通貫、「Fit to Standard」重視で業務フローも一新
医薬品の研究開発から、生産、販売までを手掛ける製薬会社JCRファーマでは、グローバル市場進出を見据えて、ERPの導入を検討していた。そこで選ばれたのがRISE with SAPであり、構築の中核を任されたのがJSOLだった。そして、それぞれの部署が個別に運用してきた各システムをERPとして統合し、各機能の連携を強化。紙ベースであった業務も「Fit to Standard」のアプローチで根本的な改革に成功した。
課題・解決・効果
課題
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グローバル市場進出に向けて、基幹システムを刷新したい
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「紙の書類が正」という業務が多く、ペーパーレスにして業務を円滑に回したい
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生産から販売までの業務をつなぎ、部門間の連携を強化したい
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人的リソースが限られる中でも、大規模な刷新プロジェクトを短期間で成功させたい
解決
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SAP S/4HANA上に販売、生産、財務会計、管理会計、在庫・購買のシステムを構築
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SAPのBIツール、経費精算、購買、人事、eラーニングの周辺システムも合わせて導入
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短期間で導入するため医薬品業界向けのSAP導入方法論「J-Model Pharma」を採用
導入効果
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「Fit to Standard」を目指し、SAP標準に合わせて業務フローも効率的に見直し
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医薬品業界に知見を持つJSOLの標準業務モデルを使い、最小限のアドオンで構築を達成
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生産から販売までをSAPで一元管理、急な計画変更にも対応が可能に
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各工場のMESもSAPのマスターデータで統一。工場間連携も一層強化
グローバル市場への夢。その足掛かりとしてのSAPの導入
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を理念に掲げ、独自のバイオ技術、細胞治療、再生医療など最先端の新薬開発に取り組んできたJCRファーマ。研究本部 専門部長の戎居健吉氏は、JCRファーマの企業風土について 「研究開発、生産から販売まで、一気通貫したものづくりを重視しています。併せて、社員の働きやすさや活発なコミュニケーション、製品品質の強化への取り組みも進めてきました」と説明する。
その一方で戎居氏は、将来を見据えた課題として、間接部門、サポート部門のIT化の遅れを挙げた。
「モノづくりを重視した投資の一方で、間接部門やサポート部門では紙や表計算ソフトに頼った非効率な業務が中心でした。」(戎居氏)
営業本部 営業推進部 データマネジメントグループ 主任の山下麻実氏も、「各地に拠点を持つJCRファーマでは書類を郵送し、押印して送り返すといった業務も多く負担になっていました」と語る。
各工場でも「紙の書類が正」という慣例があり、生産本部 生産管理ユニット 生産計画室 主任の芝池朋成氏は「同じMES(製造実行システム)を使っていたにも関わらず、工場によって書類の書き方、管理方法、名称などに細かな差異が生じ、他の工場の状況把握が困難でした」と説明する。
こうした中、創業者でもある代表取締役 会長兼社長の芦田信氏がグローバルに自分たちの製品を届けることを目標に掲げ、2020 年にその一環として「グローバルスタンダードのERPであるSAPを導入しよう」と号令を掛けたのである。
「社長は『SAPを使いこなせる企業、グローバルで通用する企業に育てたい』という夢を口にしていました。このプロジェクトは『基幹システム刷新』はもとより、『創業者の宿願』という目的も含まれていました」(戎居氏)

左)JCRファーマ株式会社 研究本部 専門部長 農学博士 戎居 健吉氏
右)JCRファーマ株式会社 管理本部 情報システム部 主任 花田 雄太氏

左)JCRファーマ株式会社 生産本部 生産管理ユニット 生産計画室 主任 芝池 朋成氏
右)JCRファーマ株式会社 営業本部 営業推進部 データマネジメントグループ 主任 山下 麻実氏
「S/4HANA」構築とベンダーの取りまとめ役にJSOLを選択
JCRファーマは、S/4HANAをはじめとする複数のSAP製品の導入を決めた。「SAP S/4HANA」上に販売、生産、財務会計、管理会計、在庫・購買の機能を稼働させ、各工場で稼働しているMESとも接続することにした。さらにBIツールとして「SAP Analytics Cloud」、経費精算に「SAP Concur」、購買に「SAP Ariba」、人事に「SAP SuccessFactors」、eラーニングに「SAP Enable Now」の導入も決定した。
その後、ベンダーをリストアップしてコンペを実施した。複数の製品を導入することから、それぞれを得意とする4社での分担になったが、プロジェクトの中核となるS/4HANA、および各ベンダーの取りまとめ役として選定されたのが、医薬品業界での実績を多く持つJSOLだった。
「RISE with SAP」と「AWS」を選択、AWSの知見もJSOL選択の要素に
S/4HANAはRISE with SAPとして導入することとした。RISE with SAPとは、S/4HANAなどのSAP ERPソフトウエアをクラウドサービスとして利用するものだ。また、RISE with SAPのインフラとなるパブリッククラウドは顧客が選択することができ、JCRファーマではAWSを選定した。その理由として、管理本部 情報システム部 主任の花田雄太氏は「AWSの実績とJSOLの知見」を挙げた。
「オンプレミスではハードウエア要件の決定、導入、運用管理が負担になることから、S/4HANAはクラウドサービスであるRISE with SAPで利用したいと考えていました。また、RISE with SAPのインフラにAWSを選択した理由として、すでに多くの企業での導入実績があり信頼できること、それからJSOLにはAWS認定の資格取得者がおり、その知見にも期待しました」(花田氏)

システム構成図
綿密なミーティングがプロジェクトを促進。JSOLの仕事の流儀も吸収
新システムの構築は、2021年7月から2023年4月にかけて行われた。SAP導入で目指したものは「つなげるシステムは全てつなぐ」ことに加えて、「Fit to Standard」だったと戎居氏は振り返る。
「SAPの魅力は、いろいろな機能がつながり、連携して動くこと。これまでスタンドアローンで動いていた購買や経費精算、人事など、つなげる機能は全部つなごうと考えました」(戎居氏)
花田氏は、「Fit to Standard」について「当社の仕事に合わせてシステムにカスタマイズを施したり、大量のアドオンを導入すると、将来のバージョンアップや他システムとの連携、あるいはグローバル展開の足かせになりかねません。そこで当初から『カスタマイズやアドオンは最小限にする』、つまり『既存業務をSAPの標準機能に寄せよう』と考えていました」と説明する。
その実現に適していたのが、医薬品業界に必要とされる機能をまとめたJSOLの導入方法論「J-Model Pharma」だった。
「J-Model Pharmaは医薬品業界特有の商習慣や法制度に関する、JSOLの知見やノウハウが凝縮された導入方法論です。それによって、カスタマイズやアドオンの数を減らせました。短期間での開発、そして『Fit to Standard』が実現できたのも、この導入方法論があったからと言えます」(戎居氏)
システムを構築する上で大きなポイントになったのが、延べ千数百回も開催されたミーティングだった。これには各部門の関係者数名と関連するソリューションの担当ベンダーに、JSOLのメンバーが加わり、ディスカッションが行われた。
「『Fit to Standard』を目指すには、場合によっては業務プロセスを大きく変えることが必要となります。ミーティングの場でJSOLが標準形を示し、ギャップがある場合は各現場部門の担当者と既存業務をどう変えていくかを話し合い、部門に持ち帰ったのち、次回のミーティングで決定していきました」(花田氏)
その中でもJSOLの「タイムスケジュール」や「タスク管理」「課題管理」のスキルを評価している。
「ミーティング中に議事録を作り、話し合いの最後は全員で議事録を見ながら、『決まったこと』『次回までに誰が何をやるのか』を確認します。社員だけの会議では『上司への催促や注文』はやりにくいものですが、JSOLが毎回しっかりと全員に念押ししてくれるので、物事が着実に進んでいきました」(山下氏)
戎居氏も、「ミーティングは話しやすい雰囲気で和気あいあいと進み、当社の文化ともマッチしていました。フランクでありながらも、各ミッションの責任の所在、タスクの進捗管理をあやふやにしないJSOLのプロジェクトマネージメント手法は、当社の日々の業務でも取り入れようと努力しています」と、この新しい仕事の進め方を定着させる試みを広げていると語った。

生産から販売まで一気通貫したシステムで急な計画変更にも対応可能に
2023年4月に運用を開始した新システムの効果はすぐに実感できたという。
「稼働して間もなく、ある医療機器製品に、通常では考えられない量の注文が発生しました。該当する製品だけでなく、他の薬も含めてさまざまな調整が必要になったのですが、SAPで全体をコントロールして乗り切りました。以前のローカルシステムや紙/FAXによる受注管理では対応しきれなかったでしょう」(山下氏)
医薬品を製造する工場のMESにもメリットがあった。以前は工場ごとに異なるマスターデータを用いていたが、今ではSAPと各工場のMESを接続し、マスターデータを一元管理できる方式に変わっている。
「マスターがどれほどシステムにとって大事なのか、改めて感じました。各工場で違っていた仕事が統一され、横のつながりが見えやすく、連携が取りやすくなったという利点につながっています」(芝池氏)
また、会計システムと各機能がつながるようになり、各部門の利益に対する認識も高まっている。
「生産と会計が連携したことで、『購買したもので生産が動き、利益を生む』という流れが明確に認識できるようになりました」(芝池氏)
稼働開始から約半年を経過するが、戎居氏は「運用後の修正が少ない」点も高く評価している。
「通常は稼働後に『イメージと違う』という声が挙がるものですが、今回はあまり見られませんでした。一番の要因は、ミーティングを重ねて認識のずれを解消できたこと、それからシステム構築に内部統制の担当者が関与したことです。現場での活用法や会社としての統制などを踏まえた準備、構築ができ、非常にうまく展開できました」(戎居氏)
その上で花田氏は「グローバル市場を見据え、マイナスの遺産を捨ててポジティブな投資をしようと進めてきました。今回のプロジェクトは単なるシステム刷新ではなく、仕事の進め方も含めて得るものが大きく、今後もJSOLの流儀をさらに吸収していきたいと考えていますので、引き続き支援を期待しています」と総括した。

左から、JSOL 宇都 裕貴、山田 政人、JCRファーマ株式会社 花田 雄太氏、戎居 健吉氏、芝池 朋成氏、山下 麻実氏、JSOL 林 孝宗、川辺 優
企業情報

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会社名
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JCRファーマ株式会社
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所在地
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兵庫県芦屋市春日町3番19号
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設立
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昭和50(1975)年9月13日
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事業内容
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医薬品、再生医療等製品およびその原料の製造、売買。輸出入医療用機器および実験用機器の売買ならびに輸出入
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WEBサイト
(2024年02月現在)
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