お客様相談室のナレッジとして、AIによる横断検索サービス「J-Insight」を導入。膨大なファイルを横断検索して目的の情報に即時に到達し、スピーディーに回答。情報の一元管理でバックヤードの負担も軽減。
2026年に創業80周年を迎えるコーセー。消費者に直接リーチできるお客様相談室では、問い合わせに回答するためのナレッジシステムとして社内のイントラネット上に構築した掲示板システムを利用してきましたが、回答時間をさらに短縮し、情報管理の効率向上、負担軽減のために、人工知能(AI)による横断検索サービス「J-Insight」を導入しました。
課題・解決・効果
課題
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お客様相談室での迅速な回答のために、社内のイントラネット上に構築した掲示板システムを利用。目的の情報に到達する時間を短縮したい
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さまざまなファイルに分散する数千件の製品やキャンペーン情報を整理する負担を軽減したい
解決
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AIによる横断検索サービス「J-Insight」を導入。トライアルで効果を実感、本格利用へ
導入効果
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キーワード検索・自然文検索をはじめとした、さまざまな方法による横断検索で目的の情報にすぐに到達
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各部署から届く複数のファイルをJ-Insightに投入し、検索することで、情報整理の負担を軽減
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FAQやチャットボットのデータベース連携により問い合わせをシームレスに管理し、強化可能
顧客満足度、信頼性を上げるためのお客様相談室
「コスメデコルテ」「ジルスチュアート」などのハイプレステージから、「ヴィセ」「ファシオ」などのコスメタリーまで、高級ブランドから親しみやすいブランドまで多岐にわたる化粧品の製造販売を手がけるコーセー。執行役員 情報統括部長の小椋 敦子氏は、自社の企業姿勢について「一つひとつの商品へのこだわりはもちろん、常にお客さまを第一に考え、品質の高い商品をしっかりと届けていくこと」と説明します。
これまでコーセーは、BtoBtoCである実店舗での販売を主軸としてきましたが、近年は消費者に直接リーチできるECやデジタルマーケティングにも力を入れています。そのなかで重要性が高まっているのが、「お客さまとのコンタクトポイント」という重要な業務を担う「お客様相談室」でした。
電話やメールによる消費者からの問い合わせに答えることで、商品の性質や正しい用法を伝え、お悩みを解決するお客様相談室。そこには、化粧品の使い方、プロモーションなどに関する問い合わせが一日に数百件ほど届きます。その一つひとつに対して丁寧に対応することで、コーセーはお客さまからの信頼を高めてきました。
品質保証部 お客様相談室バックヤード グループの楠山 さおり氏は「お客さまの悩みを解決するという使命を完遂するために、お客さまと直接応対するフロント グループと、裏側でサポートするバックヤード グループの協力体制で当たっています」と説明します。
バックヤード グループは「問い合わせ対応に必要な情報を収集して整理する」「お客さまから寄せられた声を新製品の開発や改良に生かすために他部門と共有する」といった役割を担っています。

左)株式会社コーセー 執行役員 情報統括部長 小椋 敦子氏
右)株式会社コーセー 情報統括部 マーケティングシステム課 小川 和隆氏

左)株式会社コーセー 品質保証部 お客様相談室 楠山 さおり氏
右)株式会社コーセー 品質保証部 お客様相談室 三野 美幸氏
数千にのぼる商品情報を社内のイントラネット上に構築した掲示板システムで管理。応対時間短縮のためにナレッジシステムの刷新を検討
お客様相談室がナレッジシステムとして活用していたのが、社内のイントラネット上に構築した掲示板システムでした。コーセーで扱う商品は数千点にのぼります。その1商品ごとに1ページの掲示板を用意していたため、掲示板には膨大な数のページが作られていました。
掲示板の役割について品質保証部 お客様相談室バックヤードグループの三野 美幸氏は「パッケージデザインや大きさ、重さ、成分表記だけでなく、香りから効果効能まで情報を商品ごとに整理している掲示板があったからこそ、お客さまにスピーディーに必要な情報をお伝えできていました」と一定の評価をしています。
この掲示板システムは、以前から社内でさまざまな用途に活用されていたため、「スタッフが操作に慣れている」というメリットがありました。他のシステムも検討はしてみたものの、機能や活用、コストの面から検証した結果、見送られてきました。
しかし、さらなる応対時間短縮のためには、ナレッジシステム刷新が必要と感じていました。楠山氏は「ひとつのページにたくさんの情報を詰め込んでいるので情報量が多く、目的の情報を探すのに時間を要していました。顧客満足度をさらに上げるには、情報にたどり着くまでの時間を短縮したいと考えていました」と語ります。
また掲示板に掲載する情報の管理負荷も解決したい課題でした。デザイン部や宣伝部からの情報はカタログのPDFファイル、Excelでの表など、さまざまな形で届くため、フロント グループのメンバーがすばやく検索できるように、バックヤード グループで一つひとつ掲示板にコピーして整理していました。
「届いた情報を整理する以外にも、『問い合わせが来そう』と予想される内容を担当部門に確認するといった作業にも時間がかかっていました」(三野氏)
複数ファイルを横断して検索できるJ-Insightをトライアル。目的の情報に即時到達できるシステムに
本格的なナレッジシステムへ移行する転機となったのは、2019年度に受けたJSOLからの提案でした。サービスインを間近に控えていた新しいクラウドサービスである、AIを活用した横断検索サービス「J-Insight」について説明を受けた小椋氏は「ワクワクする提案だと感じました。J-Insightは、すばやく必要な情報にリーチできるだけでなく、私たちが望むナレッジの共有が実現可能でありながらコストパフォーマンスが高い。そしてなによりJSOLには『J-Insightで要望に応える』という熱意を感じました」と振り返ります。
J-InsightとはGoogle Cloud Platformを基盤としたクラウド型の横断検索システムであり、PDFやExcel、Word、データベースなど、さまざまな社内文書を横断して検索できるナレッジシステムです。AIを活用した自然文検索をはじめ、さまざまな方法で、マニュアルやFAQなどの複数ファイルに対して一括して検索できます。
2019年11月から12月にかけてコーセーは、J-Insightのトライアルを実施しました。ところが、お客様相談室ではJ-Insightが得意とする「自然文検索」ではなく「単語によるキーワード検索」が中心であり、当初はなかなか狙った情報にヒットできなかったといいます。
JSOLに相談するとすぐに、実行した検索方法を確認したうえで、コーセーでの使い方を踏まえた検索のコツを見つけて、アドバイスしてくれました。また、J-Insight自体にも、キーワード検索やファイル名検索などの機能を強化するなどの改良を加えていきました。
このようにして現場の要望に応えていったJSOLを、楠山氏と三野氏の両名は高く評価しています。「検索時はその人のやり方、質問の内容に応じてさまざまな方法を使います。特に、電話での応対中に検索するとなると、キーワード検索が向いています。J-Insightは、さまざまな手法で検索でき、狙った情報にすぐに到達できるシステムになりました」(楠山氏)
さらに検索結果の並べ替えや管理画面などについても要望を受けたJSOLはJ-Insightに改良を加えました。例えば、ヒット率の高い情報、閲覧率の高い情報が、検索結果で上位に表示される機能を、現場の意見を踏まえて改善しました。
「掲示板のころは検索から情報を見つけるまでに50秒くらいかかっていたところが、J-Insightになって10秒もかからず到達できるようになりました。うまくヒットするようになってから、評価もガラリと好転しました」(楠山氏)

管理の負荷も軽減。さらにはFAQやチャットボットとの連携、店頭の販売スタッフの育成も
J-Insightの効果は検索時間短縮だけでなく、バックヤード グループの管理負荷軽減にも役立っています。「以前は、さまざまなファイルから掲示板にコピーして整理していましたが、直接ファイルの中身に対して検索できるJ-Insightはファイルをそのまま登録するだけで済みます。そのため情報整理の手間がなくなり、大変楽になりました。不足する情報はQ&Aとして一問一答形式でも追加できます」(三野氏)
「カタログの画像を掲示板にそのまま載せても、カタログ内のテキストに対する検索はできなかったので、テキストを追加して補完していました。しかしJ-InsightはPDF内のテキストも検索できるので、補完する必要がなくなりました」(楠山氏)
これらの効果を確認できたことで2020年6月に本契約へと至りました。
J-Insightの導入効果は問い合わせ対応だけにとどまりません。蓄積された情報はJ-Insightで一元管理されたデータベースとなり、他のシステムでも応用する予定です。以前からお客さま対応としてFAQサイトやチャットボットを活用していましたが、それぞれのデータベースは個別に管理されていました。ところが、導入後はJ-Insightからアウトプットしたデータを、FAQやチャットボットのデータベースにインプットするだけで流用できる見込みとなりました。
将来的には他部門での利用も期待されています。情報統括部 マーケティングシステム課 小川 和隆氏は「クラウドサービスであるJ-Insightには、他の場所からもアクセスできます。今後、ビューティーコンサルタントと呼ばれる店頭スタッフ、外回りをする営業スタッフにもJ-Insightを利用できるよう展開していく予定です」と説明します。すでに店頭スタッフにiPadを一人1台配布しており、環境もそろっています。小椋氏も「店頭スタッフにもナレッジを広げることで、さらなるスキルアップに役立つはず」と期待しています。
人情味と熱意にあふれるJSOLの支援
JSOLの対応について小椋氏は「利益だけを追い求める企業では絶対にありえない、人情味のあふれる行動が素晴らしい」と言います。三野氏も「文系の私としては、『SEさんの言葉は用語がわからなくて苦手』という思いがあったのですが、JSOLは対応が丁寧で熱い想いを持つ方ばかりでした」と補足します。楠山氏は「JSOLとは初めての取引ですので認識のずれが生じるリスクがありましたが、いつも丁寧に認識合わせを行い、最終的にずれをなくしてくれます」とJSOLの仕事ぶりを説明しました。
J-Insightの機能、使いやすさに加えて、JSOLの細やかな対応や熱意があったからこそ、ナレッジシステム刷新の成功につながったといえるでしょう。

前列左から、株式会社コーセー 小椋 敦子氏、小川 和隆氏、楠山 さおり氏、三野 美幸氏
後列左から、JSOL 風間 健太郎、織裳 慎一郎、田中 善純
企業情報

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会社名
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株式会社コーセー
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本社所在地
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〒103-8251 東京都中央区日本橋3-6-2
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創業
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1946年
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事業内容
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化粧品製造販売
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WEBサイト
2020年12月現在
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