中長期の事業成長を見据えた全社IT基盤の刷新。各業務システムが融合し、全体が連携して機能するDX基盤を目指す。そのKSFとしてJSOLのマスターデータ管理ソリューション「J-MDM」を選択

味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の3社が統合して誕生したJ-オイルミルズ。統合当時、各社が用いていた基幹システムを組み合わせた形でIT環境を整えたが、約15年を経過して抜本的な再構築の検討を始めた。目指したのは、販売管理や業績管理、会計、購買、物流など、それぞれの分野に優れたシステムを構築し、有機的に連携する仕組みだった。その実現に欠かせないマスターデータ管理ソリューションとして選ばれたのが、JSOLの「J-MDM」である。

課題・解決・効果

課題

  • データ形式やルールを統一して、システムの連携を推し進めることで業務標準化を強化

  • 販売管理や業績管理、生産管理などさまざまな基幹システムのマスターデータを一元的に管理し、有効に活用してDXや業務効率化に役立てたい

  • 申請と登録が別システムになっていたマスター登録業務を統一されたワークフローとして効率化したい

  • 夜間のバッチ処理で更新していたために、マスターデータの更新にタイムラグが発生。リアルタイムに更新、反映させたい

解決

  • マスターデータ管理ソリューション「J-MDM」を導入

導入効果

  • 基幹システムから利用するマスターをJ-MDMに統一。複数のシステム間で共通したマスターが利用可能に

  • マスターの申請/登録業務をワークフロー化して、マスター管理業務を効率化

  • マスターデータを迅速に更新。各基幹システムをリアルタイムに連携させ、最新のデータをすぐに業務利用できる体制に

10年後も進化可能なIT基盤を目指した抜本的な再構築へ

 2004年、味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の3社が統合して誕生したJ-オイルミルズ。同社の起源は江戸時代の水車式搾油場にさかのぼり、長年にわたり業務用から家庭用まで、食用油の製造、販売を通して国内外の食文化を支えてきた。食用油以外にも、油粕を用いた飼料、肥料の製造や、植物由来の澱粉、蛋白を用いた「スペシャリティフード事業」にも携わるなど、幅広い事業を展開している。
 しかし将来を見据えてさらなる事業の改革を進めようとしたときに課題となったのが、企業統合当時から使っていた基幹システムだった。
 「これまでのシステムは、合併時に以前の会社が使っていた基幹システムを組み合わせ、新会社として動くために必要な最低限のしくみを立ち上げたものでした。それ以降抜本的なシステム再構築ができていない状況でしたので、本来あるべき姿を目指して刷新しようとプロジェクトを立ち上げたのです」と情報システム担当の澤田光司氏は説明する。
 新たに目指したビジョンについて澤田氏は「10年後も継続して進化可能であり、経営体質強化にもつながるシステムの構築、IT基盤の刷新」と説明する。
 このプロジェクトの特徴は、「1つの大きなERPで全体を統一する方法」を選択しなかった点だ。生産管理、業績管理、販売管理、会計、人事、原価管理、購買など、それぞれの業務に特化したITソリューションを導入し、それらを有機的に連携させ、「全体として統合された使い方ができるシステム」を目指したのである。
 「巨大なERPで統合するのではなく、複数のパッケージを組み合わせて、全体としてインテグレーションされたシステムを構築する。全システムで共通のルール、共通のデータを使って業務を回していけるようにしようと考えたのです。それに欠かせないのが、全てのシステムが共通して利用できる『マスターデータ』でした」(澤田氏)
 そのマスターデータ管理ソリューションとして選定されたのが、JSOLの提供する「J-MDM」だった。

左)株式会社J-オイルミルズ 情報システム担当 澤田 光司氏
右)株式会社J-オイルミルズ 情報システム部 アプリケーショングループ長 塚原 晃勇氏

IT基盤の刷新に伴い、マスターデータ管理の見直しを実行

 刷新前にも、得意先、仕入先、品目、商品管理などでマスターデータが使われてきた。しかし以前のマスターデータ管理ソリューションでは、管理できるデータの項目そのものが少なく、不足分をシステム側で補っていた。
情報システム部 アプリケーショングループ長の塚原晃勇氏は「以前は、関連チェックや属性必須チェックなどの精度も低く、現場のマンパワーを割かざるを得ない場面も生じていました。新しく構築するシステムには、これらのマスターに関する課題を解決する仕組みが必要だったのです」と説明する。
 またマスターデータの申請と登録に使われるシステムが異なっていたため、オペレーション上の課題もあった。
 「事業部や営業部からの申請書を見ながら、人力でマスターデータのシステムに転記する必要があり、人為的なミスが生じるリスク、手続きにかかる時間も課題でした。また登録後のデータ更新は、夜間のバッチ処理で反映されるため、実際に利用できるようになるまでのタイムラグも生じていました」(塚原氏)
 刷新に向けては、生産管理、業績管理などのシステムと同時にマスターデータ管理ソリューションの選定も行われた。J-MDMを選んだ要因について、澤田氏は「柔軟性」と「他システム連携」を挙げた。
 「マスターデータは、他の基幹システムとの接続が必要となります。さまざまなデータを管理できる柔軟性、かつ他システムとの連携も容易なJ-MDMであれば、EAIツールを通してスムーズな接続が可能です。将来新しいシステムとの連携も必要となることに備えて、カスタマイズ性の高さも評価しました。JSOLの実績、提案力、知識や知見なども加味して総合的に判断して決定しました」(澤田氏)
またJ-MDMは申請と登録をスムーズに進めるフローも備えていた。そのため、転記などの手間もなくなり、人為的なミスを回避し、迅速にマスターデータの登録を完了できる点も大きな改善点として期待された。
 なおプロジェクト開始時、全ベンダーに選定理由が共有されたが、「統合マスター」領域で1位を獲得したJ-MDMは、「獲得したポイントは2位に対し圧倒的な大差をつけていた」と明かされた。

幅広い分野の知識を生かしたJSOLの設計力、技術力を高く評価

 2020年9月にJ-MDMを含めた全体のシステムが決定し、11月にプロジェクトがスタートした。
 構築は段階を踏みながら進められた。2021年10月に終了したステップ1では、販売管理や業績管理のシステムが刷新された。そして、ステップ2として生産管理や原価管理、購買などの刷新が進められ、その先のステップ3では財務会計などが予定されている。
 この構築の進め方についてはベンダー間の連携を重視した。旧三社間の各システムによってベンダーが異なるため、多くのベンダーが関わることになる。澤田氏たちは、全てのベンダーが共通で守るべきルールを作成し、プロジェクトをマネジメントしていった。その後は、週1回のペースで定例ミーティングを開き、プロジェクト全体の進捗を確認しながらプロジェクトを進めた。
 そして全てのシステムとJ-MDMの接続を実現するため、JSOLもプロジェクト全体に対して深く関与することとなった。
 「販売管理や業績管理などの各システムの知見も豊富で、それらを理解した上でマスターデータを設計進めていったところが印象に残っています。JSOLも積極的に各ベンダーとコミュニケーションを取り、先に懸念点、留意点を挙げて、後から問題が生じないように努めていました」(塚原氏)
 「マスターデータ管理は、性格上、それぞれのシステムに合わせて設計、カスタマイズしていく必要があるので、JSOLには多少無理をお願いした場面もありました。それでもこちらの希望に沿った形でJ-MDMを設計していくインテグレーション力には、JSOLの持つ技術を感じました」(澤田氏)

システム全体図

システム全体図

一元化したデータでDXを推進、JSOLの貢献にも大きく期待

 J-MDMは、2021年に稼働した販売管理や業績管理のシステムとともに稼働を始めた。J-MDMを導入した効果として塚原氏は「マスターデータとして登録すると10分ほどで反映されるので、新しい取引先の登録手続きなどが迅速に進むようになりました。申請したその日のうちに処理ができるようになったので、担当部門は喜んでいます」と説明する。
 その上で塚原氏は、「今後ステップ2、3と構築が進み、プロジェクト全体が刷新された際には、多くのシステム間でリアルタイムデータ連携が加速していくことでしょう。さらなる効果も表れてくるはず」と期待を語る。
 「一元化の対象は、マスターデータだけではありません。全体のシステムの真ん中にデータウェアハウスを置く仕組みにしており、インプットしたデータが全社的に見られるようになります。今まではシステムがそれぞれの仕組みで動いていましたが、今後は一元化されたデータを会社全体で活用し、業務の標準化や効率化、事業戦略のスピードアップ、ガバナンスの強化などを進めていきたいと期待しています」(塚原氏)
 そしてJSOLについて「知識に裏付けされた提案力、技術力には助けられてきました。今回のプロジェクトは10年先も進化可能なシステムを目指していますので、今後のビジネスの発展、進化に向けたJSOLの協力にも期待を寄せています」と澤田氏は述べた。

左から、株式会社J-オイルミルズ 塚原 晃勇氏、澤田 光司氏 JSOL 松井 泰生、古賀 孝之

企業情報

株式会社J-オイルミルズ様 ロゴ

会社名

株式会社J-オイルミルズ

所在地

東京都中央区明石町8-1聖路加タワー

設立

2002年(平成14年)4月1日

事業内容

油脂、油粕、澱粉、各種食品、飼料および肥料の製造、加工、販売。農作物の栽培、育成、加工、販売。食品製造機器の販売。不動産の賃貸

WEBサイト

(2024年03月現在)


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